Institute of Comparative Law早稲田大学 比較法研究所

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【開催報告】シンポジウム「中国民法典の制定と比較契約法の課題」が開催されました

シンポジウム「中国民法典の制定と比較契約法の課題」

日 時 : 2017年11月22日(水) 14:00~17:30
場 所 : 早稲田大学早稲田キャンパス8号館3階会議室
参加人数: 25名(うち学生18名)
主催 早稲田大学比較法研究所
共催 早稲田大学法務研究科

姚輝(人民大学法学院教授) 「中国民法典制定における若干の重大問題」

朱虎(人民大学法学院准教授)「中華人民共和国民法典編纂における契約編の疑難問題」

丁相順(人民大学法学院教授)「機能主義と中日契約法の比較について」

中国では、1986年の民法通則の制定以降、担保法(1995年)、契約法(1999年)、物権法(2007年)、権利侵害責任法(2009年)などの単行法を制定してきたが、2020年を目途にこれらをまとめて中国民法典を制定することを考え、本年10月に民法総則を施行した。本シンポジウムでは、この編纂作業において提起されている契約法の諸問題を取り上げた。

中国民法典編纂上の重要問題として、人格権と契約総則の民法典体系上の位置をめぐる議論が紹介された。人格権を、不法行為法に規定するか、総則編に規定するか、あるいは独立した人格権法編を設けるかという問題、契約について独立の編を置くか(この場合には、事務管理、不当利得、不法行為を別の編とすることになる)、あるいは、契約、事務管理、不当利得、不法行為を債権法編にまとめるか、また、法律行為の規定を総則編に置くか、契約編に規定し単独行為等にはそれを準用するかという問題である。これらの問題の背景には、既に民法通則が概括的に法律行為を規定し、契約法が契約各則のほかに債権総則の規定を持ち、権利侵害責任法が詳細な不法行為規定を持ち、いずれも定着しているという歴史と、今日の社会が契約法と不法行為法で多様な紛争を大量に引き起こし、民法典が裁判官に具体的な判断基準を提示しなければならないことがあるとされた。日本の債権法改正作業における議論と比較検討された。

以上のほか、商事法を民法の中にどのような形で規定するか、予約の要件・効果、事情変更の原則、債務不履行の損害賠償請求と履行請求の関係、契約締結の自由と強制、債権者代位、インターネットによる契約締結をめぐる法律問題が議論された。

本シンポジウムは、中国人民大学法学院と早稲田大学法学学術院、および、人民大学比較法教研室と本学比較法研究所の間の学術交流の一環として開催されたが、今後も同様の共同研究が考えられている。

 

参考
開催概要

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