いえない。
いえない。
いえない。
いえない。
私にはもう、帰るところがなくなってしまった。
公演詳細
チラシ
期間
2021/12/24(金)~2021/12/26(日)
劇場
主宰
星川全
脚本・演出
中荄啾仁
出演
緒方匠、角田優衣、田中豪(早稲田大学演劇研究会)、星りこ(劇団森)、増田悠梨
料金
無料(フリーカンパ制)
予約
タイムテーブル
2021年12月 | ||
---|---|---|
24日(金) | 17:00 | |
25日(土) | 11:00 | 16:00 |
26日(日) | 11:00 |
スタッフ
- 舞台監督:沖田大悟(劇団森)
- 舞台監督補佐:あかり(劇団森)、伊藤美雪香、加藤すみれ、金子蓮恵(劇団くるめるシアター)
- 公©(劇団木霊)
- 音響補佐:弌葉英晃(add9-RAY)
- 照明:伊藤柚
- 照明補佐:矢代緑
- 舞台美術:松本リンタ
- 舞台美術補佐:伊田光希、木村はなび、鈴木京桜、瀬戸口玲、春野慧
- 舞台美術協力:寺原梨英
- 制作:敦郎(劇団森)
- 制作補佐:冴島伶(劇団森)、高田ゆきな(劇団くるめるシアター)
- 宣伝美術:伊藤美雪香
- 舞台写真:コトデラシオン
- 映像:伊藤美雪香、藤本エイスケ(劇団森)
- 演出助手:大澤萌、柿野タネ(劇団森)、矢代緑
- おんがくたい:伊藤ゆず
- もりあげたい:泉野はるか
- なかのひと:岩瀬妃菜
公演インタビュー
早稲田大学舞台美術研究会は、春と秋の年二回、研究会公演と冠した公演(通称、春研・秋研)を主催している。春研は、現場経験を重ねた二年代をお披露目する場として、秋研は、この公演を最後に引退する三年代がこれまで培った技術をいかんなく発揮する場として、それぞれ企画される。
今年度の秋季研究会公演『能楽堂の甕(かめ)の中には涙の海が広がっている』の脚本・演出を担当する中荄啾仁さんは、これまで劇団森を活動の拠点にいくつもの脚本・演出を手掛けたきたほか、2020年12月には「扁桃と虚天球-なけなしの革命児の帰依に寄す-」にて劇団夜鐘と錦鯉というユニットを立ち上げ、以降も精力的に活動している。
今作の舞台は、いつか大きな地震と津波が来るといわれている広い砂浜のある町。物語は、そこに住む人々の抱える想いを詩的なスケッチを繋ぐようにして描かれる。
中荄「地元では、東北の地震のあと、次は自分たちだということが良く言われた。自分の過ごしてきた土地や家族を失うことをどこかで予期しながら生活するという状況を、そのときどう受け止めたらいいかわからなかった。コロナの自粛期間中にも、地震で大きく長く揺れたとき震源地を確認したことがあった。同時に、毎日のようにコロナによる死亡者の数を目にすることになって、自分の中で、今を生きることと死を悼むこととが両立できないと強く感じた。それで家族や家・共同体における人間関係をテーマに脚本を書いてみようと考えた。」
中荄さんの話す執筆の動機を聞きながら、昨年から続くコロナ禍で、どらま館も含め演劇業界全体が上演の機会を失ったこと、予定された公演の中止は作品と観客の出会いの喪失であり、その場に立ち会う「集まり」の喪失でもあったことを思った。そして、その喪失の延長線上に、近しい人や自分の拠って立つ足場を失うことまで想像したとき、作品に流れるムードの一端を垣間見た気がした。
今作では、以上のような理由からオンライン配信は行われない。観客は、美術や照明、音響や宣伝美術に至るまでこだわりのつまった秋研の舞台に立ち合い、その場を見つめることが求められる。観客としてのまなざしは、この場所と俳優をどのように見つめるのか。自身の目と耳で確かめて欲しい。
(どらま館制作部 宮崎晋太朗)