公演詳細
期間
2022/5/13(金)~2022/5/15(日)
劇場
早稲田大学大隈講堂裏劇研アトリエ
作・演出
鳥塚隼人
出演
峰岸航生、土井実、谷川大吾、稲葉捺月、岡野屋丈、中孝太
料金
フリーカンパ(自由設定制)
予約
https://ticket.corich.jp/apply/132525/
タイムテーブル
2022年5月 | ||
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13日(金) | 18:00 | |
14日(土) | 13:00 | 17:30 |
15日(日) | 13:00 | 17:30 |
スタッフ
- 演出補佐:佐久間喜望
- 演出助手:航生ロードショー
- 舞台監督:能見千秋
- 舞台美術:岡野屋丈
- 照明:斎藤由佳
- 照明補佐:及川晶
- 音響:平川洋加
- 音響補佐:平野樺香
- 衣装:稲葉捺月
- スチール・宣伝美術:小林未和
- ビジュアル撮影:Tetsuji Noguchi
- 制作:古賀結夢
- 制作補佐:横山智咲、土井実
- 協力:早稲田大学演劇研究会
早大劇研’22新歓公演『センデンカイギ』 稽古場インタビュー
学生生活課でカメラを受け取り、劇研の稽古はどんな感じなのだろうとわくわくしながら向かおうとしていたそのとき。後ろから声をかけられ振り向いたら、主宰の鳥塚さんがいらっしゃった。挨拶をしてついていった先で、何人かが輪になって話している。どうやら役者さんたちらしい。輪に入れてもらい初めましての挨拶をしようと思ったら、突然、リプトンミルクティー販売終了の話が始まった。「小さいサイズよく買ってたんだよね」、とか、「あれ小さいサイズなんてありましたか?」とか、「大澤さん知ってます?」などと聞かれ、自己紹介をする隙がない。目の前の会話の唐突さに、何だか知らないところに迷い込んだような、時空がねじ曲がったような感覚に陥った。これは鳥塚さんの狙い通りだったらしい。
遅ればせながらご紹介にあずかったところ、みなさん温かく迎えてくださった。他愛のない話をしながら稽古場へ向かう。和気あいあいとした雰囲気だ。

この日は本読みを中心に稽古が行われた。数分間の発声の後、最初から最後までノンストップで進んでいく。役者さんの声がまっすぐ部屋に響き、セリフと合わさって体が自然と動いていた。
ある人物が自分の意見を高らかに表明する場面。一人が立ち上がって前に歩み寄り人々に問いかける場面で、確実に目が合った。「私に問いかけている」と感じた。本読みの段階で、たまたまその日だけ稽古場に来た私を認識して、観客に目線を合わせて問いかける。みる人・みられていることをこんなにも強く意識しているのかと驚き、同時に観客として嬉しい気持ちになった。

鳥塚さんは先輩相手でも遠慮はない。ここはこうだった、もっとこうしてほしい、と率直な感想を伝えていく。それに役者さんは真剣に応え、どうすればもっと観客に伝わりやすくなるのかを全員で考える。演劇に対して、観客に対して真摯な姿勢が伝わってきた。
今作のテーマの着想を得たのは、劇研の会議であったという。確かに会議は不思議な場だ。思いついたことをすぐ言う人もいればじっと押し黙ったままの人もいる。自分の意見を声高に主張するやる気溢れる人もいれば、議論についていけなくなって帰りたそうな人もいる。会議で垣間見える人間関係や次々に生まれるアイデアを受けて変化していく状況は、とても面白い。

鳥塚さんは脚本を創り上げていく過程で、「とにかくいろんな人に説明しまくった」という。座組にもプロット段階から共有し、たくさんの人から様々な意見をもらうことで面白くなっていったと話す。
自分が面白いと思うことを口に出すのは、恥ずかしい。けれども大事なことは言わないと伝わらない。思ったことは躊躇しないではっきり言う。自分もそうするし、相手にもそれを求める。稽古場見学とインタビューを通して、主宰としての鳥塚さんの覚悟が伝わってきた。

新入生には今回の公演を観てもらうことで、劇研の雰囲気や演劇の在り方、さらには運営面についても知ってほしいという。
ありとあらゆるところに潜んでいる仕掛けに着目しすべてを疑ってかかることで、観劇後ばらばらだったパズルのピースがはまるような感覚を、ぜひ味わいにきてほしい。(どらま館制作部 大澤萌)