Institute of Comparative Law早稲田大学 比較法研究所

News

ニュース

【開催報告】12月の公開セミナー「SECの法執行事例分析―証券発行の際の空売りと公開会社取締役の資格」(若林 泰伸 教授 法務研究科)が開催されました

2019年12月4日(水)16:30~18:00
早稲田キャンパス 8号館6階606・607室
参加者数/学生数  12人(うち大学院生・学部生 4人)

12月4日に、比較法研究所公開セミナー「SECの法執行事例分析―証券発行の際の空売りと公開会社取締役の資格」が開催されました。
セミナーでは、まず、若林 泰伸研究所員(法務研究科教授)が、在外研究の成果を踏まえて、事例分析に基づいたアメリカ会社法・資本市場法の研究及び日本への示唆について講演を行いました。

この講演は、研究の動機、Regulation MのRule105の事例分析、公開会社における取締役の資格の三部構成となっています。

研究の動機では、証券発行市場の規制、公共債の市場法的研究、アメリカにおけるCSR・ESGに関する動向及び日本への示唆についての報告がありました。このうち、公共債の市場法的研究については、日本法の問題意識との関係からみると、不実開示の事例と法執行の内容が重要であることを指摘しました。また、CSR・ESGについては、ヨーロッパとアメリカの間に異なりが生じており、日本はどのような選択をすべきか、という問題提起がありました。

Regulation MのRule105の事例分析では、多くの事例を分析した結果、アメリカではRule105違反を摘発することで積極的に法を執行していることが報告されました。一方、日本では、アメリカのように金銭的サンクションを重くしても執行まで持っていくのは容易でないことへの懸念を示しました。

また、日本ではインサイダー取引に対して法が執行されるが、こうした取引に対して法の執行を強化することは違法取引の抑止につながるとし、偽装取引については、アメリカのように法の適用に関する実質を重視するという点が参考になることを指摘しました。

最後に、公開会社における取締役の資格については、日本では、金融商品取引法違反により処分を受けることは取締役の欠格事由の1つであり、違反行為には、大別すると、開示規制違反、不公正取引規制違反、報告・検査拒否・妨害・忌避及び裁判所命令違反の3種類があること、また、アメリカの刑の判断基準にはPatel基準があり、2020年サーベンス・オクスレー法による改正によって基準が緩和されることになったが、裁判所は要件緩和に対して消極的な姿勢を示したこと、更に、事例分析から、相場操縦、ストック・オプションのバックデート、インサイダー取引、ペニーストック・microcap、私益追求行為、詐欺、不正会計・不正な財務告等の行為につ いては、取締役への就任が終生禁止となる場合が多いこと、等が報告されました。また、アメリカ法の事例分析によると、O&D Barの適用条件、それが適用される違反行為の範囲が限定されることを指摘したほか、期間の限定を外すことと、対象範囲を絞り込むことは日本法の参考になると述べました。

講演後の質疑応答では、行政手続による和解、インサイダー取引に関わる期間、制裁金等、内容に関する質問があったほか、金商法と刑法を分けた事例分析の結果を聞きたいとの意見も出るなど、活発な議論が行われました。

参考
開催案内

 

Page Top
WASEDA University

早稲田大学オフィシャルサイト(https://www.waseda.jp/folaw/icl/)は、以下のWebブラウザでご覧いただくことを推奨いたします。

推奨環境以外でのご利用や、推奨環境であっても設定によっては、ご利用できない場合や正しく表示されない場合がございます。より快適にご利用いただくため、お使いのブラウザを最新版に更新してご覧ください。

このままご覧いただく方は、「このまま進む」ボタンをクリックし、次ページに進んでください。

このまま進む

対応ブラウザについて

閉じる