Institute of Comparative Law早稲田大学 比較法研究所

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【開催報告】共催セミナー「人工知能とデータプライバシー」が開催されました

RCLIPイブニングセミナー「人工知能とデータプライバシー」

主 催:早稲田大学知的財産法制研究所(RCLIP)
共 催:早稲田大学比較法研究所
日 時:2023年6月5日(月)19時00分~20時30分
場 所:早稲田キャンパス3号館 405教室
講演者:Michael Will氏(独バイエルン州データ保護監督局長)
コメンテーター:石井 夏生利(中央大学国際情報学部教授、個人情報保護委員会専門委員)
言 語:英語、日本語(逐次通訳あり)
参加者:75名(うち学生43名)

2023年6月5日、ドイツ・バイエルン州データ保護監督局長のMichael Will氏は、早稲田大学で開催されたRCLIPイブニングセミナーにおいて、「人工知能とデータプライバシー」に関する欧州・ドイツの最近の状況を紹介しました。


Will局長は、まず欧州連合(EU)において2020年から採択された、データアクセスの促進およびデータ利用の円滑化を図る一般法(horizontal law)を紹介しました。これらの立法は、とりわけビッグデータ仲介サービスや、デジタル要素を含む製品に注目しながら、互換性、データ保護などの側面にも留意しています。特に、新しい法律が出てきたとしても、EU一般データ保護規則(GDPR)こそがデータ保護の土台であることが常に強調されています。

これらの一般法のほか、セクターごとに適用される立法も注目に値します。特にコロナパンデミックを経た現在では、医療・保健のセクターに関するデータ法の議論が活発にされています。欧州委員会は、こうしたセクターごとのデータ法のプロジェクトをデータスペースというプロジェクト名で呼んでおり、この中ではセクターごとのソリューションが入り、一定の条件を満たせば、企業や当局がデータの共有・利活用が認められるようになります。

続きまして、Will局長はAI規制について説明しました。EUにおけるAI規制は、リスクベースアプローチという概念が非常に重要となっています。すなわち、リスクの程度により要件を差別化しているのがAI規制法案ですが、残りの課題としては、どのようなアルゴリズムがどのリスク類型に属するといった問題になります。また、AI規制法案の適用除外の範囲に関しても、未だに確定されてはいません。

最後に、Will局長は、AI規制法案とGDPRの緊張関係について、必要性、目的限定、透明性、説明責任といった四つの側面に体現されていると指摘し、講演をまとめました。


コメントにおいて、石井教授は、まずAIとデータの保護法制に関する従来の動向を整理した上で、日本とEUにおけるデータ保護の異同について解説しました。続いて、最近公表されたG7広島首脳コミュニケおよび個人情報保護委員会の注意喚起を踏まえて、AIとデータ保護に関する論点を以下のように提示しました。すなわち、AI規制の立法化の要否、個人情報保護法による新技術・サービスへの対応、とりわけChatGPTのようなサービスへの対応が論点に当たります。

ディスカッションにおいては、日本とEUにおけるセンシティブデータの取扱い、AIの出力規制の必要性、パブリックデータの利活用などについて、幅広い議論がされました。

(文:周洪騫・比較法研究所助手)

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