現職:韓国外国語大学通翻訳学部日本語通翻訳学科 専任講師
私が日研に進学したのは今から三年前のことになる。大学生活と大学院生活とは、同じ場所にありながらまるで異なるものだった。新たなフィールドで勉学と研究に取り組むことは予想以上に難しく、初めは劣等感や焦燥感ばかりが増した。
それでも、日研で過ごす日々は次第に日常になっていった。理論授業、実践授業、ゼミ、日本語ボランティア、チューター、そして修士論文のための調査・研究。一つ一つを繰り返すのではなく、積み重ねていくことを覚えた。出来ることを考えるより、何事にも取り組むようになった。そして、それが少しずつ自信につながった。日研という場所が自分を成長させてくれたのだと思う。
悩みは絶えず、時に前が見えなくなることもあったが、日研では決して独りになることがなかった。誰よりも近くで苦楽を共にした同期の皆。辛い時に支えてくれた後輩や力になってくださった先輩方。優しく、時に厳しくご指導くださった吉岡先生をはじめ諸先生方。そうした周囲の人達が光を照らしてくれたからこそ、道を見失うことはなかった。
回り道や分かれ道を幾つも経て辿りついた場所は、確かに三年前の私が目指した場所だった。ここまで歩いてくる力と、これから先も不確かな道程を歩いて行く勇気をくれたのは、他でもなく、日研で出会ったすべての方々と、日研が育ててくれた過去の自分自身である。
早稲田大学の校歌に「あれ見よかしこの 常盤の森は 心のふるさと われらが母校」という一節がある。今の私にとって、日研はまさに心のふるさとである。吉岡研の一員であるということ、日研の修了生であるということが、私の誇りであり、拠り所になっている。どこにいても、いつでも、自分の中にある変わらぬもの。きっとそれがこれからも私を支え続けてくれるだろう。