※本稿は2018年度に取材し、取材当時の情報を掲載しています。
「日本語教育実践研究(1)」は、「にほんご・わせだの森」という地域の日本語教室の「コース・デザイン」をゼロから作るところから始まります。参加対象を決め、宣伝方法を考えて、チラシも実習生たちで作ります。留学生である私にとっては、今まで経験したことのない体験でした。まず、実践研究(1)の授業での池上教授のこの言葉に驚きました。「この教室には先生がいません」。最初は五里霧中でやっていましたが、だんだんわかるようになりました。悪天候にも関わらず、多くの参加者はほぼ欠席せずに参加し、教室の受付を手伝ってくれる人も現れました。「先生がいない」ことによって、参加者は教室を「自分のもの」にしました。この教室で得られることはただの日本語能力の上達ではなく、まさに多文化社会で求められている人と人との「絆」ではないかと思います。