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【開催報告】2025年度第2回比較法研究所スタディセミナー「比較法の視点からみる日米のDEI政策:アメリカでの研究から見えたアメリカ社会の今」が開催されました
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- 2025年11月17日(月)
比研共催公開講演会・スタディセミナー
「比較法の視点からみる日米のDEI政策:アメリカでの研究から見えたアメリカ社会の今」
【主 催】早稲田大学比較法研究所、早稲田大学法学部、ハイデルベルク大学京都オフィス
【日 時】2025年11月5日(火)17:00-18:30
【場 所】 ハイブリッド方式(Zoom・早稲田キャンパス 8号館308教室)
【講演者】西田 玲子 比較法研究所次席研究員・日本学術振興会PD
参加者:11名(うち学生1名)
比較法研究所では、学生のみなさん(学部生・大学院生を含む)を主な対象として、外国の法文化に対する理解を広めることを目的とした「比較法研究所スタディセミナー」を定期的に開催しています。このセミナーは比較法研究所の研究成果を学生の皆さんに還元することを目的としており、これまで比較法研究所が開催してきた公開講演会やシンポジウムのような、もっぱら研究者や実務家を対象とした専門的なものに限定せず、比較法の面白さや外国法に関する知見を、できるだけわかりやすい内容で学生のみなさんに伝えるものです。
今回のスタディセミナーでは、労働法がご専門の西田玲子・比較法研究所次席研究員を講師に迎え、ご自身の研究テーマであるアメリカのDEI(多様性・公平性・包括性)政策についてお話をいただきました。
セミナーでは主として3つの話題が出されました。まず、障害者の雇用に関するアメリカと日本の法制度とを比較し、歴史的な視点も織り交ぜつつ、雇用の慣習や社会の考え方の違いなどにも触れ、比較法の意義をさまざまな例を交えて解説いただきました。次に、アメリカの現政権下でDEI政策がどのように変化しているのかについて、今夏までアメリカに滞在していた西田先生がワシントンD.C.での現地調査や生活を通じて体験したことをお話いただきました。またこのパートでは、DEI政策に限らず、大学への予算削減、学生ビザ面接の停止、移民局(ICE)の監視強化、州兵の派遣など、大統領令が社会に与えている影響などについても、ご自身の経験や周囲の方のエピソードなどを交えて詳しくご紹介いただきました。そして最後に、海外で研究することの意味、受け入れ先の探し方、研究費や奨学金の獲得方法、現地での生活の様子などについてお話いただき、西田先生ご自身の経験談・失敗談を踏まえた若手研究者に向けたアドバイスなど、実感のこもったリアルな情報を共有してくださいました。講演中には参加者らと西田先生との間で活発な質疑が交わされ、全員でアメリカの「今」を考える、非常に有意義な時間となりました。
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比較法研究所スタディセミナーでは、これからも、大学院進学や研究者を目指している学生の皆さんに向けて、比較法の魅力や、法律の背景にある社会を理解することの大切さ、そして海外で学ぶことが人生や研究にどんな広がりをもたらすかを伝えたいと考えています。もし、「こういう企画やテーマであれば参加してみたい」といったご意見やご要望がありましたら、どうぞお気軽に研究所までお寄せください。
(文:種村佑介・比較法研究所員)