Global Japanese Studies早稲田大学 文学学術院 国際日本学

News

開催報告「21世紀のためのテクスト遺産 文化分析理論の新カテゴリーの可能性を探る」

ヴェネツィア・カフォスカリ大学との共催 国際シ ンポジウム
「21 世紀のためのテクスト遺産 文化分析理論の新カテゴリーの可能性を探る」

3月22〜24日に国際シンポジウム「21世紀のためのテクスト遺産 文化分析理論の新カテゴリーの可能性を探る」(Zoom)が開催されました。プログラムは3日間で延べ11時間にわたり、様々な分野を専門とする13名の学者が集い、100名以上の参加者を前に、テクストと遺産の関係を多様な視点から論じ合いました。

本シンポジウムは、2020年7月16日に早稲田大学にて行われたワークショップ「テクスト遺産の利用と再創造 日本古典文学における所有性、作者性、真正性」の延長線として企画され、日本の文学のみならず、世界中の様々な種類のテクストを文化遺産として捉え直すとともに、21世紀の人文学と社会学におけるその可能性の検討が試みられました。欧州委員会の研究振興プログラムHorizon 2020の支援により、早稲田大学総合人文科学研究センター招聘研究員のエドアルド・ジェルリーニ氏がライデン大学のアンドレア・ジョライ氏と共同で実行したこの企画の第一の目的は、文学や書誌学などテクスト研究に集中してきた諸学問を遺産研究という新しい学際的なエリアに導きだし参加させることでした。そのため、基調報告には、世界文学と東アジア文学の専門家ウィーブケ・デーネーケ氏(MIT)と、遺産研究の発展に重要な貢献を成した地理学者のデヴィッド・ハーヴェイ氏(オーフス大学)が招待され、それぞれの立場からテクスト遺産という新しい概念の可能性と限界が論じられました。デーネーケ氏は、テクスト遺産が、記憶研究(memory studies)や比較歴史学などのアプローチの触媒(catalyst)になり、新しい歴史作り(history making)を促す力となる概念だと提案した上で、朝鮮半島の外交官と徳川幕府の日本人たちが詠み交わした漢詩文を「テクスト遺産」の一例として取り上げました。ハーヴェイ氏は、1638年に英国の南西に位置するダートムーアという地方で起きた不思議な災害を記録した様々なテクストを検討することによって、テクスト遺産のバイオグラフィーを作り、ある地方に属する共通記憶とテクストの関係を明らかにしました。両氏の基調報告は、その後の9本の発表に論理的な枠組みと問題意識を提供するものとなり、3日間を貫く共通の論点が明確に把握できました。

1日目の3本の発表は、音楽とテクストの関係に焦点を与えるもので、日本で作られた唐楽の楽譜、インドのチャールキヤ朝のダンスを描くテクストと彫刻、北アフリカにおけるユダヤ系スペイン語の歌集といったテクスト類を検討し、テクストの身体化、あるいは音楽の身体化としてのテクストが共通のテーマとなりました。2日目は、エジプトのヒエログリフが画像から文字になるプロセスと、現在の連歌会で行われ続ける伝統的なテクスト作成が紹介され、いずれの発表とも文章や歌が記されている媒体の重要性を強調しました。3日目は、日本におけるフランスのシンボリズム詩の受容、韓国のある詩集に現れる活字の変化とそのデジタル化の可能性、そしてデジタルヒューマニティーが導入したデジタル技術によって改まる書誌学と文献学の例、つまりカノン化と遺産化という概念の共通点と相違点をそれぞれ論じました。最後に、企画者と基調報告者らが行ったラウンドテーブルではさらに「テクスト遺産」の将来について意見交換した後、オープンディスカッションという形で一般の参加者からも発表への評価やコメント、さらには新たな質問も出され、この概念のさらなる発展への期待とともにシンポジウムの幕を閉じました。

以下のURLをクリックして、シンポジウムの動画をご覧下さい。

Page Top
WASEDA University

早稲田大学オフィシャルサイト(https://www.waseda.jp/flas/gjs/)は、以下のWebブラウザでご覧いただくことを推奨いたします。

推奨環境以外でのご利用や、推奨環境であっても設定によっては、ご利用できない場合や正しく表示されない場合がございます。より快適にご利用いただくため、お使いのブラウザを最新版に更新してご覧ください。

このままご覧いただく方は、「このまま進む」ボタンをクリックし、次ページに進んでください。

このまま進む

対応ブラウザについて

閉じる