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【開催報告】国際シンポジウム「Privacy, Personality and Flows of Information in Japan, Present and Future」が開催されました

日時 2017年10月2日(月)13時00分~16時00分
場所 8号館3階会議室
講師 ヨセフ・ケナタッチ氏(マルタ大学教授・国連プライバシー権特別報告者)
宮下 紘氏(中央大学総合政策学部准教授)
紙谷雅子氏(学習院大学法学部教授)
司会 中村民雄
題目 “Privacy, Personality and Flows of Information in Japan, Present and Future”
対象 一般13名・院生・学生13名(うち本学学生2名)
言語 英語
主催 早稲田大学比較法研究所
後援 自由人権協会

概要:

本シンポジウムでは、情報化社会が急速に発展していくなかで重要視されてきているプライバシーの権利について、国内外における著名な情報法の研究者を招聘して報告と討論が行われた。

前半の個別報告のセッションでは、マルタ大学のヨセフ・ケナタッチ氏と、中央大学の宮下紘氏、学習院大学の紙谷雅子氏の3人が報告した。

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ケナタッチ報告では、まず自身がコンピューターサイエンスと法学を専攻したバックグラウンドを活かし、情報法の研究をはじめたという生い立ちについての説明があった。続いて、抑制されることのない自由な人格形成の権利とは、第一にプライバシー、第二に表現の自由、第三に情報へのアクセス権の3つの大きな柱で形成されると指摘し、プライバシーの権利は、人格形成において不可欠な要素であると主張した。

だがその一方で、そもそもプライバシーとはいったい何か、その概念は明確ではなく、欧米以外の国には、プライバシーに相当する単語すら存在しない国々もみられると指摘した。哲学者のヴィトゲンシュタインは、「私の言語の限界は、私の世界の限界を意味する」という名言を残したが、プライバシーに相当する言語がない国々では、果たしてプライバシーそのものが存在しないのか、ヴィトゲンシュタインの考え方に対して反駁するため、世界各地の村落を実際に訪問した体験を語った。

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続いて宮下報告では、日本におけるプライバシーの問題について、過去・現在・未来の観点から説明が行われた。日本とアメリカのプライバシーについて比較するにあたり、新渡戸稲造の『武士道』を引用し、アメリカでは夫婦が公然とキスをするが日本では家庭内でするといったように、「私的」な領域の区分が異なる点を指摘した。そして日本の憲法学におけるプライバシーの概念についてさまざまな憲法学者の見解を紹介するとともに、プライバシーについて問題となった過去の事例(2014年のJR大阪駅ビルでの通行人の顔認証実験や、同年のベネッセ個人情報流出事件)を紹介した。また2015年における個人情報保護法の改正内容を紹介するとともに、近年問題となっている忘れられる権利や、警察によるGPS捜査を挙げた。そしていわゆる共謀罪などが成立した日本の現状が国連で問題視されていることを最後に指摘した。

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紙谷報告では、プライバシーの問題についてジェンダーの区別はほとんど関係がないように思われるが、18-24歳の若い女性が、他の層の者と比べてオンライン上でハラスメントやストーカーの被害が多いといった特徴はあり、ただしこれがオフライン(インターネット以外の実生活)でもそうなのかはデータがなく比較できないが、もしもオンラインの特徴なら、ジェンダーの問題をオンラインのプライバシーの保護論に持ち込む必要があると主張した。

休憩後の討論のコメントのセッションでは、国際プライバシー専門家協会のオメール・テネ氏と、本学法務研究科の長谷部恭男氏が担当した。

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テネ氏は前半のセッションの3名の報告に対するコメントにとどまらず独自に補足の説明を行った。まず何をもって「合法」で「合憲」で「倫理的」なのか問題定義を行うとともに、情報プライバシーの根拠規定について、EUとアメリカとイスラエルを、憲法レベルと法律レベルで比較を行った。OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 

続いて長谷部氏はケナタッチ報告において、オーストラリアのアボリジニーの村落について紹介があったが、そもそもプライバシーとは、近代の工業化以降になりプライバシーについてより重要視されたものなのではないかという点を指摘した。

質疑応答のセッションでは、報告者とコメンテーターの間で白熱した討論が行われ、フロアへの質問の時間が不足してしまうほど盛況のうちに幕を閉じた。

参考
開催概要

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