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SCSインタビュー企画 いきさつ Vol.4

-将来やりたいこと・ビジョンはどうやったら見つかるのか-

この問いに対するヒントを見つけていくSCSのインタビュー企画「いきさつ」。
「利他的」かつ「長期的」なビジョンを持ち、すでに活動している現役早稲田生の人生を振り返り、ビジョンを見つけるためのヒントやマネできるポイントを掘り出していきます。

第4回は「テクノロジー」を用いたビッグピクチャーを描く元木嵩人さんのインタビューをお届けします。インタビューの為に1日かけて原稿も用意してくださり、大学4年間のストーリーを鮮やかに語ってもらいました!

※記事の内容及びプロフィールは取材当時(2019年2月)のものです。

インタビューイ紹介

元木嵩人さん(基幹理工学部4年)

海城高校卒業後、早稲田大学基幹理工学部機械科学・航空学科に入学。在学中はESSに所属し、SEDS Wasedaという学生団体やプログラミングスクールの立ち上げ、衛星設計プロジェクト、アメリカ・テキサス州のSXSWでの宇宙建築技術展示に関わるにつれ、やりたいことは宇宙工学だということに気がつく。早稲田大学卒業後は東京大学大学院に進学し人工衛星の電気推進の研究をしている。研究と並行してこれまでに培ったハードウェアやソフトウェア技術の経験を活かそうとスマート農業をテーマに起業準備中。

本記事の流れ
・元木さんが描くビジョン
・経験を重ねるたびにぶつかった『違和感』と立て続けた『仮説』
・動き続けてようやくたどり着いたビッグピクチャー
・壮大かつ着実な将来像

 

【元木さんが描くビジョン】

―自己紹介をよろしくお願いします。

元木嵩人です。よろしくお願いします。今年(2019年)卒業するのですが、早稲田大学基幹理工学部の機械航空科学科4年です。武藤研究室で原子力の研究をしていました。ビジョンに関連するんですけど、元々宇宙の謎を解き明かしたいという欲があって今の学科にいます。

―まず最初に今持っていらっしゃるビジョンを教えてもらっていいですか。

わかりました。今持っているビジョンは、「人類の夢を現実にしたい」というのがあります。ビジョンを持っている人って大きく二種類いるなって思っていて。

1つはとても具体的な人。例えば〇〇市の地方創生をしたい、とか。そういう人って大体〇〇市に強い思い入れがあるとかパッションを持っている人で、もう一つは僕みたいに抽象的なゴールがありそれに対して手段は問わない人。例えば世界平和を掲げてて、今はエネルギー問題からやってるけど10年後は別のアプローチからみたいな。僕はどっちかって言ったら後者なので抽象的な感じです。

―そういう大きなビジョンって小さい頃から漠然と持っていたんですか?

いや、そんなことないです。というか大学に入った時は何のビジョンも無いというか、ほんのちょっと宇宙が好きな位でした。特にやりたいことも何もない、ごく一般的な人だったと思います。基幹理工学部は進級振り分けまでに1年間の時間があり、考える猶予があったのでこの学部を選んだのもあります。よくいるパターンじゃないですか?(笑)

―となるとビジョンが言葉になったり、やりたいことが明確になったのは在学中ということですか?

そうですね。大学四年間である程度具体的なとこまで行けたかなって思います。

―何となくやりたいこと見つけたいと思って大学に入る人は多いと思います。その一方で、大学入学で自由な時間を突然与えられて「私って何がやりたいの?」と悩んでる人も多いと思うので、今日の話は多くの人に刺さるんじゃないかと期待が高まってます!

 【経験を重ねるたびにぶつかった『違和感』と立て続けた『仮説』】

ビジョンに関して唯一自分の良かったなと思う点は、入学した時点で自分がビジョンを持っていないことにすごい焦りがあったことかなと思います。高校の時は特にこういう気持ちはなくて、大学に入ってから芽生えました。

-焦りを生じさせたものは何だったんですか。

僕の地元が埼玉で、高校卒業のときに同窓会があったんですね。そのとき周りの6割くらいが大学に行かずに就職してて彼らは社会人になろうとしているのに、「僕は学生の雰囲気のままで大丈夫なのかな」と思ったことがきっかけです。学生だから何でも許されるっていうノリで入学したら、ビジョンが見つからずに終わってしまうと思って入学時点で多少焦りみたいなものはありました。

-何も考えていない状態から、もやもやしていた課題感を明確にしていくに当たり何か転換点があったのでしょうか?

その話をすると3年生の終わり頃に戻ります。サークルは3年生の秋に終わり引退して「やることねえな」と暇になりました。何となくレストランでバイトしているけれど「やることないなぁ、暇だな」みたいな状態はずっと続いていました。進路に関しても大学院進学がちらつき始めていた時期だったんですけど、「まあ推薦で行けばいいか」と完全に思考停止状態でした。

〈サークルに没頭した1年目〉

最初の1年目は特にやりたいものも無かったので、興味を持ったものに取り組みました。まずは大学生との繋がりを作りたいと思い、サッカー・フットサルサークルに入ったんです。色んな大学生に会えると思って、敢えてインカレを選び半年くらいは頻繁にサークルに顔出していました。しかし後期にはすごく違和感を覚えたんです。サッカーやるじゃないですか、週末飲み会やるじゃないですか、授業出るじゃないですか、俺の学生生活これだけだなって思って(笑)。

もちろん楽しくない訳ではないんですが、違和感を覚えるようになりました。何でこんなに違和感を覚えたんだろうと突き詰めていった時に、結構クローズな環境だったのが良くなかったんじゃないかなと思って。

そこで自分は「もっとオープンな環境の方がいいんだろうな」っていう仮説を立てて、1年から2年に上がる春休みにICCのスキーキャンプに行ったんですね。総勢120人くらいで留学生半分、日本人半分の環境でした。参加してみて「俺まさにこういうの求めてた」と思いました(笑)。知らない人と会って話すのが楽しくて性に合っていると気づきを得ました。

〈ICCでの『違和感』〉

なんですけど、そこでもう一個違和感を覚えました。ICCはすごくオープンな環境なのは良かったんですが、単発ではなく継続的にコミュニケーションをとりたいなと思いました。そこで相応しい環境を探した結果、ESSってサークルを見つけて2年になってサッカーとフットサルを辞めました(笑)。

―ばっさりと辞めたんですね!(笑)

葛藤はあったんですけど迷ってちゃだめだと思い、あっさり辞めてESSに入りました。思い返すと、その選択は大学生活で一二を争う大きい選択だったなと思っています。ESSでは週1で10大学くらいの人と交流ができて、起業してるようなアクティブな人とコミュニケーションを取れたりと色んな情報に触れられました。

その後に繋がったのはアプリを作ってる人の話でした。その人のプログラミングの話が面白くて興味を持ち、2年の前期に授業をとったんですよ。それがいわゆる「テクノロジー」との最初の接点でした。2年でプログラミングを始めて後期にはそれが面白くなって、ウェブ系の企業でインターンを始めるようになりました。

そこでまた違和感に出会ったんです。最初に友達からプログラミングの話を聞いたとき、技術を使って面白いことをやりたいと思い興味を持ってプログラミングを始めました。ただ実際にウェブプログラミングを1日10時間とかやっていくうちに気付いたんですけど、コーディング自体は楽しいと思わなくて(笑)。自分はどっちかというとプログラミングを使った課題解決の方が興味あるんじゃないかという仮説を立てました。

―全部経験に基づいて仮説を立てて次のアクションにつなげているっていうのは変わらないですね。「やってみて仮説立てて再度やってみて」のサイクルが回ってるんですね。

課題解決に興味があるんじゃないかと思ってから、もう1ヶ月だけ続けてみようって思ったんですけど、やっぱり単純なコーディングは自分に合わないなって思ってここでも辞めて。

迷ってからも1ヶ月続けたんですね!切り替える時に0か100かっていう選択肢もあると思いますが、道は残しつつ徐々に転換していくというスタイルなんですか?

プログラミングに費やしてきた時間も長かったし、ピンときてる部分もある程度ありました。だからこそすぐ切り捨てないで、確認の期間というかもうちょっと自分と対話した方がいいんじゃないかと思いました。

―やってきたことをいきなり捨てるというのは、負担が大きいと思います。時間を投資してきたものは判断を再確認してから決断されたんですね。

そして晴れて3年になって。ここで偶然なんですけど、高校サッカー部の同窓会で出会った先輩に「プログラミングスクールを是非一緒にやらないか」とお誘いをいただきました。コードを書くのは嫌いだったけど、プログラミングという技術自体はパソコン1台で課題解決ができるものなので、本当にすごいなと思っていました。スクールで課題解決の手法を教えることに意義を感じてやろうと決めました。

それで生徒さんたちにプログラミングを教えてたんですけど、それはもう楽しくて(笑)。元々ICCで人とのコミュニケーションが楽しいというのは感じていましたし、課題解決という点でやはりプログラミングの魅力を再確認したのでそのスクールは天職かと考えていました。

なんですけどある時フェルミさんか誰かの言葉で「自分が満足している時こそ人の意見を聞いて色んなことをやるのが良い」みたいなものを目にして、もっと色んなことやろうと思い立ちました(笑)。

だから3年生ではプログラミングスクールをやりつつ色んなことに手を出しました。学校にいる間はずっと本を読み月に10冊以上読破し、ソフトバンクの地方創生インターンTURETECHに参加したり。さらにプログラミングスクールではコース運営や新しいコースの開設を任されてマネジメントにも取り組みました。友達と組んで社会課題に焦点を当てて起業しようとして外国人向けアプリ作ったりもしましたね。結局挫折したんですけど(笑)。

行動し続ける状態となって途中で疲れは無かったんですか?

めちゃくちゃありました(笑)。

―やりたいことを見つけたいと思うと、たいていの方が何かしら挑戦はするけど辛いタイミングがどこかで来ると思うんですよ。その壁を乗り越えられるかどうかがキーじゃないかなと思っているんですが、元木さんはハードルをどう乗り越えたんですか?

僕は困難なことにぶち当たったらすぐやめればいいって思います。そこを突き詰めて消耗する必要はないなって。困難をどう解決するかっていうのももちろん大切なんですけど、悩んでも結論が出なさそうだったら別の方向を考えて進路変更するのもありかなって思います。

少なくとも僕はそういう発想の持ち主でした。なので同じ道を違和感を持ったまま進むっていうよりは、すぐに辞めて別の道を進んでいたので困難にはぶち当たったんですがストレスは少なかったと思います。

―傾向的に日本人は「大変なことが美しい」という考えがあるような気がするんですが、本心に従って切り替えているところが元木さんのお話を聞いて印象に残っています。

それは、とても言いたかったことです。思考って偽れるじゃないですか。でも自分が快楽に感じたことは偽れないと思っていて。僕は思考のレイヤーで考えずに、快・不快のレイヤーで考えてます。なので難しいことは頭で考えずに、一回心の声を聞いて。正直になることを徹底したっていうのはあります。

【動き続けてようやくたどり着いたビッグピクチャー】

3年生の後期までプログラミングスクールを続けてたんですけど、色んなことをやったおかげでまた違和感が出てきました。それまでテクノロジーは自分の中でプログラミング一択だったんですよ。なんかプログラミングに囚われなくてもいいなって思って(笑)。もっと他の分野に根を張るテクノロジーも見てみたいなと思うようになりました。

例えばプログラミングスクールでサーバーの立て方を教えることがありました。サーバーについて頑張って説明しても、生徒のほとんどが「ん?」みたいな反応なんです。彼らが知りたいのは小難しい仕組みじゃなくてコードなんですよね。これを書けば動くんだみたいな。

「テクノロジーを使って課題解決する」と言っても自分が教えたいのは、仕組みを用いてどうハックするかであって単純なコードの書き方じゃない。

表面的じゃないところを教えたかった?

そうです。表層ではなく、そもそもの部分や内側の部分を教えたくて。このプログラミングスクールで直面したギャップが再び感じた違和感の正体でした。そこで今までの流れの通り、プログラミングスクールをやめました(笑)。

―いいですね(笑)。しかもちょうど一年単位で(笑)

その時点で僕の中で立ってたビジョンの方向性は、「プログラミングに囚われずテクノロジーを使って課題解決すること」でした。

そうしていく内に大学4年になりました。次に何をしようかとなった時に、自分の中でテクノロジーに関する知見を具体的に落とし込みたいと思いました。そこでひとまず研究テーマを原子力にしました。あとは独学で人工知能について勉強したり、宇宙テクノロジー系のイベントに参加しました。

多種多様なテクノロジーを再度さらい始めたんですね。

そうです。テクノロジーには興味ある。でもどこに興味があるかわからない。だからあらゆる分野に網羅的に触れてみようと思いました。こんな風にテクノロジーという領域で種を蒔き始めてみたら早い段階で当たりました。探し始めて1か月だったのですがそれは宇宙でした。そういえば俺が大学入った理由の1つは宇宙だったなって思い出して(笑)。

―ここで繋がった!

さらに4年になって参加したアクセルスペースという会社のイベントが面白くて、宇宙の活用法もめちゃくちゃあるんだなとワクワクしました。何より宇宙空間を活用して課題解決がちゃんとできることに個人的には納得というか、これまで育んできた考え方と繋がって「宇宙をやろう」と決めました。

じゃあ具体的に何をするかと考えても本当にやることが分からなくて悩みましたが、まずは専門的に勉強できる大学院を調べ進路を固めようと決めました。国内だと東大や京大、海外だとMITやジョージアテックが宇宙に強いと知り、5月からは院試の勉強をがっつり始めたんですね。8月に院試があって、無事に突破することができ大学院は決まりました。そして残りの大学生活も何か宇宙に繋がることをやりたいと思いました。

宇宙分野の経験が圧倒的に不足していると感じていたので、宇宙に興味がある人のコミュニティを作ろうと思いSEDSという学生団体を立ち上げました。5月に宇宙をやると決めて卒業までの残り11ヶ月間で一から始めても間に合わないなと思い、世界各国に支部があるSEDSに狙いを定めました。

日本支部は東大にしかなかったので早稲田支部を作りました。経験を得るためにも人が大事だなと思っていましたが、このコミュニティの繋がりで色んな機会が得られたんですよ。その一つが衛星の設計で、東大支部からコンテストを紹介してもらい参加しました。福岡に行って自分たちの案をプレゼンして、賞もいただきました。

―同じように経験を積みたいと思っている学生と熱量高く活動されてきたんですね。

そうですね。宇宙に対してパッションを持ってる人たちと交流して、輪がぐっと広がりました。そしてSEDSで宇宙好きな学生と触れていくうちに、たぶん自分がやりたいことは「宇宙テクノロジーを使って課題解決をしたい」。格好よく言いかえて、「宇宙を生かして人類の夢を形にしていく」っていうビジョンにたどり着きました。

【壮大かつ着実な将来像】

―では最後に今後の展望など将来像をお聞きしても良いでしょうか?

「人類の夢を形にする」っていうビジョンを更に細かく分解する作業をやっています。人類の夢は自分1人が持っててもダメで、「みんなに共通するものを作れてこそ意味がある」と思っています。確かザッカーバーグが言っていました。共通認識を作るためにもっと発信をしていかないといけないなあと思い、フリーペーパーを書いて発行しています。

あと人類の夢を「テクノロジー」で現実にするにはどうすればいいのかを考える中で、テクノロジーは単にものを生み出すだけじゃなくて、人の価値観とか行動を規定するものだなと思うようになりました。そこから興味が広がって「価値観」など哲学に近い分野の見識を広げています。SEDSは細々と続けていて自分が東大に入っても継続していきたいと思います。

今後の展望としてゴールはもちろん「宇宙テクノロジーで課題解決をすること」です。修士では電気推進系を研究するので、テクノロジーにはある程度詳しくなるだろうと予想しています。自分に足りないのはビジネス的な視点、マーケットの狙い方や獲得の仕方など事業的考え方が不足していると思うので修士を出たら外資コンサルに入って学ぼうかなと考えています。

そしてテクノロジーとビジネスの視点を身につけると宇宙分野が広がりを持って見えてくると思うので興味を絞り、アメリカで博士号を取ろうかなと考えています。そしてドクター取った後は、やっぱりエンジニアとして自分のビジョンに合う会社で働きつつ、自分が起業するチャンスを伺おうかなと考えています。こんな感じです。

壮大でもあり具体的な将来プランを描いてらっしゃるんですね!それでは「やりたいことを見つけたい!」という方に一言お願いしてもよいですか?

待ってました(笑)!僕が今まで話してきたことをまとめると要点は3つだと思います。1つ目は「人との繋がり」をとても大事にすることかなと思います。人としゃべると新しい視点が入るんですが、この新しい視点が想像以上に大事だなと経験上感じています。

2つ目は定番ですが「読書」は本当に大事です。多分人生変わります。本の選び方はもともとバラバラだったんですけど、ある程度積み重ねていけば自分に役立つ本とか分かるようになるんで、辛い時にはゲーム化するなどして読み続けて欲しいです。

3つ目は「自分の違和感」を大事にしてきたなと思っています。違和感を覚えたらちゃんと向き合った方がいいと思います。これは特殊な能力じゃなくて。自分が違うと思った時に自分のアクションを変えればいいので、一番やりやすいと思います。あと違和感を覚えたときに、既存の価値観に囚われずいかに多様な選択肢を並べられるかっていうのも大事だと思います。選択肢を並べるにはやっぱり新しい視点が大事ですよね。

結局大事なのは、「人との繋がり」「読書」「違和感」の3つかなって思っています!

―素晴らしいまとめをありがとうございます!お忙しい中インタビューありがとうございました!

 

このインタビューはキャリアセンターの「学生キャリアスタッフ」が企画・実施しました。


”いきさつ” 連載紹介

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