School of Sport Sciences早稲田大学 スポーツ科学部

News

ニュース

ポストコロナ時代におけるスポーツの価値

川上泰雄(スポーツ科学学術院・教授)

2010年制定の「スポーツ基本法」の理念に基づき、スポーツ庁は2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会(Tokyo 2020)とその後を視野に入れた第2期スポーツ基本計画(2017〜2021年度)を策定、「一億総スポーツ社会」の実現を目指しています。そのためには、科学的エビデンスに基づいた「スポーツの価値」の普及が不可欠です。

スポーツが人間や社会にもたらすメリットについては論を待たないと思いますが、近年、スポーツの多様化に伴って、その「価値」について、改めて考え直す時期に来ているといえるでしょう。コーチによる暴力的な指導が問題視されたことは記憶に新しいですし、ロールモデルとしてのアスリートの在り方や引退後のキャリア形成、パラリンピック開催国でありながら不十分な障がい者スポーツへのサポート、子どもの健全発育から高齢者の健康維持までを包含した、男女平等な、スポーツ実施の機会の提供方策等、未だ議論の成熟を見ていない日本の現状に思いが及びます。私の研究室で進めてきた研究(内閣府、総合科学技術・イノベーション会議のSIP戦略的イノベーション創造プログラム)において、中高齢者の身体特性や体力の詳細計測や、数年に及ぶ介入研究の結果に基づき、誰でも簡単に実行できる手軽な体操(SIPex;一部を写真で掲載)を考案し、西東京市の協力をいただきながら普及に努めています。しかし、新型コロナウイルスのパンデミックによる生活制限の下、運動を実施する機会すら損なわれているのが現状です。そのことに対する、日本のみならず世界各国の対応の遅れに、私はもどかしい思いを持っています。

このようなスポーツを取り巻く環境の変化を背景に、6月18日(木)に学術フォーラム「人生におけるスポーツの価値と科学的エビデンス」が実施されます。このフォーラムは、主催団体である日本学術会議宛に、鈴木大地スポーツ庁長官より「科学的エビデンスに基づく「スポーツの価値」の普及の在り方に関する審議について(依頼)」という審議依頼がなされたことをきっかけとして、1年以上をかけて有識者により構成された委員会において議論された結果を踏まえた提言を発表する場となります。

学術フォーラムでは、一流スポーツ選手や研究者、アスリートへの科学的サポートの専門家による話題提供や、パネルディスカッションが行われます。上記委員会メンバーとして、私も参加する予定です。

スポーツの在り方が多様化する中での「スポーツの価値」について、(残念ながら延期されてしまいましたが)Tokyo 2020を含めたメガイベントを主催する日本の、しかもアカデミアからのこうした提案がなされる意義は高いといえます。また、新型コロナウイルスのパンデミックがもたらす世界中の人々の心身に生じ得る健康問題への対策について、いまこそ、日本が先頭となって、真剣に考え、提案してゆくべきだと思います。

 

学術フォーラム「人生におけるスポーツの価値と科学的エビデンス」−新型コロナ感染拡大後の社会のために

実施日時:2020/6/18(木)13:30-17:00オンライン開催

学術フォーラムに関する情報は、以下のサイトでご確認ください。

http://www.scj.go.jp/ja/event/2020/285-s-0618.html

Page Top
WASEDA University

早稲田大学オフィシャルサイト(https://www.waseda.jp/fsps/sps/)は、以下のWebブラウザでご覧いただくことを推奨いたします。

推奨環境以外でのご利用や、推奨環境であっても設定によっては、ご利用できない場合や正しく表示されない場合がございます。より快適にご利用いただくため、お使いのブラウザを最新版に更新してご覧ください。

このままご覧いただく方は、「このまま進む」ボタンをクリックし、次ページに進んでください。

このまま進む

対応ブラウザについて

閉じる