◆2025年度修了者
幼い時からの“夢”に向けて、プログラムでの学びが大きな力に
加藤空さん
プロフィール:人間科学研究科 修士課程2年(2025年11月時点)

データ科学の知識を深めながら、主専攻以外の研究に挑戦できる絶好の機会
私は普段、人間科学研究科 健康福祉科学研究領域に所属し、環境脳科学研究室(掛川正心先生)で「人間とAIの『共適応』を活用した学習方法」について研究しています。人体には心拍や脳波など、さまざまなシグナルが流れていますが、これらとAIを組み合わせて、一人ひとりに最適な学習状態を生み出すことが研究の目的です。例えば、苦手な問題を前に心拍数が上がっている学習者に対して、AIがそれを判別して適切な難易度まで設問を下げてくれる。あるいは、AIが導き出した学習方針に合わせて、人間の側が学びの方向を変えるなど、両者が相互に影響し合うことで、より良い学習ツールを生み出せるのではと考えています。
AIやLLM(大規模言語モデル)など、データ科学の分野には元々興味を持っており、修士論文の中にもぜひ取り入れたいと考えていました。グローバル・エデュケーションセンターのオープン科目も受講していて、データ科学認定制度で中級を取得していました。
データ科学研究力養成プログラムの存在は、お知らせメールで初めて知りました。内容を見た際、これまで学んだデータ科学の知識をさらに深め、今後の研究活動にも活かすことができそうと感じ、迷わず受講を決めました。
また、オープン科目は基本的にオンデマンドでの授業でしたが、今回のプログラムでは直接指導を受けられるという点にも魅力を感じました。大学院では自身の研究分野に集中することがほとんどなので、サポートを受けながら専門外の研究ができる貴重な機会だと捉えていました。
マンツーマンだからこそ得られた濃密な「学び」と「気づき」
講義は基本的に、データ科学センター 小林 学 教授とマンツーマンのゼミ形式でした。データ科学に関する研究課題を自ら設定し、毎週進捗を発表しながら小林先生にアドバイスをいただきます。プログラム内では、生成AIと教育学を組み合わせた研究を行いました。学生が作成した問題をAIが自動評価・分析することで、学習内容に対する理解度を評価し、具体的なフィードバックを提供する教育システムを検討します。これは元々の研究テーマである、AIの「共適応」にもつながる内容になっています。
プログラム中は、小林先生と白熱した議論を交わすことができ、短期間で濃密な学びの時間を過ごせたと感じています。また、研究の中でわからないことがあれば、授業中はもちろん、slackなどでも質問でき、すぐに返事もいただけました。わからないことをその都度解決できるので、着実にステップアップしていける安心感がありました。また、主専攻での研究の進捗や実験の日程などに合わせて、フレキシブルにスケジュールを調整する必要がありましたが、小林先生に親身に相談に乗っていただき、なんとか両立することができました。
プログラムに参加したことで、データ科学の知識も受講前より格段にレベルアップできたと考えています。単に知識だけでなく、Pythonや生成AI、LLMを使いこなすうえで、こういう使い方もあるのか、バージョンによってこんな違いがあるのかなど、より実践レベルの気づきを得ることができました。
また、データ科学という新しい研究の世界にチャレンジしたことで、得られたものがたくさんありました。その一つが、言葉の使い方への意識です。同じ言葉を使っていても、専門分野の違いにより、異なった意味合いに受け止められてしまうことがあります。例えば、AIという言葉一つをとっても、Chat GPTや生成AIなどのプロダクトをイメージする人もいれば、大規模言語モデルなど理論的なものをイメージする人もいます。どこまで説明すべきか、感覚がわからなくなる時もありましたが、その際は小林先生がサポートしてくれたことを覚えています。研究発表で使う図版や表組みも、AIの力を借りることで、他分野の方にもよりわかりやすく内容を伝えることができます。こうした意識は他分野へ挑戦する機会がなければ、なかなか気づけないものだと思います。

授業は基本的にマンツーマンですが、他の参加者とはお互いの主専攻のゼミの様子や普段の研究の苦労を共有することもあったそう
多角的・複眼的な視点を生かし、自身の研究も新たなステージへ
私は元々、中学・高校の頃は農学に興味を持っていました。現在も主専攻の神経科学に加え、他大学と合同で緩和医療学や都市微生物学を研究しています。これらの根底にあるのは、小さな頃から抱いている「この世のすべてを学び尽くしたい」という夢です。元々人間科学研究科は学際的な側面が強い専攻ではありましたが、今回のプログラムに参加し、他分野の方々と交流を持ったことで、1つの分野にこだわらず、多角的・複眼的な視点で考える重要性を再認識できました。
また、今後さまざまな分野の研究へ挑戦していくにあたり、データ科学の知識は大きな武器になります。情報工学の視点で注目されている最新のアプローチを吸収したり、既存の分野とAI、ICTを組み合わせたりすることで、現在進めている研究の可能性もさらに広げていけると思っています。異なる分野の方と、データを元にエビデンスベースで会話ができるようになったのも、大きな収穫です。
今後は博士後期課程に進む予定ですが、その研究テーマの設定にも大きな影響がありました。修士課程と同じく神経科学の分野に進むかどうか迷っていましたが、プログラムを経てデータ科学の知識が深まったことで、教育工学と情報科学を組み合わせたテーマに挑戦することを決めました。また、プログラム終了後も小林先生とはデータ科学に関する共同論文を執筆予定となっています。モチベーションとしては、博士後期課程に進んですぐの4月に発表したいと思うぐらい、楽しみながら取り組んでいます。
データ科学研究力養成プログラムは、データ科学という最新の分野で、先生の指導を受けながら、いつもと違う環境で研究にチャレンジできます。他のカリキュラムでは味わえない経験ですし、私自身、新鮮な学びを得ることができたと考えています。先生方の親身なサポートで、主専攻との両立も安心して進められました。受講を迷っている人には、ぜひチャレンジしてみることをおすすめします!





