2019年度早稲田大学法学部横川敏雄記念公開講座
「スポーツと法」
日時:2019年6月1日~7月6日 毎週土曜日開催 全6回
会場:早稲田大学早稲田キャンパス8号館B107教室
今年9月にはラグビーワールドカップ、そして来年はいよいよ東京2020オリンピック・パラリンピック大会と、日本国内で国際的なスポーツ大会が相次いで開催されるビッグイヤーです。その一方で、プロ、アマチュアを問わずスポーツ競技とスポーツ選手をめぐる事件が相次いで報じられました。競技団体の適切な運営(ガバナンスの強化)や選手の人権への配慮が重要という考え方になってきましたが、そのための仕組みはどのようになっているのでしょう。スポーツをより発展させるためには法制度はどうあるべきなのでしょうか。スポーツに関する法制度について、専門の法律家がお話しします。
日 程 時間は6回とも13:00~14:30(3限)
6月1日(土) 1.スポーツ事故における責任と予防
競技スポーツでは、怪我や事故が避けられない。スポーツの種類、性質、対象者の年齢やスキル等でもそのリスクや予防の在り方は大きく異なっている。ここでは、学校現場での組体操、サッカーゴール、水泳の飛び込みなどの学校におけるスポーツ事故の責任と予防の問題を取り上げる。
日本スポーツ法学会前理事長、弁護士 望月 浩一郎
6月8日(土) 2.スポーツ仲裁の現状と課題
スポーツ紛争解決制度として、日本でも、2003年に公益財団法人日本スポーツ仲裁機構(JSAA)が設立されて、スポーツ仲裁・スポーツ調停などの低廉で、専門的かつ迅速な紛争解決の取り組みをしている。とくに、ここでは、日本におけるスポーツ仲裁の現状と課題を扱う。
前・日本スポーツ仲裁機構仲裁調停専門員、弁護士 杉山 翔一
6月15日(土) 3.EUにおけるスポーツ法の発展と動向
EUでは、EU法の優位性及び直接適用、超国家的な組織であるという特徴から、私的なスポーツ団体の自治を尊重しつつも、選手の人権保護や寡占化の排除のため、EU法、欧州人権裁判所、欧州司法裁判所などを通じて、スポーツ法の分野にも積極的に介入する。ここでは、EUにおけるスポーツ法の動向について取り上げる。
早稲田大学法学学術院教授、比較法研究所所長 中村 民雄
6月22日(土) 4.スポーツにおけるハラスメント・体罰・暴力の撲滅
スポーツにおいては、指導者・監督・コーチと選手との強大な権力関係の格差から、また、勝利至上主義に走りやすく、セクハラ、パワハラ、暴力、体罰が蔓延しやすい基本的な構造がある。そこで、ここでは、最近の暴力・ハラスメント事案を取り上げ、再発防止策を検討する。
早稲田大学法学学術院教授、JSAA仲裁人 棚村 政行
6月29日(土) 5.スポーツビジネスの規制と独占禁止法
オリンピック・パラリンピックなどメガスポーツイベントでは、スポーツビジネスの収益として、スポンサー収入、放映権料収入、商品販売収入などを最大化するため、統括競技団体が一括管理したり独占することが行われる。ここでは、アンブッシュマーケッティングの規制や移籍制限と独占禁止法等を取り上げる。
早稲田大学スポーツ科学学術院准教授、弁護士 松本 泰介
7月6日(土) 6.アンチドーピング体制の整備と課題
ソチ冬季オリンピックでのロシアの国家ぐるみの組織的ドーピングで、世界は大きな衝撃を受けた。日本では、これまでこのような悪質なドーピング違反事例はみられなかったものの、2019年のラグビーワールドカップ日本大会、2020年の東京オリンピック・パラリンピック大会を前にして、2017年にアンチドーピング体制の整備や防止活動を推進するために、アンチドーピング活動推進法を成立させた。ここでは、アンチドーピング体制について取り上げる。
東京大学理事、弁護士 境田 正樹
- 事前予約不要、どなたでもご参加いただけます。
- 問合せ:比較法研究所 03-5286-1807 [email protected]
【主催】早稲田大学法学部、比較法研究所