飯尾朋花と⼩澤南穂⼦による新ユニット「⼭⼝綾⼦の居る砦」の第0回公演。
「前向きに逃れる」をテーマに飯尾と⼩澤が脚本演出を務める短編5作品を上演。
脚本は、5作品通して、交換⽇記⽅式で書かれ、テーマや⾔葉、役柄が受け継がれながら、物語が紡がれる。⽚⽅が書き⽚⽅が演出する場合もある。
公演詳細
チラシ
期間
2022/1/28(金)~2021/1/31(月)
劇場
脚本・演出
山口綾子の居る砦
出演
飯尾朋花、小澤南穂子(以上、山口綾子の居る砦) 、秋葉彩弓、榊原裕能、須藤瑠誠
料金
1000円
予約
タイムテーブル
2022年1月 | ||
---|---|---|
28日(金) | 13:00 | 17:30 |
29日(土) | 13:00 | 17:30 |
30日(日) | 13:00 | 17:30 |
31日(月) | 12:00 | 16:00 |
スタッフ
- 演出助手:中野治香(演劇倶楽部)
- 制作 :田中遥
- 当日運営 :イイノヒナタ
- 舞台監督: 原田佳子(劇団くるめるシアター)
- 舞台監督補佐:会田周平(劇団くるめるシアター)、高田ゆきな(劇団くるめるシアター)、硝子サウルス(劇団くるめるシアター)
- 音響:佳田紫音(劇団森)
- 照明:木村奏太
- 舞台美術:寺原梨英
- 映像操作:寺原梨恵
- 宣伝美術:コットンフィール
- 宣伝美術協力:沖田大悟
稽古場インタビュー
これまで主に俳優として活動されてきた飯尾朋花さん・小澤南穂子さんの二人からなるユニット・山口綾子の居る砦の第0回公演『遁屯【トントン】』では、「前向きに逃げる」がテーマとなっている。
交換日記のようにして書かれたオムニバス形式の脚本と同様、演出も二人で行われるものもあれば、どちらかが担っているものもある。
印象に残ったのは、稽古中の小澤さんの「できないことはやらない。やってて楽しいことだけやっていきましょう」という言葉だ。小澤さんにそのことについて尋ねると、飯尾さんの「演劇をやるために無理をするのは違う」という言葉が念頭にあった、とのことだった。
話を聞くと二人は、脚本や演出としての要請よりも、俳優自身の楽しさや魅力を引き出していくことを大切にしており、それが舞台の質につながるとも言う。俳優は台詞や動作を始め、さまざまな負荷を背負って舞台に立つわけだが、それが前向きに向き合えるものかどうか、というのが二人の一つの判断基準になっているようだ。
自由にやってみたいことができる場がほしい、という共通の思いから発足した山口綾子の居る砦。自身の在り方や、することについての理由や根拠をある種、放棄しても大丈夫な場所が欲しかった、と二人は言う。そのような「逃げ場所」というような意味も込めて、「砦」がユニット名にあるそうだ。
稽古でも、話が脱線しておしゃべりが始まっても、それを無理に止めることはしない。「楽しくなくなってしまう人がなるべくいないよう、意識しているかもしれません」と飯尾さん。実際、稽古を見学していて、どこからが台詞でどこからが稽古か一瞬わからなくなってしまうことがあり、いつもそのような感じで稽古をしているとのことだった。稽古場においても、「楽しさ」がひとつの鍵になっているのだなと、二人のお話を聞きながら感じた。
旗揚げにあたっての意気込みをお聞きすると、「作品がどう受け止められるかという不安や恐怖もありますが、それに打ち勝って、楽しむこと100%でやりたいです」と小澤さん。また、飯尾さんは、短編ごとに雰囲気や作風がかなり異なる今作について、「ほんとに好きにやりたいことをしている人たちで、それが許される場なんだなっていうことがお客さんにも感じてもらえたらいいなと思ってます」と話す。
楽しさと自由を追求できる稽古場は、とても眩しく、羨ましく思えた。
(どらま館制作部 冨田粥)