本学スポーツ科学部を卒業し、8月から金沢医科大学医学部に編入した。スポーツ科学部での経験を通して、医師になろうと決意したからだ。
人々の心を動かすスポーツの力に魅了され、私はスポーツ科学部に入学した。将来は、アスレチィック・トレーナーになり、主役である選手を支え、スポーツが人々に感動を与える過程にかかわりたいと考えていた。そのために、スポーツ医科学クリニックやボクシング部、柔道部で学生トレーナーとして実際のスポーツ現場の活動に参加した。それらの現場で、ケガによる痛みや不安を抱える選手たちとかかわってきた。また、医療体制の整備が不十分な学生スポーツの現状を知るようになった。そして、現場で選手たちの心身の痛みを共感することができた学生トレーナーとしての視点や経験をもつ私が医師になり、医師の立場からスポーツ環境の向上に寄与したいと考えるようになった。
医学部学士編入試験は、大学によって試験内容が異なり対策が立てにくいなど、努力が報われないものだとよく言われる。それを覚悟してはいたが、学部4年生時と卒業後の勉強や受験(編入試験は08年7月受験)がうまくいかなかったときは、あきらめるべきなのか、と心が揺らぐことも何度もあった。しかし、私の夢を聞いてくれ、私の将来を真剣に考えてくれ、応援してくれる家族や先生、友人がたくさんいたから、あきらめずに頑張り抜くことができた。月並みだが自分は本当に多くの人に支えられていること、人は一人では決して生きていけないということを、これまでにないくらい強く感じている。
今では、一日一日が将来につながっていることを実感しながら充実した日々を送っている。私がこのような実感を持てるのも、遠回りをしたからこそなのかもしれない。
誰にでも、悩み、迷い、不安になることはたくさんあるし、苦しいだろうけれど、それは少しずつでも前に進んでいる証である。そんなときこそ自分はどうしたいのか、という自分の正直な気持ちと真摯に向き合い、時間がかかっても納得の行く道を見つけるべきだと私は思う。そうして決めた道なら、自分を信じる気持ちをもって困難を乗り越えられると考える。
今のこの気持ちを忘れず、これからも直面するであろう多くの壁にも、夢の実現のために、とことんぶつかって行きたい。
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