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【早稲田ウィークリー】「シード落ちの雪辱を」監督・主将の決意 早稲田は箱根駅伝で復活する 

シード落ちし、悔し涙を見せた2019年の箱根駅伝

2019年1月の箱根駅伝(東京箱根間往復大学駅伝競走)はまさかの総合12位で、13年ぶりのシード落ちを経験した早稲田大学競走部。箱根駅伝2020は10月下旬の予選会(※1)からの参加となり、全体9位で辛くも本戦に出場が決定しました。大学三大駅伝(※2)は、出雲駅伝(10月14 日)には出場できませんでしたが、全日本駅伝(11月3日)は6位と復調の兆しを見せ、11月23日に慶應義塾大学日吉キャンパスで行われた10000メートル記録挑戦競技会では、4名が自己ベストを更新する結果を出しました。調子が上向きに見える早稲田大学競走部の相楽豊駅伝監督と太田智樹駅伝主将に箱根駅伝2020の展望を聞きました。

※1)各大学から選手10~12名が出場し、約20㎞のコースを一斉に走って上位10名の合計タイムを競う。合計タイムの上位10大学が箱根駅伝本戦に出場できる。2019年は10月26日に陸上自衛隊立川駐屯地などで行われ、43大学が参加した。

※2)出雲駅伝(出雲全日本大学選抜駅伝競走)、全日本駅伝(全日本大学駅伝対校選手権大会)、箱根駅伝の三つ。

「弱かった自分たちを変える最大のチャンス」

相楽 豊駅伝監督

所沢キャンパスのグラウンドで、練習の指示を出す相楽監督

2003年早稲田大学人間科学部卒(福島・安積高卒)。競走部在籍中、箱根駅伝では1年次に山登りの5区を走る。3年次は6区の山下りも経験した。卒業後、教員を経て2005年より10年間競走部長距離コーチを務め、2015年に競走部駅伝監督に就任

――箱根駅伝2019でシード落ちが決まったとき、選手たちはどのような様子でしたか。

何が起きたか分からないというような、頭が真っ白な状態でした。競技日程はどうなるのか、予選会はどういう雰囲気なのか。本当に右も左も分からない状態で進んでいくという不安からスタートすることになりました。

――シード落ち後、どのように練習に取り組んできたのでしょうか。

昨年1年間の行動・気持ちの緩みなどがあって悪い結果につながってしまったという反省から始まりました。今年の全日本は6月下旬の地区選考会から参加しなければならなかったのですが、これは選手にとって初めての経験でした。そして箱根の予選会から1週間程度で全日本の本戦があるという、非常に厳しい日程が待っていました。それを乗り越えるタフな精神力・体力をどのように付けていくべきか。いろんなものを変えなければいけないということは分かってはいましたが、どう準備したらいいのか、手探りの状態でした。

競走部各選手は、思い思いの言葉・目標を所沢のグラウンドに掲げている

「非常につらい経験になったが、これを乗り越えなければいけない。早稲田は強くあるべきで、今は弱かった自分たちを変える最大のチャンスなんだよ」ということを選手たちに伝えました。

――今年度、駅伝主将となった太田選手は前回の箱根ではエース区間と言われる2区を走り、区間18位。非常に悔しい思いをしましたが、全日本では区間新記録を達成する好走を見せました。

全日本駅伝の2区に出場し、8人抜きの好走を見せた太田主将

太田は本来であればエースとしてチームの中心となる存在です。選手たちの推薦があって主将となりました。普段から多くは語らないのですが、要所で物事の本質を見抜く能力が高く、練習の様子や試合の結果で引っ張っていくタイプです。

――11月下旬の10000メートル記録挑戦競技会で、新迫志希選手(スポーツ科学部4年)、宍倉健浩選手(同3年)、太田直希選手(同2年)、鈴木創士選手(同1年)ら4名が自己ベストを更新しました。

シード落ちをしていない状態であれば、この時期はあまり記録が出ません。例年とスケジュールが違ってハードなレースが続いたので、長距離となるハーフマラソンではなく、トラックに出場することで状態確認をしました。高速化が進んでいる箱根駅伝のスピード練習の一環でもありました。

――箱根駅伝予選会は9位という下位での本戦出場決定となりましたが、チーム状態は上向いているように見えます。

予選会は当日、選手に体調不良などがあって、それが結果に出てしまいました。大いに反省しなければいけないことです。9位という順位になったことで翌日に選手ミーティングを開きました。今年初めから掲げてきた「箱根3位以内」という目標を変えるべきではないかと、私が提案したんです。「シード権獲得に変えよう」というような現実的な意見もありましたが、苦しかったから下方修正するのではなく、「全学年で決めた高い目標に合わせてみんなで変わろう」という意見が出ました。「強い早稲田に憧れて入ってきた。自分たちの代で弱くするわけにはいかない」という声も上がり、「3位以内」という目標を変えることなく、今、チームは一丸となって練習に取り組んでいる状態です。

10000メートル記録挑戦競技会では自己ベスト更新が続出し、選手は健闘をたたえ合った

――今年の早稲田の強みや注目の選手を紹介してください。

2019年の箱根駅伝3区を走り区間10位となった千明選手

真面目で物静かなのですが、揺るがない、動じない、真っすぐにこつこつと、という地道に練習に取り組む選手が多いことが今年のチームの特徴です。大爆発はしないかもしれないけれど、大崩れはしないという選手がそろっています。近年の駅伝は高速化が進んでいることもありますが、「層の厚さ」も鍵となっています。「穴」となるような区間を少なくしなければなりません。前回はエース太田が不調だったときに、カバーできる選手がいなかったことが低迷の原因の一つでした。

主将の太田、中谷雄飛(スポーツ科学部2年)、千明龍之佑(同2年)の3本柱がエース区間を担うことになるかなと思いますが、重要なのは残りの7人です。7人がどれだけ3人のエースに近づけるのか、穴があいてもカバーできるかというところに注目して応援してほしいと思います。

――早稲田の復活を期待しています。

今年は厳しい日程を乗り越えるために、私が監督になってから最も多い練習量をこなしてきました。練習前のウォームアップを見直し、故障をしないように練習のボリュームを増やして、質も上げていきました。昨年のこの時期は二人のエースが故障していましたが、今、主力で走れない状態の選手は一人もいません。100%に近い状態で準備に入れるかと思います。しかし、箱根駅伝2020の特徴は「戦国時代」と言われる通り、どこの大学が勝つか全く分かりません。各大学の力は拮抗(きっこう)していますので、競っているときに負けない精神力がないと良い結果は出ないでしょう。他大学のことを気にするのではなく、自分たちができるベストを尽くすのみ、だと思っています。

「最後のエンジのユニホームに、全ての思いを込める」

駅伝主将・太田 智樹(スポーツ科学部4年=静岡・浜松日体高卒)

――シード落ちが決まったときは何を思い、またチームメイトとどのような話をしましたか。

シード落ちしたのは、基本的に2区を走った自分が悪かったためで、すごく悔しかったし、申し訳ないと思いました。翌日の1月3日は誰とも話しませんでしたが、その後「とにかく自分たちの代で、まずはシード権を取り返そう、強い早稲田を取り戻そう」ということをチームメイトと話しました。

――駅伝主将に指名されました。

昨年度は、いい結果をチームとしても個人としても出せなかったので、チームとしても個人としても、強い早稲田を取り戻そうと思いました。自分はどちらかというと、言葉で語るタイプではないので、練習やレースで見せる自分の姿で、チームに思いを伝えたいと思っています。

練習前の挨拶をする太田主将(右)と相楽監督

――自身の調子やチームとしての手応えはいかがですか。

1年生のときに出場した2017年の箱根駅伝。8区を任されてタスキを受ける太田主将(左)= 共同通信

あくまで昨年と比べれば、チームの調子はいいかもしれませんが、手応えをつかんでいるかというとまだ分からないです。全日本では6位でしたが、上位5大学とはかなり差が開いています。10000メートル記録挑戦競技会では4名の選手が自己ベストを出しましたが、青山学院大学さんの方が、ずっと良い記録でした。まだまだ力が足りないと思っています。自分自身はそれほど調子が良いわけではないのですが、けがをしていた昨年と比べれば、実力を発揮できると思っています。

――箱根3位以内というチームの目標を達成するために何が必要だと思いますか。

全日本駅伝では5位以上の上位校は、僅差でひしめき合っています。今年はどの大学も実力が拮抗している状態なので、とにかく失敗しない大学が順位を上げて来ると思っています。まず失敗しない駅伝、そして失敗をカバーできる力が必要だと思っています。

――特に太田選手自身が取り組んできたことはありますか。

前回の箱根駅伝では苦しい展開に。太田主将は最後の“エンジ”に全てを込める

けがで練習ができなかった昨年の経験から、継続して練習をしていかないと実力が付いてこないということを強く感じました。無理をしてしまった部分があったので、けがをする前の線引きをしっかりして、危ないと思ったときは休むように意識して取り組んでいます。チームとしても朝練の集合後、けが防止のため、まず全員でストレッチを行うようにしました。冷え込む朝に関節や腱(けん)を痛めることがあったので、それをどう無くしていくかを考え、監督やトレーナーに意見を聞きながら、取り組みを始めました。1月からずっと続けて、約1年になります。

――それが主力に大きな故障者がいない、という状況につながっているのでしょうか。

もちろん要因はこれだけではないですが、けが人が減ったということは喜ばしいことです。

――箱根駅伝2020に向けた抱負、将来の抱負を語ってください。

前回はシード落ちという悔しい思いをしました。臙脂(えんじ)のユニホームを着て走るのはこれが最後。あの悔しさを晴らすためにも、4年生として、キャプテンとして、全ての思いをユニホームに込めて、チーム一丸となってタスキをつなぎます。卒業後は実業団で競技を続ける予定ですので、一度はマラソンにも挑戦したいと思っています。

撮影:高橋栄
競技写真提供:早稲田スポーツ新聞会

第96回箱根駅伝(東京箱根間往復大学駅伝競走)


【往路】2020年1月2日(木) 午前8時スタート
【復路】2020年1月3日(金) 午前8時スタート

箱根駅伝公式Webサイト

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