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SCSインタビュー企画 いきさつ Vol.1

-将来やりたいこと・ビジョンはどうやったら見つかるのか-

この問いに対するヒントを見つけていくSCSのインタビュー企画「いきさつ」。
「利他的」かつ「長期的」なビジョンを持ち、すでに活動している現役早稲田生の人生を振り返り、ビジョンを見つけるためのヒントやマネできるポイントを掘り出していきます。

記念すべきトップバッターは法学部4年(取材当時)の登坂直弥さん。2019年も年明けから自身で行っている外国人就労/生活支援事業に勤しむ登坂さんのエネルギッシュでユーモラスなインタビューをお届けします!

※記事の内容及びプロフィールは取材当時(2019年1月)のものです。

インタビューイ紹介
登坂直弥さん(法学部4年)
群馬県出身。外交官を目指しAIGグループが主催する高校生外交官プログラムに参加するなど海外経験を積みながら高校生時代を過ごす。大学入学後は1年次にTOMODACHI財団によるTOMODACHI Microsoft iLEAP Social Innovataion and Leadershipプログラムに奨学生として参加。帰国後は日本マイクロソフト株式会社CELA部門でのインターンや食品小売店向けフードロス事業の立ち上げなどに従事。同時に大学4年間は前述のAIG高校生外交官プログラムに企画運営として携わる。学業では国際公法が専門で、国際法模擬裁判世界大会出場へ向けた研究を行っていた。現在は外国人を対象にした就労支援/生活支援の事業立ち上げに勤しむ。卒業後は大手人材会社に就職予定。

本記事の流れ
・登坂さんが描くビジョン
・外交官を目指していた高校時代
・ミッションの言語化に至ったileap Global Leadershipプログラム
・一歩踏み出せるかどうかが重要
・天狗鼻を折られた高校時代のAIGサマープログラム
・今やっていることと今後の展望

【登坂さんが描くビジョン】

―今日はよろしくお願いします!記念すべき1人目です。LINE名が「supernaoya」になってますけど、これは自分から言い始めたんですか?(笑)
「super naoya」って言い始めたのは僕ですね(笑)。5年前にサマープログラムで渡米した時にカウンセラーの人がノリで付けてくれました。たまに「super ahoya」になったりもするんですけど、気に入ってます(笑)。

―この企画では「利他的」かつ「長期的」なビジョンを持つ早稲田生にインタビューしています。ずばりビジョンを教えてください!

自分のライフミッションを言うと、「個が核となる経験を持って、生を全うできる社会」を作ることです。誰もが「原体験」や「好き・楽しいという瞬間」をたくさん作り、辛いことや苦しみまで謳歌して人生をやり切ったと思える社会を作りたいと思っています。

原体験を探すということは巷でも良く言われていると思うんですが、逆に探しても見つからず焦っている人もとても多いなと思っていていて。僕は原体験を探すことを大切にしつつも、むしろ好きのように「小さく感情が動いた経験」も十分核になると思っています。例えば麦茶の成分表を見て「マグネシウムが3mg、亜鉛が0.07g、カリウムが78mg」っていうところに興味を持ったり、「他のお茶の成分ってどういう組成なんだろう 」みたいな成分調査が好きだったりっていうのも「核」になり得ると思うんですよね。

―ある意味オタク的な要素も「核」になると。

そうなんです。理由は分からないけど、めちゃくちゃ好きなことってあると思うんですよ。「ちょっとした好き」が成分分析の仕事にまで発展するし、好きを追求することで人生を全うできると思っています。だから原体験という言葉ではなく、好きまで含めた広い意味で「核となる経験」という言葉を使っています。

【外交官を目指した高校時代】

―このミッションは元々登坂さん自身が「核」を求めていて生まれたものなんですか?

「核となる経験」について考えるようになったきっかけは、大学1年生の春に参加したiLEAP Global Leadershipプログラム(以下iLEAP) にあります。奨学金をもらって1か月半参加しました。

有名なものにsearch inside yourselfというgoogleが開発したプログラムがありますよね。そのような自分探しをiLEAPのプログラムでは経験しました。「自分の好きなことって何だろう」とか「死ぬ時にどうなっていたいのか」という問いかけをされて、自分のことを深く考え知る機会をもらいました。その上で「自分は社会に対して何をしたいのか」ということを重ねて考えさせられました。結果として自分自身が「どんな経験をしたいのか」をめちゃくちゃ考えるようになって、それが今のミッションに繋がっています。

1年生の時に自分に向き合う経験をされたんですね。「社会に対して何かしたい」という考え方は渡米前からあったんですか?

うっすらとありましたね。高校・大学でのプログラムはどちらもCSRの一環でありがたい経験をさせてもらえたので、その恩返しとして社会に目が向いたことはあったと思います。

―高校時代にAIG高校生外交官プログラム(以下AIG)に参加されたと聞いているんですが、その頃からすでに社会に目が開かれていたんですか?

そんなことはないです。生まれは群馬の田舎ですし(笑)。でも小さいころから、まとめ役みたいな立ち位置にはいました。小学校3年生と6年生の時に学級崩壊が起こったんですけど、先生と生徒を繋いだりしていて。こういう経験をする中で自分だけでなく全体を見るようになっていたなぁと今では思います。

―小学生の時点で、ちょっとした大局観を持っていたんですね。

社会に目が向いたのは、高校進学の情報誌で外交官の仕事を目にした時からです。その記事を見て純粋に「外交官ってかっこいいな」と思ったんですよ、海外で日本人を守ったりしていて。こんな風に「群馬から飛び出したいな」って思ったし、将来は外交官になりたいっていう思いが芽生えたんです。

さらに高校1年生の10月に職場訪問で外務省に行かせてもらいました。その時にたまたま同じ高校出身で、ちょうどイラン大使館から帰ってきてたばかりの方がいらっしゃって、外交官としての責務に関して物凄くパッションを持って語ってくれました。その時期は北方領土とか尖閣諸島とか竹島の領土を争って他国と揉めていた時期だったので、僕は気になって「メディアでたくさん叩かれている今の日本は大丈夫なんですか?」っていう質問をしたんですよ。無礼だったとは思うんですが(笑)。

―鋭くてストレートな良い質問ですね(笑)

その時に「もちろんメディアでは叩かれているけど実は水面下で交渉が進んでいる。国民の安全や生活、財産を守れなかったら私のいる意味は無いんだ。安心して任せて欲しい。」とおっしゃっていました。その言葉が物凄く響いて、これをきっかけに大学と将来の方向性を一度、強く決意したんですよね。

―そこで一旦、外交官になるって決心したんですか??

そうです。外交官になると決心したこともあり、翌年のAIGに参加するようになったんです。

【ミッションの言語化に至ったiLEAP】

―そういった経験をしながら現在のミッションの言語化に至ったのがiLEAPだったんですね。

ミッションの骨子が固まったのはその時(大学1年の終わり)です。ただ2年生になって帰国してからは模擬裁判の活動に力を入れており、あまりミッションのことは考えていませんでした。しかし模擬裁判では思うような結果を出せず、もう一度自分のやりたいことを考えた時にはっきりと言葉になりました。なので今のミッションにたどり着いたのは2年生の終わりごろになります。

―大学2年生でもう1回深く考えたんですね。

ちなみに外交官に関しては、大学に入学して数か月くらい経った頃に「なんか違うな」と思ったんです。職業として外交官に憧れてはいたんですが「そもそも国を守るとは何か」とか「自分はどんな社会を見たいんだろう」と思い勉強した時に、結局は「人が満足に生活できる空間」が自分の作りたいものだと気づきました。一方で現状の社会は理想的と言える状態ではないと同時に感じて。AIGの企画運営を大学入学後も続けていたんですが、参加している高校生はみんな純粋無垢でキラキラしているんですよ(笑)。こういう場所をもっと作らなくちゃいけないなあと思うようになりました。今はそういった環境をどのように与えるかについて思考を巡らせていて、非常にワクワクしています。

―search inside yourselfによって言語化のきっかけを掴んだと思うのですが、それはどういうことをやったんですか??

コーチングをしてもらいましたね。「どんな風になって人生を終えたい」とか人生観に対する質問をしてもらい、「どうして?」とか「なんで?」など深堀りしてもらうことで、自分が大切にしている価値観や思考法に気づかせてもらうプログラムでした。

―コーチングのように自分の価値観を深く突き詰めていく思考はビジョンを見出す上で必要なのかもしれませんよね。

僕は本来の先生の役割はコーチングだと思うんですよ。昔のギリシャの教育では先生のメインの役割は「導くこと」でした。「先に生きている人」として。でも現状、先生たちが他の業務で忙しくてコーチングにまで手が回っていない現状があると思うので、教育の最適化にも卒業後に就職する会社で取り組んでいきます。いずれは先生がコーチングに力を注げるようにして、生徒の「核」を引き出せるようにするために。

【一歩足を踏み出せるかどうかが重要】

―振り返ってミッションを見つけるために特に意識しておいて「良かったな」と思うことはありますか。他の誰かがやりたいことを見つけたいと思った時にマネできるような。

当たり前かもしれないんですが、「引きこもらずに外に出る」とか「とことん探す」意識は大切だと思います。ネットで探すだけだと趣味とか知識の段階で終わる可能性が高くて。

―ネットだと「こんな人もいるんだ。ふーん。」で終わりそうですよね。

そうそう。だから知った後、足を出せるかどうかが鍵だなあと思います。20歳で最年少ベンチャーキャピタリストになった方もTwitter上で「かっこいい」と思ったのがVCの人で、かっこいいで止まらずに連絡を取って会いに行ったところが最初のきっかけみたいですし。

もちろん、その一歩を踏み出すのがめっちゃ大変なんですけどね(笑)。僕も踏み出すのが怖い時はたくさんありますし。でも仮に上手くいかなかったとしても良い反省材料になって次に活かせるから、一歩踏み出すのはとても有意義だと思う。最終的には理性じゃなくて自分に言い訳せずに「やってみる」というマインドでの乗り切ってるかな。

―ちなみに登坂さんは小さいころから足を動かせる人だったんですか?

いや、急に足を動かせるようになったわけではないですよ。

―どういうことがきっかけで、足を動かす力は開花したんでしょうか?

最初のきっかけは身長順を脱したかったからかもしれないです。自分は一番身長が小さくて目立たなかったんですよ。それが嫌で、代わりに何で目立つかを考えた時に「かけっこで一番になろう」とか「マラソンで一番になろう」とか別の目標を掲げて挑戦するようになったんです。毎朝走るとか。そういうスモールステップがあって「やってみる力」は身に付いた気がします。

【天狗鼻を折られたAIGサマープログラム】

―ちなみに話にもたくさん出てきているAIGで一番良かったことって何だったんですか?

自分が天狗であることに気づいた(笑)。周囲を測るメジャーが学力とか運動能力でしかなかったことを衝撃的に気付かされました。その時は自分自身のことが嫌いになりました。

―「自分のことが嫌いになった」というところから立ち直れたきっかけは何だったんですか?

ここで変わることができなかったら一生自分の周りには人がいないなと思ったんです。当時仲が良かった人との関係も「勉強」「運動」という物差しが消えた時に続く自信が全くなくて。気づいたら孤独になってるっていう状況が起こるなと思うと、それは悲しいなあと悟ったんですよ。 そういうことがきっかけで人に興味を持つようになり、色んな観点で人を見るように意識しました。

―大学2年次にライフミッションの言語化に至る中で、出会ってよかったなと思う「言葉」ってありますか?

一杯ありますけど、特に響いたのは「間違ってるよ」っていう言葉でした。AIGでアメリカ人のルームメイトに「人のタレントは無数にあるのに、学力だけで人を判断するのは間違ってる」と言ってもらったんです。自分の視野の狭さを教えてくれました。

―そういうことを言ってくれる人に出会うってそんなにないですよね。どうやったらそういう人に出会えるんでしょう。

叱ってくれる人ってすごく大事ですよね。僕は出会いのチャンスはいっぱいあると思っています。でも一歩踏み出さないと見つかるものも見つからないと思うので、やっぱり「やってみる」のが大事な気がします。ネットの世界で踏み出すのも最初のステップとしてはありだと思います。知らない世界にまず触れてこそ見えてくるものがあると思うので。

【今やっていること&今後やっていくこと】

―自分のライフミッションを実現するために、やっていることや今後の展望を教えてください。

現在は、日本に働きに来る海外の人を対象にした人材紹介事業に取り組んでいて、日本人だけでなく外国人の核となっている体験にも触れています。この事業は、日本を外国人に好きになって欲しいという思いも持ってやっています。

「人間を科学する」ではないですけど、たくさんの人に会ってどういう核となる体験をみんなが持っているのかを調査しています。いずれはAIGのように「環境・人・時間」を整えて、核となる体験が生まれたり気づいたりする機会を提供できたらなぁと構想中です。特に幼児の段階でやれたら面白そうですね。

―色んな分野に手を出して活動されているんですね。

そうです。言ってしまえば、まだまだ中途半端なところもあります笑。「生を全うできるようにする」に関連することとしては「働く環境」をもっと理想的に創っていきたいと思っていて。卒業後に社会人として取り組む予定です。楽しいと思って働ける環境の特徴や、パフォーマンスが最大化される条件を見つけて作っていけたらなぁと思っています。「生を全うできるようにする」というのは一人一人のキャリアを作っていくことだと思うので、「働く」という要素は絶対欠かせないところですね。

一方でどういう順番で達成していくのかとか、どんな方法が一番ワクワクのかなど今もずっと考えています。自分の造語なんですけど「wakuwakutive」っていう価値観の基で、動いているんです(笑)。ワクワクとか楽しさを大事にしながら今後も行動していきたい。

―登坂さんの場合、行動力と思考力の両立がビジョン発見に繋がっている気がしました。

おそらくそうだと思います。ただ特に考えるほうに関しては、1人でやるととても辛いと思うので機会が重要ですし一緒にやってくれるパートナーが大切ですよね。行動しながら、思考のパートナーをぜひ探してほしいです。

―お忙しい中、ありがとうございました。

 

このインタビューはキャリアセンターの「学生キャリアスタッフ」が企画・実施しました。


”いきさつ” 連載紹介

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【連絡先】
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