公演詳細
期間
2022/12/2(金)~2022/12/4(日)
劇場
早稲田大学学生会館B203
主宰・脚本・演出
弌葉英晃
出演
葉山洸汰 (A)、安い丈博(ターリーズ)、(B) 若武佑華 (A)、黑川優 (B)、新井なお、齊藤航希、氷見大陸人、堀井夢香、埜木希、Say!Zero、一寸木開陸、藤咲穂香
料金
無料(フリーカンパ制)
予約
https://ticket.corich.jp/apply/202022/
タイムテーブル
2022年12月 | ||
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2日(金) | 13:00(A) | 19:00(B) |
3日(土) | 13:00(B) | 19:00(A) |
4日(日) | 12:00(A) | 16:00(B) |
スタッフ
- 舞台監督:硝子
- 舞台監督補佐:新井なお、栗山志保(クラゲの逆襲)、Say!Zero、藤河亜衣(劇団森)、宮地結菜(劇団てあとろ50′)、元木真珠(劇団てあとろ50′)、ゆっきー
- 舞台美術:松本リンタ(しらすの夕立ち)
- 舞台美術補佐:伊田光希(G線上のサクラエビ)、大澤萌(G線上のサクラエビ)、柏田波希(G線上のサクラエビ)、佐伯綾音、高田ゆきな、ハイビスカス元親
- 音響:弌葉英晃
- 音響補佐:のぐのぐ
- 音響操作:有菜
- 照明:石田覚士(クラゲの逆襲)
- 照明補佐:のぐのぐ
- 制作:加藤鈴
- 制作補佐:会田周平、加藤ナナホ、ゆっきー、有菜、劉許強
- 宣伝美術:朱莉
- 宣伝美術補佐:せこ
- ビジュアルイラスト:スシブレード
- 演出助手:会田周平、加藤鈴、長谷川俊(劇団24区)、葉山洸汰、藤咲穂香、堀井夢香、矢代緑、安い丈博
- 小道具:藤咲穂香
- 衣装:スシブレード
- 振付:皐月
- ゲネ写:いづみ杏
稽古場インタビュー
今回は、add9-RAY プロデュース システマ・アンジェリカ×劇団くるめるシアター企画公演「トレッフリアの管制塔」の稽古場にお邪魔した。
これは少し裏側の話になってしまうが、稽古場インタビューはいろいろな事情で全ての団体に行けるわけではない。気になった公演の中から行ける人を選び、稽古場に出向いている。
今回私が、「トレッフリアの管制塔」の稽古場に行きたいと思ったのは、主宰の弌葉英晃さんが先月「稽古がやばい」と焦っていたからだ。公演が迫った今どうなっているのだろうという少し野次馬的な不純な理由とフライヤーを見て珍しいデザインだったので気になり稽古場に出向いた。
自分が座組みに入っていない稽古場に行くというのは毎回とても緊張するが、いざ扉を開けるとウェルカムボードを準備してくださっていた。
稽古場は、主宰の「やばい」という言葉から想像した雰囲気とは正反対に役者のみんなが楽しそうに稽古をしていた。
アップと稽古の間にはメリハリがあり、自分の出番がない待ち時間の役者は稽古場の端でセリフを自ら覚えている。停滞した時間がない活気に溢れた稽古場だった。
かといって、主宰が随一のカリスマ性を発揮してテンポ良く稽古を進めているわけでもない。
主宰のオーダーに対し「それは注文が多すぎます。」と言えたり、主宰のイメージに近づけるために全員で考えている姿がとても印象的だった。全員がいい作品を作るという同じ方向を向いて稽古しているように感じた。
稽古中、役者2人と主宰にインタビューをした。稽古場の雰囲気がとても穏やかでありながら活気があると感じると伝えるとそこには理由があることを教えてくれた。
実際初日の2ヶ月前に主宰に、気持ちの部分で前を向ききれず、焦りがあったというのは本当だった。主宰の焦りは役者にも伝わってしまったという。もともと去年も弌葉さんの公演に出ていた役者が多いため、初めて出る役者との間に空気感の違いが生まれてしまったり、主宰の焦りが稽古場全体を少し暗くしてしまっていたそうだ。
そこで、役者や演出助手の呼びかけによりzoomで話し合いが持たれた。
そこでは、主宰を含めたメンバーの今抱えている不安などを共有した。稽古の進行がそこまで遅れているわけではないので焦る必要がないよねという話と稽古場のコミュニケーションに”圧”がかからないようにしようという認識の共有をしたそうだ。
そこから稽古場は去年のような明るく意見が飛び交う稽古場に変わっていったという。実際、公演の稽古において、稽古場の雰囲気を良くする担当というのが決まっているわけでもない。今回は、演出助手が作品を良くしたいという思いがあったからこそ話し合いの場が持たれ、お互いの誤解を解いて主宰と役者を繋ぎ止めたのだ。
ちなみに主宰の弌葉さんはこの時クーデターを起こされるのではないかと思ったらしい。
最後になってしまったが、インタビュー当日、私は稽古のワンシーンを見ているだけでもとても心が満たされるような充実度を感じた。
弌葉さんは、自身の作品を「小説家による脚本」だと話す。一方で、最近の早稲田演劇では「演出家による脚本」「役者による脚本」とでもいうべき、アトラクション的な迫力がある作品が評価されている中で、自分の作品が果たして受け入れられるのかという不安もあったそうだ。しかし、私は、稽古場で見ていて気軽に多くの人が楽しめる作品だと感じた。今の早稲田演劇のトレンドではなくても、私のようにそれとは一味違う作風を求めている観客もいるだろう。
当日、アニメ映画を観た後のように心が満たされ、小説のように物語をなぞりたくなる作品に立ち会うはずだ。
どらま館制作部 にいづま久実