Global Japanese Studies早稲田大学 文学学術院 国際日本学

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スタンフォード大学 大学院生派遣報告:ワークショップ 「教室の中の国際日本研究――いかに教えるか」

2023年8月24日(木)および25日(金)の2日間にわたり、アメリカのスタンフォード大学において、ワークショップ「教室の中の国際日本研究――いかに教えるか」(Workshop on International Japanese Studies in the Classroom)が、スタンフォード大学東アジア言語文化学部とスーパーグローバル大学創成支援事業早稲田大学国際日本学拠点の主催によってひらかれました。

スタンフォード大学東アジア言語文化学部と早稲田大学文学学術院との間では、2020年に箇所間協定が締結され、活発な学術的交流を重ねつつ、双方の大学院生の間に絆を形成してゆくことが期待されていました。しかし、新型コロナ感染症の感染拡大により、そうした機会を設けることができないまま3年以上が過ぎておりました。このたび、ようやく対面による交流の機会をつくることとなったわけです。開催にあたっては、特にスタンフォード大学のインドラ・リービ先生とPh.D.コースの方々に大変行き届いたご対応をいただきました。

このワークショップは、タイトルが示すとおり、国際日本研究を教室でいかに教えているのかという実践、あるいはこれからいかに教えてゆくのかという計画の内容を共有し、今後の教育に活かしてゆこうという、Pedagogy(教授法)に関する研究集会です。北米からは、スタンフォード大学の教員、および同大学のTeaching Assistantとして教員と同じように授業運営に参画しているPh.D.コースの学生たち、さらにスタンフォードもしくは早稲田とのゆかりのある気鋭の研究者たちが発表者として参加されました。また、日本からは客員研究員としてスタンフォードに滞在中の2名をふくむ5名が発表者となりましたが、そのうちの2名は短期派遣された文学研究科博士後期課程の学生です。

四つのセッションによって構成されていたこのワークショップの第1日、セッション1の “Teaching Japanese Literature at Different Scales” の三つの発表では、北米における日本文学の教育実践の様子が詳細なシラバスとともに紹介されました。うち1名は、スタンフォード大学の学生の発表でした。扱うジャンルに対応した工夫のあり方、あるいはLiberal Arts教育における特徴的な対応などが具体的な資料とともに示されました。つづいて、セッション2の “Teaching, Translation, Adaptation” では、スタンフォード大学および早稲田大学の学生3名が発表しました。ここでは、翻訳・翻案に関わる問題がいかに魅力的かということを伝える授業についての二つの報告がなされるとともに、日本の高等学校における国語(古文)の教育実践にもとづく報告もなされ、北米の教員・学生には新鮮な印象を与えたようでした。

第2日のセッション3、“Teaching and Technology” では、2023年という「今」の課題をとりあげる発表が並びました。すなわち、Chat GPTの活用と問題点について、新たなディジタル・キャンパスの可能性について、さらに日本のヴィデオゲームについての授業実践という三つの発表でした。最後の、“Teaching, Research, and the Academic Job Market in Japan” というスペシャルセッションでは、近年、北米の有力大学で博士学位を取得した日本文学・日本文化の研究者が日本の大学・研究機関での就職をめざすケースが増えつつあることをふまえ、日本の研究者3名が多岐にわたる情報を提供しました。

なお、スタンフォード大学からは、登壇者以外のPh.D.コース所属の学生たちもオンラインで参加しました。

今回の二日間にわたるワークショップで、参加者は濃密な時間を共有しました。特に、スタンフォード大学のPh.D.コースと早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程、これら双方の学生たちが発表を聴き合うとともに、交流を深めることができたのはとても有益なことでした。ランチ、ディナーの時間にも、それぞれの今後の研究に関する情報交換などを行うことができました。

参加した学生の報告書

安陪岳さん(博士後期課程)

光井理人さん(博士後期課程)

開催概要

日時:2023年8月24日(木)12:30 – 18:15
8月25日(金)11:30 – 18:30 (いずれもPST)
会場:スタンフォード大学 Knight Building Room102

発表者とディスカッサント(アルファベット順・敬称略):
Abe Gaku 安陪岳(早稲田大学大学院文学研究科日本語日本文学コース 博士後期課程)
Beckman, Jason(Ph.D. Candidate, Stanford University)
Gai, Rosaley(Ph.D. Candidate, Stanford University)
Jinno Hidenori 陣野英則(早稲田大学文学学術院 教授)
Levy, Indra(Associate Professor, Stanford University)
Mitsui Rihito 光井理人(早稲田大学大学院文学研究科国際日本学コース 博士後期課程)
Reichert, James(Associate Professor, Stanford University)
Shockey, Nathan(Associate Professor, Bard College)
Stilerman, Ariel(Assistant Professor, Stanford University)
Tanaka Yukari 田中ゆかり(日本大学文理学部 教授)
Toeda Hirokazu 十重田裕一(早稲田大学文学学術院 教授)
Walsh, Lin(Ph.D. Candidate, Stanford University)
Whaley, Benjamin(Associate Professor, University of Calgary)
Wronoski, James(Ph.D. Candidate, Stanford University)
Yi, Christina(Associate Professor, University of British Columbia)

スケジュール概要(8月24日-8月25日)

1(8月24日)

12:30                     Opening Remarks, Indra Levy

Lunch

14:00-16:00          Session 1: Teaching Japanese Literature at Different Scales

16:15-18:15          Session 2: Teaching, Translation, Adaptation

 2(8月25日)

11:30-12:30          Lunch at Stanford Faculty Club

12:45-14:45          Session 3: Teaching and Technology

15:00-16:00          David Rumsey Map Center Tour

16:30-18:30       Special Session: Teaching, Research, and the Academic Job

 Market in Japan

18:30                        Final remarks, Toeda Hirokazu

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