公演詳細
チラシ
期間
2022/3/11(金)~2022/3/13(日)
劇場
主宰
宮地結菜*
原作
橋本海音*
演出
みやたのた*
潤色
みやたのた*、宮地結菜*
出演
松沢佳奈(劇団森)、宮地結菜*、花*
料金
無料(フリーカンパ制)
予約
タイムテーブル
2022年3月 | ||
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11日(金) | 17:00 | |
12日(土) | 13:00 | 17:00 |
13日(日) | 12:00 |
スタッフ
- 演出補佐:勝見円*、阪中麻衣*
- 舞台監督:ミシェル*
- 舞台監督補佐:池神太朗*、元木真珠*、宮地結菜*
- 舞台美術:小松千紘*
- 舞台美術補佐:海野紗千子*、おたけ(劇団森)、阪中麻衣*、城代亘生(劇団森)、高富こん*、ゆきみ(劇団森)
- 音響:勝見円*
- 音響補佐:笹倉良太*、田中陽太*、里上もえの*
- 音響操作:勝見円*
- 照明:水谷悠那(クラゲの逆襲)
- 照明補佐:ひなた(しらすの夕立ち)
- 照明操作:平田清夏
- 制作:花*
- 制作補佐:奥山ちひろ*、旦部遥奈、水倉花音、みやたのた*
- 宣伝美術:小松千紘*、宮地結菜*
- 宣伝美術補佐:高富こん*
- 衣装:海野沙千子*
- 撮影:小松千紘*
(*=劇団てあとろ 50‘劇団員)
稽古場インタビュー
地球温暖化が進行し、地上で生活を営むことが困難となった未来。人類が地下へ移住してから約70年が経過した。人工知能によって運命の相手が導き出される地底世界のシステムで結ばれた男女と、地上で唯一の生き残りである少女が出会い、3人の内面や関係性に変化が生じる。本作品は未来の地底世界という非日常空間を舞台としつつも、そこに生きる3人の等身大の姿に焦点が当てられている。
今回、へちま×劇団てあとろ50’48期新人企画『明日になれば』の稽古場に伺った。役者がそろい、前日の通し稽古の感想や反省を話し合う。それから演出のみやたさんが練習箇所を確認し、稽古が始まった。
一つの場面を確認した後、目線の合わせ方や言葉のニュアンス、語尾の意識や人物の心情変化などをみやたさんが役者に説明し、提案する。そして役者も演じる中で感じた疑問や難しさを率直に伝え、話し合う。作品とまっすぐ向き合い、互いに相手を信頼していることが伝わってくる稽古場であった。稽古中に偶然生まれた「間」が実際に採用されたり、役者の提案でセリフの語尾が追加されるなど、稽古は動的に続いていく。
率直な意見を伝えつつも、稽古場は終始明るい雰囲気に包まれていた。小道具の使い方やセリフのニュアンスを確認している中で、自然と笑みがこぼれる。周りに元気を与えてくれる彼女たちのパワーが稽古場の溌溂とした雰囲気をつくり、それが役への向き合い方や演じ方に影響を与えているように感じた。
稽古を見学する中で、役者と役が地続きになっているような、「演じる」という感覚が良い意味であまりなく自然な印象を受けた。その点についてみやたさんに尋ねると、配役は当て書きではなくオーディションで決めたという。「最初から配役の目星をつけずに全部の役を全員にやってもらって、その中から決めていきました。オーディション台本はその場で配ってやってもらったので、その人のもともと持っているものが表れて、役にぴったりはまる瞬間があって。そうした方が、演者が自然とその役の気持ちになれるかなと。」
地下の世界で規則に忠実な生き方をしてきた「コウヤ」役の花さんは、自分の中に彼との共通点を見出すことができず、演じることが難しく感じたという。しかし役者が自身のタイプと正反対に見える役を演じるとき、役者自身が気付いていなかった魅力がこぼれ、かえってその役の二面性・ギャップ(例えば第一印象は冷たいが、実は愛情深いなど)を自然と表現することができるとみやたさんは言う。一見した限りではわからない役者の魅力を踏まえて役を決め稽古を行っていくその様子からも、彼女たちの深い信頼関係が伺える。
また今回は、劇団森一年代の松沢佳奈さんが役者として参加している。異なる劇団のメンバーが加わることで新たな変化が生まれ、それが作中の人物たちの関係性ともリンクしているように感じられた。
劇団てあとろ50’48期は9月に新人試演会『青色のオリーブたち』で初舞台を踏み、それから各々が経験を重ねてきた。新人試演会で得た感覚やそれからの変化について尋ねると、「試演会で一人一人の考え方や演じ方を見つめる機会があって、人柄がわかっていって。それぞれの形やスタンスで関わり合うことができるようになっていったと思う」と教えてくれた。
今回は多くの48期新人がスタッフを担当している。「もっとスタッフの人たちとも関わった方が良かったのかもしれないけど、それぞれの場所で自分のやるべきことを頑張るということを勉強する企画公演という意味もあって。スタッフたちの技量を信じているので、お互いの信頼関係があって成り立っていると思う」とみやたさんは言う。
初めて企画公演を行う難しさに悩みつつも、彼女たちは自分にできることを模索してひたむきに前へと進んでいく。「新人のできる精一杯のことをやってきたと思う。コロナ禍の中で周りの人との関係を改めて考えたり、自分の大切な人に会いたいと思ってもらえるような作品にしたいです。」
彼女たちの等身大の姿とその思いを、ぜひ確かめに来てほしい。
(どらま館制作部 大澤萌)