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  • 「エネルギー転換期におけるエネルギー政策の展開と法的課題―EU、ドイツと日本―」9月8日開催されました

「エネルギー転換期におけるエネルギー政策の展開と法的課題―EU、ドイツと日本―」9月8日開催されました

「エネルギー転換期におけるエネルギー政策の展開と法的課題―EU、ドイツと日本―」9月8日開催されました

0908

TUE 2026
Place
早稲田キャンパス8号館308教室
Time
13:30-17:00
Posted
Wed, 05 Aug 2026

国際シンポジウム「エネルギー転換期におけるエネルギー政策の展開と法的課題―EU、ドイツと日本―」

【主 催】 科研プロジェクト:基盤研究(B)原子力エネルギー政策の変容に対応する放射性廃棄物等の管理・処分に関する法政策研究(研究代表者 下山憲治)
【共 催】早稲田大学法学部、早稲田大学比較法研究所、先端技術の法・倫理研究所
【日 時】2026年9月8日(火)13:30~17:00(予定)
【場 所】早稲田キャンパス 8号館308教室
【講演者名】Wolfgang Durner・ボン大学・教授、Armin von Weschpfennig・ヘルムート・シュミット大学・教授、下山憲治・早稲田大学・教授
【使用言語】ドイツ語、日本語
【通訳】あり
【通訳担当者】山本紗知・大阪大学高田実宗・駒澤大学
【開催概要】
開会の辞(シンポジウムの趣旨等) 下山憲治
(1)Armin von Weschpfennig教授(ヘルムート・シュミット大学):「EU及びドイツにおけるエネルギー転換とその手法論(Instrumente der Energiewende in EU und Deutschland)」(日本語通訳付)
(2)Wolfgang Durner教授(ボン大学):「ドイツにおける風力発電に向けた整備と問題(Ausbau der Windenergie in Deutschland)」(日本語通訳付)
閉会の辞
【参加者申請方法】事前登録
申請フォームはこちら
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScAj0C-MY26zspGZ7357dGFKBd5hOND6I2v7qLiItOMxpstxQ/viewform?usp=sharing&ouid=111477258465141042264

  • 【開催概要】開会の辞

本シンポジウムを主催する科研プロジェクトの研究代表者である早稲田大学法学学術院の下山憲治教授より、開会の辞が述べられた。日独は再生可能エネルギーの普及という方向性を共有する一方、地理的・社会的条件や原子力エネルギーへの取組みには大きな違いがあることが示され、原子力に限らずエネルギー全般を見渡す必要があるとの問題意識から本シンポジウムを主催したこと、本日はEUおよびドイツを中心に議論することが説明された。

  • 第1報告:「EUおよびドイツにおけるエネルギー転換の手法」

第1報告では、ヘルムート・シュミット大学のアーミン・フォン・ヴェシュプフェニヒ教授より、EUおよびドイツにおけるエネルギー転換の手法について報告がなされた。報告では、まず、エネルギー転換の対象として電力供給、熱供給・交通、分野の結合、水素が整理され、受容性の欠如という問題が指摘された。次に、経済的手法として環境賦課金、財政上の支援手法、排出量取引(ETS I・ETS II、二酸化炭素の国境調整措置)が説明された上で、価格高騰に対する負担軽減策の繰り返しにより、受容性促進のために制御機能が損なわれていること、また必要な市場は自律的には形成されないことが多く、とりわけ送電線や導管に結びついたインフラには国家による計画・許認可が欠かせないことが、経済的制御の機能的限界として示された。さらに、経済的・秩序法的な微制御を伴う計画として、2038年までの脱石炭、送電網および再生可能エネルギーの拡張に係る制度が紹介され、建物エネルギー法の改正経緯については、立法者が建物分野について整合的な全体構想をなお欠いていることを自ら認めたものであると指摘された。総括では、法的に構築された市場は可能な限り早く競争に委ねるべきこと、命令・禁止と経済的負担の併用は政治的正統性の観点から精査を要すること、頻繁な制度変更を避けて手法の組み合わせを改善すべきことなどが示された。

質疑応答では、スマートメーターとAIの活用、重要インフラのレジリエンスに関する質問に対し、AIの活用はなおパイロット段階にあること、重要インフラにおけるAIの利用にはEUのAI規則による厳格な要件が課されること、本年初めのベルリンでの攻撃による大規模停電にみられるように送電網の防護が課題であることが説明された。会場からの質問に対しては、再生可能エネルギー拡大の必要性と住民の受容との乖離や、自治体の熱供給計画と建物ごとの義務とがほとんど連携していない現状が示された。

  • 第2報告

第2報告では、ボン大学のヴォルフガング・ドゥルナー教授より、ドイツにおける風力発電の拡大をめぐる法的問題について報告がなされた。まず財政的支援について、再生可能エネルギー法による優先給電と買取義務、欧州単一市場との両立の問題、賦課金制度から税収による財源調達への転換、競争的入札制度への段階的な移行が説明された。計画法については、2022年以降、各州に風力発電用地の面積目標を課し、期限までに達成できなければ計画による立地の制御が及ばなくなる新たな仕組みが導入されたことが紹介された。許認可法については、鳥類やコウモリの保護との対立を背景に、2023年の改正再生可能エネルギー指令による手続の迅速化など、EUによる自然保護の後退が説明された。さらに、新たな法的手段として、再生可能エネルギー施設を「顕著な公益」に位置付ける法律上の優先と、事業会社の持分の少なくとも20%について周辺の自治体や住民に購入を申し出ること等を事業者に義務付け、2022年に連邦憲法裁判所によって概ね合憲とされたMV州(メクレンブルク=フォアポンメルン州)市民・自治体参加法が紹介された。最後に、洋上風力の許認可と入札の枠組みに触れた後、将来展望として、本年7月に連邦政府が決定した改革案により、系統に関するリスクを事業者に段階的に転嫁し、風力発電の拡大を市場の法則の下に置こうとする方向性が示された。

質疑応答では、原子力発電を継続する日本との違いを踏まえた原子力利用の持続可能性について質問があり、MV州のように自治体や住民が事業に参加する仕組みは日本にも参考になるとのコメントが寄せられた。これに対しドゥルナー教授からは、福島の事故を受けた脱原発は世界的にも類を見ない極端な対応であり、その結果、小型炉の開発に関与できず、新たなガス火力発電所の建設を迫られていること、脱原発は欧州の電力網に組み込まれていたからこそ可能であったことが説明された。また、自然保護の後退は環境運動に分断をもたらす一方、風力発電を市場で自立し得る段階に近づけたとも評価し得ることが述べられた。

  • 閉会の辞

最後に、下山教授より閉会の辞が述べられ、シンポジウムは閉会となった。

 

(文:杜 雪雯 比較法研究所助手)