卒業生からのメッセージ
好きなこと=スポーツ、を仕事にする
山口 剛(2008年3月卒業)
皆さんは好きなことを仕事にしたいと思いませんか。
好きなことを仕事にすると好きではなくなってしまうから好きな事は仕事にしない方がいいと思うかもしれません。確かにスポーツビジネスに関わる場合、ファンと同じ感覚で仕事に携わるのは難しいと思います。当然自チームを応援する必要はありますが、ファンのように試合を見ることはほとんどなくなります。

新たな環境で自己研鑽に励む筆者
それでも私は好きなこと、つまりスポーツを仕事にしたいと思います。何故ならスポーツは映画や音楽以上に感動を与えるコンテンツであると考えているからです。例えば2002年に行われた日韓共催ワールドカップ、これほどまで日本国民が注目し熱狂したものがあったでしょうか。スポーツには人の心を動かす力があると思います。
ただ、残念なことにプロスポーツチームに就職したいと思う学生の数と実際に採用に至る学生の数は大きなギャップが生じていると思います。プロスポーツチームは新卒よりも即戦力となる人材を求めているからです。将来的にはスポーツビジネスには大きな可能性がありますが、現状はそれほど大きな事業規模ではありません。プロスポーツ選手の高額な年俸や、高い露出度の割りに事業規模は一中小企業程度なのです。
中には新卒のうちからプロスポーツの現場で働きたいと思う方もいるかもしれません。でも現実の社会は成果主義です。近年スポーツがビジネスとして認知されるようになり、優秀な人材がスポーツ界に移ってくるケースが増えています。そうなった時に経験豊富な彼らと同様の成果を出すのは非常に困難です。だからこそまずは、個人の力を身につけることが必要だと考えています。
そのような思いから、スポーツビジネスという観点だけでなく、自分自身の成長という視点から就職活動を行いました。そして現在、私はプロスポーツを単体の事業として扱う楽天株式会社に勤めています。
前述したとおり、プロスポーツチームは新卒よりも即戦力となる人材を求めているのが現状です。それでも、いや、だからこそ、大学でスポーツビジネスを学ぶことには大きな価値があると思います。何より学生のうちからスポーツをビジネスとして意識することができる点が大きいのではないでしょうか。スポーツは世間の注目度が高く無意識のうちでは娯楽としてみてしまう傾向があります。スポーツビジネスを学び収益モデル、オペレーション等を意識してスポーツを見ることで新しい視点を若いうちから手にすることができる。これがスポーツ科学部最大の魅力だと思います。
例えば、先日、私は東北楽天ゴールデンイーグルスの本拠地である仙台で野球団の研修を行いました。実際に仙台市民の方と話をして、多くの仙台市民に支えられて球団が成り立っているのだと感じました。大げさかもしれませんが、仙台市民の心のよりどころになっているのではないでしょうか。イーグルスのジャンパーを着て町を歩いていると多くの方から温かい声をいただきました。スポーツチームが地域に密着し、地域の住民から愛されていると感じた瞬間です。実際の現場に出て、肌で感じた地域密着は心温まるものでした。教室の中だけでは得ることのできない感覚でした。
ただ、このように感じることができたのも、私が4年間スポーツビジネスを学んでいたからだと思います。理論をしっかり学んだうえで、仙台に訪問したから感じ取ることができました。
学生時代、「トップスポーツビジネスの最前線」という授業の中で楽天株式会社の三木谷浩史社長がゲストスピーカーでいらっしゃったことがあります。当時は将来自分が社長と呼ぶ人だとは思ってもいませんでした。三木谷社長から楽天イーグルスの生い立ち、スタジアムビジネス等の話をしていただき、イーグルスが初年度から黒字化を達成した秘訣を知ることができました。このようなバックグラウンドを学生時代に学んでいたからこそ、仙台の人とも分け隔てなく話をできたのだと思います。
好きなことを仕事にするためには、客観的な視点も必要になってくるはずです。スポーツビジネスを学び日本のスポーツビジネス界を一緒になって変えていきましょう。
山口 剛(やまぐち・つよし)
東京都出身。埼玉県立川越高校出身。2008年3月スポーツ科学部を卒業。在学中はスポーツビジネスコースおよび作野誠一ゼミに在籍し、株式会社北海道日本ハムファイターズで1年間インターンシップを経験する。2008年に楽天株式会社に入社。将来の夢はプロスポーツを通じて社会を元気をエンパワーメントすること。
2008.05.30 update