『早稲田大学国際文学館ジャーナル』(Journal of Waseda International House of Literature)は国際文学館が年に1回発行する国際学術雑誌です。日本語で書かれた文学に関する論考を、広く国際的に開かれたかたちで掲載していくことを目的としています。国際的視野を有する意欲的な投稿をお待ちしております。投稿原稿は審査委員による査読を経て掲載されます。
『早稲田大学国際文学館ジャーナル』では現在、自由投稿論文に加え、第5号の特集を「翻訳者の可能性」として、このトピックに関する論考を広く募集しております。
トピックの詳細については、下記の特集趣旨文をご参照ください。
本誌では、新しい視点や方法を持った論考を積極的に紹介したいと考えており、とりわけ若手研究者や大学院生の皆様からの意欲的なご投稿を期待しております。
投稿締切:2026年9月15日(火)
刊行予定:2027年3月15日(月)
論文は日本語または英語で執筆されたものを受け付けます。
投稿規定・フォーマット等の詳細は、以下のリンクをご確認ください。
特集趣旨文
「翻訳者の可能性」
ヴァルター・ベンヤミンは、いまや翻訳論の古典となった「翻訳者の課題」(1923)のなかで、翻訳者の課題とは、《異質な言語のうちに呪縛された純粋言語を、自分自身の翻訳の言語のなかで救済すること、作品のうちにとらわれた言語を作品の改作において解放すること》(山口裕之訳)であると説いている。
ベンヤミンの言葉が100年以上を経てなお私たちを驚かせるのは、作品の〈改作〉(Umdichtung)において隠されている言葉を解放(befreien)することだと言っていることだ。
“Traduttore, Traditore”(翻訳者は裏切り者)という諺があるように、翻訳者は(これもまたベンヤミンが言うように)〈忠節〉と〈自由〉との間に引き裂かれる存在だが、その亀裂と限界を超えるための一言を100年前にベンヤミンは用意していたことに驚かされるのだ。
一方で覇権言語中心の権力のシステムに翻訳が陥ることを、つまりは翻訳が囲繞されてしまう政治学に対する批判も繰り返されてきたが、21世紀になって翻訳をめぐる状況はあらゆる面で大きく変わってきたように思われる。
かつては日本文学について言えば、とくに日本文学は西欧語文学の翻訳の文化を基盤として成立したものであり(それはもちろん間違いではないだろう)、常に西欧を受容しそれを変容させたものという受け止め方のなかで捉えられ、西欧語社会からすれば、日本文学を翻訳することは周縁的なマイナー文学を紹介するという意味しか与えられていなかったと言ったら言いすぎだろうか。
しかし今日、めざましいほどに日本語の新しい作品が次々に英語を中心とする各国語に翻訳され続けており、世界中に愛読者の数を増やしている。
翻訳理論や翻訳研究も世界的に活発化していることも周知の通りである。
だが、その一方で100年前にベンヤミンが提起した翻訳者とは何者なのか、その課題とは何なのか、という問いに対する議論は十分に刷新されているだろうか。
本特集では、日本文学をめぐる翻訳の活況を言祝ぐのではなく、いまいちど翻訳者の可能性とは何なのかという原理的な問いに立ち返ってみたい。
具体的なテーマの例をあげてみよう。
・文芸翻訳とAI。文芸翻訳におけるAI導入の現状と未来、問題点など。
・セルフトランスレーション。複数言語で創作する書き手の創作と翻訳の関係。多和田葉子、関口涼子などを例に。
・翻訳する作家。古くは森鷗外、現代では村上春樹などを例に。
・英語圏およびアジアでの日本文学翻訳作品の評価。
・翻訳者研究。翻訳者によるメモワール/エッセイなどの研究。(等々)
・作家と翻訳エージェントの関係性。
自由な発想にもとづく意欲的な論考の投稿をお待ちしている。
原稿はA4一段組、原則横書きとする。
本文は10.5point、注は9pointとする。
使用するフォントはM S明朝体、欧文はcenturyとする。
分量は投稿規定の「2」に従うものとする。ただし、半角文字は0.5字としてカウントする。
註は文末註とし、参考文献があれば論文末尾に置く。
年号は原則として西暦とする。必要な場合は和暦を併記する。
用語、固有名詞等は基準の統一をはかる。
単位語などの用法は著者の習慣によって記述してよいが、基準の統一をはかる。
特殊な活字を用いる場合は、その都度指定する。
引用に際しては典拠を必ず明記する。また、引用文献の表記そのままの場合は特記する必要はないが、旧字・旧仮名遣いを新字・新仮名遣いにあらためた場合、傍線や傍点など原文にない文章処理を行なった場合などはその旨を注記する。
注はそれぞれ当該箇所の右下、右肩に括弧に入れて付する。
引用および注、参考文献に関する情報は著者の習慣によって記述してよいが、基準の統一をはかる。ただし、いずれの場合でも頁数や雑誌の巻号など原典を特定する情報を漏れなく入れる。
原稿内に図版を入れる場合は、当該図版の論文内でのレイアウトを作成し、おおよその位置、サイズを指定する(指定がない場合はその旨をメール本文内に記載する)。
図版は1件ずつ版下として使用出来る形で準備し、それぞれ番号、説明を付す。
図版のスペースは所定の文字数に含まれない。
図版の出典が必要な場合は論文の最後に付す。
投稿については投稿規定を必ず参照する。
国際文学館主催のシンポジウムなどについてご紹介します。