日時 2019年5月25日(土) 13:30~17:00
会場 早稲田大学早稲田キャンパス9号館5階第1 会議室
参加者数/学生数 ※ 39名(うち大学院生・学部生 14名)
2019年5月25日(土)に、早稲田キャンパスにて、早稲田大学比較法研究所・神奈川大学法学研究所共催の公開討論会「徴兵制も軍事司法もない軍隊の可能性と限界-『制服を着た市民』をめぐる日台対話-」が開催されました。
短編映画の上映、台湾の退役陸軍少将于北辰氏の講演に続いて、水島朝穂教授と于氏の対談が行われました。
水島教授は、戦後ドイツ(西ドイツ)における再軍備の過程で行われた、軍人を「制服を着た市民」とするためのさまざまな試みを紹介した後、于氏が部隊長時代に試みた「人間の顔をした管理」における軍事管理上の限界を指摘しました。
これに対して于氏は、台湾の軍隊は自発的に「制服を着た市民」にモデルチェンジしたわけではなく、人権と法の支配(通常裁判所による軍事裁判)、契約と市場の論理(募兵制への移行)など市民社会からの圧力によって制度改革を強いられているにすぎず、権威主義的文化は今も強く残っていると述べました。
しかし、于氏による試みは、台湾の軍将校の中にも、市民と同じ教養と価値観を持ち、ドイツ軍のように憲法、政治の教育や内面指導を重んじる「制服を着た市民」の諸原則を受容し、無条件に服従を求めることには批判的な者がいることを示しているといえます。
最後に、フロアと于氏との間で活発な質疑応答が行われ、元軍人と法律家の双方にとって、きわめて建設的で意義深い交流の機会になりました。