現職:早稲田大学日本語教育研究センター インストラクター(任期付)
私が日研の門をたたいてから、7年の月日が流れた。
日研に入る前の私は、日本語教育とはなんなのか、自分は日本語教育の世界で何をしたいのかがわからなくなっていた。その答えを探し求めてやってきた私に、日研は答えではなく、答えを探していくよすがとなる種をパラパラと撒いてくれた。それまで知らなかった様々な理論に触れ、考えたこともなかった実践に関わり、自分が歩いていきたい道がぼんやり見えてきた。
とはいえ、院生時代の私は、あちらこちらをさまよい、右往左往していた。その私が、おぼつかない足取りながらもなんとか進んでいけたのは、同じ研究室をはじめ、日研のさまざまな仲間との出会いがあったからである。日研には、よりよいものを求めていくための議論の場が常に開かれていた。日研という豊かな土壌で、互いによりよいものを求めていこうという気概に満ちた仲間たちとの議論が私を育ててくれた。
豊かな土壌は、私たちが私たち自身を耕し、自分たちで豊かな土壌をつくっていく力を与えてくれた。日研修了後も、ともに実践研究を行い、ともにさまざまな本を読み、仲間たちとのよりよいものを求めていく旅は続いている。7年前に欲した答えなどどこにもなく、この旅を続けていくことが答えなのかもしれない。