Global Japanese Studies早稲田大学 文学学術院 国際日本学

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所長挨拶

角田柳作記念国際日本学研究所                                                        所長: 河野 貴美子

「角田柳作記念国際日本学研究所」は、本学が培い醸成してきた日本の諸文化を対象とする人文学研究の知見をより積極的に世界へ発信するとともに、海外における最高水準の日本学の方法を取り込むことによって、真にグローバルな視野から日本文化をとらえなおすという理念の実現に向け、2015年1月、早稲田大学総合人文科学研究センターに設立されました。

以来、国際日本学研究ネットワークの世界的拠点として、人文学分野における海外の一級の研究者たちとの共同研究を推進すること、ならびに国際的なレヴェルで通用する日本学研究の担い手を養成することを目的として、活動しています。早稲田大学は、2014年度「スーパーグローバル大学創成支援事業」に採択されました。そして「角田柳作記念国際日本学研究所」はこれまで、この事業における「国際日本学拠点」の窓口として、世界トップレヴェルの教育研究実績を有する卓越した大学との連携をベースにしながら、さまざまなプログラムを実現してまいりました。

とりわけ、コロンビア大学東アジア言語文化学部、およびカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)アジア言語文化学部、さらにはスタンフォード大学東アジア言語文化学部、ブリティッシュ・コロンビア大学人文学部アジア研究学科との連携を中核として、研究と教育の両面の活動を展開し、また上記以外の海外の研究者との交流も推進し続けています。

早稲田大学文化構想学部は、2017年度より英語学位プログラムGlobal Studies in Japanese Cultures Program (JCulP:国際日本文化論プログラム)を開設し、また2018年度には文学研究科に「国際日本学コース(Global Japanese Literary and Cultural Studies, 略称Global-J )」を新設しました。「角田柳作記念国際日本学研究所」が実施する国際ワークショップや国際シンポジウム、講演会などの活動は、これらのプログラム、コースに所属する学生、院生はもちろんのこと、文学学術院で学ぶ学生、院生、そしてキャリア初期研究者の積極的な参加を促しつつ行われています。また、国際文学館や演劇博物館、高等研究所をはじめ、学内の他機関とも密接に連携しています。

角田柳作(1877~1964)は、早稲田大学の前身である東京専門学校文学科において、アーサー・ロイドや坪内逍遙に学び、卒業後は中学校教員などを経たのちアメリカに渡り、1929年には全米で初めての日本文化センターをコロンビア大学に発足させ、1931年から1962年までの31年間の長きにわたり、コロンビア大学の教壇に立ちました。ドナルド・キーン氏の「コロンビア大学ではセンセイと言ったら角田柳作先生のことに定っている」(「ニューヨークの一人の日本人」『文藝春秋』1962年5月)という言葉が象徴するように、角田柳作はアメリカにおける日本研究の基盤を作り、多くの後進を育て、まさに日米の架け橋となった“Sensei”でありました。

角田柳作の功績は、アメリカに日本学を根付かせるために、図書を蒐集して運び、それらが実際に活かされる場と仕組みを作り上げたこと、戦争をはさむ激動の時代にあっても、誠実に研究と教育の推進のために貢献したことなど、実に多岐にわたります。角田柳作は、アメリカにおける日本研究を何ゆえかくも強い覚悟と信念をもって推し進めたのか、角田柳作は次のような言葉を残しています。

米国の日本研究が段々と継続して行つて、さうしてそこに纏まつた物が出来て来ると、私共が日本歴史として教へられた所と全然とは言はない迄も、余程違つた所のものが出て来るのではないかと思ふのであります。……心配といふのか或は喜びといふのか、その点はよく結果を見ないうちだから判らないけれども、新しいものが出て来るといふ感じはする。(「米国に於ける日本研究」『図書館雑誌』226、1938年9月)

これは、アメリカに送る図書を蒐集するために日本に一時帰国していた角田柳作が講演で述べた言葉です。国を越えて行われる文化研究、人文学研究の未知の可能性を語るこの言葉には、「国際日本学」への期待が込められているとともに、使命もが託されているようにも思われます。

角田柳作の名を冠する私たち「角田柳作記念国際日本学研究所」は、国際的な日本文化研究、人文学研究の開拓者であった角田柳作が掲げた問題意識と理想を、私たち自身の課題に重ね、角田柳作以来の国際日本学の歴史を見据えながら取り組んでいこうとするものに他なりません。

角田柳作はまた、日米文化学会の設立準備に奔走していた際、次のようにも述べています。「文化」というものは、「国家民族の歴史に根を張つてゐながら、その精華は国境を越え、世界的の性質を帯る」(「面影」『早稲田学報』388、1927年6月)ものである、と。

私たちもまた、文化研究の新たな意義と価値を追究しつつ、日本における人文学研究を世界へ発信し、国際的なネットワークにつなぎ、対話を重ねることによって、日本文化の研究を人類の文化の普遍的な問題へと接続し、ひらいていく試みを続けていきます。

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