Institute of Comparative Law早稲田大学 比較法研究所

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【開催報告】公開講演会「家族、社会、平等と法」(フレディ・スヴェイネ氏 駐日デンマーク王国大使)が開催されました。

公開講演会概要

「家族、社会、平等と法 (Familie, samfund, ligestilling og ret)

 

【日時】2017年9月27日(水)15:00~17:00

【会場】早稲田キャンパス8号館B107教室(B1)

【講師】フレディ・スヴェイネ(Freddy  Svane)駐日デンマーク王国大使

【演題】「家族、社会、平等と法 (Familie, samfund, ligestilling og ret)」

【通訳】松澤 伸 兼任研究所員・早稲田大学法学学術院教授

【司会】中村民雄

【参加者】学生(47名)、教職員・一般(34名)

 

1.開会挨拶

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中村所長から冒頭、2017年はデンマークと日本の外交関係樹立150周年となることから、デンマーク大使に現在のデンマークの社会と法の特徴についてご講演いただくことにした旨の説明があった。

2.大使講演概要 (講演はデンマーク語でなされ、松澤教授が逐次通訳をされた。)

OLYMPUS DIGITAL CAMERA デンマークは日本に比べれば小国である。しかしヴァイキングの昔から海を越えて交易をしてきたことに示されるように、多くの国民が生来グローバル(born global)である。また物事をクリティカルにみる姿勢(born critical)も非常に強い。権威はつねに批判の目に晒されており、これは地域の活動から国政にいたるまでそうである。これらの性質のある国民が社会をなし、民主的な政治運営を求め、平等を尊重し、コンセンサス(合意)を重視する姿勢でいるという社会風土がある。

こうした風土を念頭におけば、デンマークの特徴である、国民の幸福度も働く人の幸福度も世界随一という点が理解できるだろう。制度としても、手厚い社会保障が高課税のもとで提供されている。子供は社会が育てるという考えから、小中学校から大学にいたるまで、公立学校は学費負担がない。医療・介護・年金の面での保障も充実している。さらには日本と大きく違い、一人親世帯でも貧困率は低い。つまり必要な人に社会福祉支出が届いているということだ。

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ただしその反面、税金は高い。消費税は25%であり、所得税(地方税・保健税を含む)は8~57%の範囲で設定され、平均35~48%である。日本は消費税が8%、所得税も5~45%で設定され、平均10%以下である。福祉の財源がほとんど税で賄われるが、国民から大きな異議がでないのは、高い税金を払うのも自分への投資であってのちに自分に還流してくると国民が納得しているからである。

働く人の幸福度が高い点も日本と相当に違うが、これはいわゆるFlexicurity(労働市場がflexibleでありつつ労働者の再就職等へのバックアップsecurityもある)が相当に実現しているからであるし、また職場のジェンダー平等や、ワーク・ライフバランス(仕事と家庭のバランス)も高く達成されているからでもある。

社会としてもdiversity(人の多様性)を認める傾向が強く、婚外子と嫡出子の差別解消は1960年代に実現していたし、同性登録パートナーシップは1989年に実現していた。社会的な包摂というのがさらなる特徴といえよう。

皆さんは日本もいずれデンマークのようになると思うか。またなるべきだと思うか。それは皆さん自身が考えて決めることである。デンマークの事例が一つのインスピレーションになれば幸いである。

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3.質疑応答

活発に質疑応答がなされた。たとえば、高課税・高福祉という政策はいつからそうなったのか、また高課税には反対論はなかったのか、どう反対論を克服したのかという質問が寄せられた。大使は、1920-30年代の労使合意を基礎とした政労使の協調政策から次第に福祉政策が充実していったのであり、また1960年代に農業国から農業と工業の国へと変化していたときに、産業労働者が増えたわけだが、保育施設の充実なども行い、男女ともに労働進出できるようにしていったなど、時とともに生じる社会の変化に対応して福祉政策の内容を拡充していったことから今日に至っていると答えられた。

平等の国といわれるが王室の存在はどうなのかという質問に対しては、大使は、王室は国家元首としての代表性をもっており特別の存在であるが、それでも王位継承については男女平等に国民投票の結果なったという点で平等の精神が貫徹していると答えられた。

このほか議会オンブズマンについて、教育の場での日本とデンマークの学生の姿勢の違いについて、国からの補助金で成り立つ公立学校で本当に自由に学ぶことができるのかについて、脱化石燃料のエネルギー政策についてなど、多数の質問が寄せられ、時間を超過して盛会のうちに講演会は終了した。

参考
開催概要

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