比較法研究所主催講演会
【主 催】早稲田大学比較法研究所
【共 催】早稲田大学法学部、早稲田大学法学研究科
=アメリカにおける憲法と政治=
【日 時】2025年6月14日(土)10:00-12:00
【場 所】早稲田キャンパス8号館219会議室
【言 語】英語 通訳なし
【講演者】ディヴィッド フォンタナ( ジョージ・ワシントン大学・教授)
【世話人】長谷部 恭男(早稲田大学法学学術院教授、比較法研究所員)
【対 象】学生、教職員、一般
参加者:14名(うち本学学生5名)
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冒頭、約40分にわたり、フォンタナ教授から、現在のアメリカ政治の状況が報告された。トランプ大統領による、対立する者をただ対立する者であるという理由で抑圧しようとする違憲・違法な権力行使は、政府職員の解雇、大学への補助金の停止や留学生のビザ停止、法律事務所との契約停止等のソフトパワーによるものから、軍を投入するあからさまな物理的抑圧によるハードパワーによるものへと変容しつつあり、それも大統領就任後の数カ月に起こりつつあることで、きわめて異常な状況にある。ただし、アメリカの政治体制そのものが専制的なものへと変化してしまうかと言えば、それに対してはいくつかの防御壁がある。第一が、表現の自由、第二は司法の独立をはじめとする権力分立、第三は連邦制である。
参加者との討議においては、アメリカ社会の多様性は歯止めにはならないのか、アメリカ社会の党派的分断はどこまで進行しているのか、現在の共和党(保守派)は従来のそれと同じか違うか、現在の政治状況がアメリカの国際的なソフトパワーに及ぼす影響、アメリカが大統領制をとることと現在の政治状況との関連性等のさまざまな論点について、活発な議論が展開された。
(文:長谷部 恭男・比較法研究所研究所員)