2023年3月6日(月)および7日(火)の2日間にわたり、早稲田大学大学院文学研究科の大学院生3名がブリティッシュ・コロンビア大学を訪問し、学術交流を行った。これは、クリスティーナ・ラフィン准教授が本学文学学術院訪問准教授として昨年早稲田大学に滞在された際に具体的な計画が立てられたもので、同じく本学文学学術院訪問准教授でもあるクリスティーナ・イ准教授の協力も得て実現したものである。また滞在中は、ジョシュア・モストウ教授をはじめ、ブリティッシュ・コロンビア大学の教員および多くの大学院生と、研究発表や写本調査等を通して研究交流を行った。両校で日本文学や日本文化を学ぶ大学院生同士の対面交流は、今回はじめて実現したものである。今回のプログラムに参加した大学院生のみならず、今後これを起点としてさらにさまざまな学術交流の可能性をひらく、きわめて意義深い活動となった。
現地でのプログラムは、まず3月6日(月)16時から19時まで、両校の大学院生がPPTを使って自己紹介を行う「Pecha kucha」式研究紹介を行った。20枚のスライドを、1枚につき20秒でスピーディに説明を行うという方式で、プレゼンテーションのトレーニングとともに互いを知り合うことができる、たいへん効果的な手法であった。ブリティッシュ・コロンビア大学側は9名の大学院生が参加し、研究を志した経緯や、研究内容などを相互に伝え合い、理解を深めた。
翌3月7日(火)は、まず、9時30分から11時まで、ブリティッシュ・コロンビア大学が所蔵する写本「吉野記」について、ジョシュア・モストウ教授から紹介がなされ、その後大学院生が当該写本をめぐる発表を行った。また、当該写本を実見調査させていただく機会にも恵まれた。
そして午後はまず、12時30分から13時50分まで、クリスティーナ・ラフィン准教授のAuditing ASIA 444の授業を見学した。ちょうど日本の修験道の山伏をゲストスピーカーに招いての授業であった。
その後、15時45分から17時までは、クリスティーナ・イ准教授の指導のもと、カナダと日本の学術文化に関するディスカッションを行った。ブリティッシュ・コロンビア大学の大学院生12名が参加し、日本文学をめぐる研究方法や、大学院の制度などについての共通点や相違点等について情報を交換し、相互理解を深めた。
![]() 写本「吉野記」を見学 |
![]() ディスカッションの様子 |
![]() IKBLC前での集合写真 |
以上、今回の訪問は現地での活動がわずか2日間という短いスケジュールではあったが、いずれのプログラムもきわめて実質的な効果を含むものであった。参加した大学院生は、発表の準備を綿密に行い、すぐれたプレゼンテーションを披露した。両校の大学院生が、学問を志す大学院生という同じ立場で交流し、刺激し合うことができた、貴重な訪問となった。
参加した学生の報告書
スケジュール概要(3月6日-3月7日)
1日目
・ブリティッシュコロンビア大学キャンパスツアー
・ペチャクチャ式研究紹介
2日目
・図書館で「吉野記」を見学
・「吉野記」や旅についての発表
・Auditing ASIA 444 の授業見学
・キャンパス内フィールドワーク
・ディスカッション:カナダと日本の学術文化
本ワークショップはスーパーグローバル大学創成支援事業の一環として行われました。
UBCとは共同プロジェクトとして、日本古典に関するビデオコンテンツの制作も行っています。詳細は以下のリンクよりご覧ください。