School of Sport Sciences早稲田大学 スポーツ科学部

株式会社広島東洋カープ 川口 盛外さん(2007年3月卒業) 早大準硬式野球部からプロ野球へ

卒業生からのメッセージ

早大準硬式野球部からプロ野球へ

川口 盛外(2007年3月卒業)

この春、スポーツ科学部のOBである川口盛外さんが、広島東洋カープ球団から指名され、幼い頃からの夢であったプロの道へ進むことになった。川口さんは、在学時に早稲田大学準硬式野球部に所属しており、準硬式野球部の創部以来初となるプロ野球選手が誕生したことにもなる。新春のキャンプ合流を目前に控えた川口さんに、スポーツ科学部で過ごした4年間と、プロ入りへの思いを語ってもらった。

取材に応える川口さん

取材に応える川口さん

―スポーツ科学部に進学を決めた理由は何ですか

スポーツ推薦入試で準硬式野球部(以下、準硬)に声をかけていただき、推薦してもらいました。もともとスポーツ関係のことを学びたいと思っていたので、スポーツ科学部はぴったりでした。

―大学時代は部活と勉強のバランスはどのようにとっていましたか

比較的自由な部活だったので、部活と勉強の比重は自分で考えることができました。学期末のテストが近いから野球の割合を減らすとか、大会が近いから野球に集中するなどのバランスは自分で調整していました。一年生の頃から必ず将来は再び硬式野球の球を握るんだっていう強い決意を持って野球をやっていたので、野球と勉強を両立させてしっかりやるんだっていう気持ちでやっていましたね。

topics04_10_02

―「将来は硬式をやる」ということは、入学前から目標としていたのですか

はい。やっぱり私は硬式野球をやりたくて。大学でも硬式をやりたかったのですが、高校3年生の夏に肩を壊してしまい、推薦入試などの声をかけてくださる大学は皆無という状況でした。そんな時に早稲田の準硬が声をかけてくださり、早稲田の準硬に恩返しする意味でも、卒業後に自分がもう一回硬式を握って、野球をやっている姿を後輩たちに見せられれば準硬も活気付くと思いました。

―実際にスポーツ科学部に入学し、学んでみていかがでしたか

高校までの保健・体育の授業の延長では決してなく、アスリートに必要なことを学べる、あるいはプロ野球やプロサッカーのマネジメント面で必要なことを学べるという点で、私には本当にどの授業も新鮮で、学校に来るのが楽しかったですね。ここで一生懸命学んで、自分の糧にできたり、自分のプレーに活かせたら、こんなに良いことはないと思っていました。大学の4年間で自分の身体構造を深く理解できましたし、プロスポーツの経営の裏側にも興味を持つことができました。

―印象に残っている授業はありますか

授業はどれも為になるものでしたが、偉大なOBの方や、著名な選手の方の話を聞けたのは、大変印象に残っています。そういう方の話は普段聞きたくても聞けないものですよね。授業に登壇いただいた方々の考え方や生活スタイルを直接聞けたのは、得るものが大きかったです。

―スポーツ科学部で学んだことで、実際に競技で役立ったことはありますか

栄養学ですね。食事や、試合でコンディションをトップに持っていくためのアプローチの仕方が、すごく勉強になりました。大学では一人暮らしをしたのですが、高校の時までは家では皿も洗ったことがないし、洗濯もしたことなかったんです(笑)。栄養学で勉強したノートを見て、メニューを考えて自炊しました。良い思い出です。
また、いざゲームに出た時に、精神面も含めて、どうやって自分の投球をコントロールしようかということも噛み砕いて自分のものにできました。他にも、スポーツ医科学クリニックでは、一度痛めてしまった肩の再発を防ぐサポートをしてもらい、現役時代も助かりました。

―社会人野球の道を選んだ理由は何ですか

たくさんの人に僕自分のピッチングを見てもらいたい気持ちがありましたし、野球を仕事にすることにずっと目標としていました。野球をやっている以上はプロになりたかったのですが、大学卒業時の自分には、プロは難しいと思いましたので、アマチュア最高の舞台に何とか滑り込みたいという思いでした。大学4年間、毎年都市対抗野球を見に行っていたので、あの舞台で投げたいという憧れをすごく強く持っていたんです。

―ゼミの研究の中などで、自身のパフォーマンスに関する研究などもしたんですか

私の卒業論文は「ピッチングにおける体重移動と球速の関係」でした。膝の使い方を深く分析してみると、自分が思い描いていたピッチングフォームと違い、想像以上に体がうまく使えていないことが分かりました。自分の投球だけでなく被験者を募って他の野手の選手の分析もするなど、実験を行いました。
具体的には、僕自身あまり球が速く無いので、球が速いピッチャーとそうじゃないピッチャーの差を研究しました。その中で前膝の使い方がポイントではないかというのを見つけて、その根拠をずっと研究で探していきました。その結果、かなり膝が曲がってしまうのとある程度ハリをもって投げているのとでは、回転のスピードや腕への力の使い方が違うというのが分かりました。ゼミのメンバーと一緒にキャンパスに泊まって研究するなど、とても有意義な時間が過ごせました。

―いつ、プロ野球への転進を決意されたんですか

社会人野球に入った当初は正直、私の力が通用するとは考えておらず、大学時代に硬式でやってきた選手には勝てないのではという不安もありました。でも王子製紙に入社させていただき、打たれて当たり前と開き直って競技を続けたら、意外と試合を作ることができたんです。それが自信にもなり、自分でもプロを目指せるんじゃないか、チャンスがあるのであれば挑んでみるべきだと思い決意したんです。

―社会人野球で2年間投げてきた中で勉強になったことは何ですか

大学4年間は正直自分が崩れたら終わりだという自負を持って投げていたのですが、社会人の世界ではやはりすごいピッチャーがたくさんいました。その中でピッチャー陣全員で勝ち抜くことの大切さを知ることができました。また甘い考えでは打たれることを痛感し、打たれることの怖さを知った2年間でもありました。大学時代に経験した配球、ゲームの作り方にも修正を加えつつやっていきました。

―社会人野球での経験を、プロではどのように生かしていきたいと考えていますか

もともと私は高校・大学とドラフトがかかるような選手ではないので、今年のドラフトが最初で最後のチャンスだと考えていました。高校生、大学生卒業後すぐにプロに入る人には「若さ、将来性」などの強みがあると思いますが、社会人から入る自分には「実践、経験」等の強みがあるはず。野球ではもちろんのこと、人間関係や生活面といった野球以外の面でも生かしていきたいですね。

―これから練習にも合流することになりますが、今の意気込みをお願いします。

広島でドラフトかかった選手が社会人では私だけなんで、やっぱり社会人で2年間やった意地を見せなきゃいけないとは思っています。また「準硬ってこんなもんか」って言われないような行動をしていきたいって思っています。

―最後に後輩達へ向けてメッセージをお願いします。

私自信ずっと思っていることなんですが、「夢は諦めちゃいけない」って強く思っています。夢を夢のままあやふやしにして生活するよりも、「こういう風になりたい」っていう選手像を頭の中で描いて、それに近づくためにはどうしたらいいかっていうことをしっかり考えてほしいと思います。低い目標よりも高い目標を目指してほしいですね。手が届かないところを目標にしてもいいと私は思っています。やっぱり自分の中で強く思ったことを、実現できるような実行力が大事だと思っています。

topics04_10_03

川口 盛外(かわぐち・たけと)

1985年静岡県生まれ。2004年スポーツ科学部入学。大学4年次に早稲田大学準硬式野球部主将を務める。2007年スポーツ科学部卒業。2008年王子製紙硬式野球部入団。2010年広島東洋カープ入団。

 

 

2010.04.13 update

Page Top
WASEDA University

早稲田大学オフィシャルサイト(https://www.waseda.jp/fsps/sps/)は、以下のWebブラウザでご覧いただくことを推奨いたします。

推奨環境以外でのご利用や、推奨環境であっても設定によっては、ご利用できない場合や正しく表示されない場合がございます。より快適にご利用いただくため、お使いのブラウザを最新版に更新してご覧ください。

このままご覧いただく方は、「このまま進む」ボタンをクリックし、次ページに進んでください。

このまま進む

対応ブラウザについて

閉じる