Drama-Kan Theatre早稲田小劇場
どらま館

【レポート】円盤に乗る派『ウォーターフォールを追いかけて』ドラマゼミ

どらま館では、7月に円盤に乗る派『ウォーターフォールを追いかけて』ドラマゼミを行いました。
講師は円盤に乗る派のカゲヤマ気象台さん、参加者は片山さなみさん・中西空立さん・マツモトタクロウさんの3名です。
2週に渡って行われた今回のゼミでは、3日間のレクチャー&ワークショップののち、最終日に各参加者からそれまでのゼミを踏まえながら「ドラマの部品(パーツ)」を発表してもらいました。
最終日に参加者から発表された「パーツ」は、円盤に乗る派の新作『ウォーターフォールを追いかけて』の戯曲として構成されます。

参加者の感想

片山さなみ

私は劇作の経験が一切ありません。役者として演劇公演に関わったことはありますが、基本的に脚本が先にあって稽古が行われます。だから作家の方の頭の中で0からモノを生み出すということがどのように行われているのか見当もつかず、今回のワークショップには、脚本の“素”がどうやって生まれるのか知りたくて参加しました。

「さあ、ドラマを生み出そう!どんな話が魅力的か?」と構えるのではなく、こういうことが劇的と言えるのではないか、こういう台詞が人物を変えるのではないか、というようにパーツから考え、意見を交換しました。パーツを眺めたり、それについて話したりしているうちに繋がりが見えたり、見えなかったりするのが面白かったです。明らかに連関性のあるものを物語らしく繋げていくのではなく、パーツの間に浮かび上がる何かしらについて考える。そんなところから生まれてくる演劇にワクワクしました。

中西空立

今回は様々な知識や作品を参照しながら人物/ドラマ/言葉にそれぞれ着目し個別に考えたのち、あるテーマに沿って3つの要素を作成するという進め方でした。

普段、演劇を観たり作ったりする過程においてはその分析を自然と言葉で行うことが多いように思います。しかし知っている言葉の多寡によって分析自体の傾向が定まってしまいます。対して今回は言葉というよりも構造や図を用いた客観的で汎用性のある方法を用いており、言葉のみでは困難な相互の伝達もかなりスムーズに感じられました。この体験には驚きましたし、参考になりました。

また、カゲヤマさんと参加者が様々なコメントや発想を交換する作業は非常に刺激的で、楽しかったです。ありがとうございました!

マツモトタクロウ

未曾有の状況下で、従来の演劇が損なわれている現在。新たな方法を模索する人もいれば、じっと危機の経過を待つ人もいる。そんな中で、改めて「演劇の本質とは」という根本的な問いと向き合うことが大切なのではないか。ドラマゼミでは岸田國士の論考をベースに「ドラマ」の本質を探ったわけですが、彼もまた、戦争という大きな危機の中で、演劇と向かい合い続けた人物の1人です。

ただ、どれだけ考えても結局、「演劇の本質は〇〇である」という完全無欠な解が出ることはないでしょう。しかしそれでも考え続けることがとにかく重要で、ドラマゼミはこれからそんな風に長い時間をかけて演劇と向き合っていくであろう僕に、大きな示唆を与えてくれました。「ドラマ」にはこの暗雲垂れ込める世界を照らす力があると信じるからこそ、これからもその本質を問い続け、そうして次の時代の新しい「ドラマ」を思索する。それこそが今を生きるわれわれの使命なのだと思います。

このドラマゼミをもとに制作されるという戯曲『ウォーターフォールを追いかけて』の完成を心から楽しみにしています。

ドラマゼミを振り返って

今回、3日間のレクチャーパートでは、岸田國士の演劇論をベースに、「ドラマ」における3つの要素をそれぞれ検討していきました。
そして、それを踏まえたワークショップでは、要素ごとのメソッドで成果物を制作してもらいました。それらのメソッドは最後の「パーツ」の制作においても適用されています。
今回、どのレクチャー / メソッドにおいても共通していたのは、「私」にとって身近な事象や人物が根底にある、ということだったように思います。普段の生活で出会う人や事、言葉を話すときの「私」の身体といった、それぞれの身近な物差しから、そのファクターを分析し、普遍化させ、自立したひとつの「パーツ」へと展開させていく──そうした「ドラマ」の捉え方・作り方によって生まれるリアリティがあるのだ、と考えました。
そのようにして、今回、参加者のみなさんに制作してもらった「パーツ」は、そのひとつひとつに「ドラマ」を内包しています。「タイトルについて/カゲヤマ気象台」にもあるように、『ウォーターフォールを追いかけて』では、「危機」という「ドラマ」が描かれます。それは、私たちが今まさに体験しているような、あるいは体験しえたであろう、身近な「危機」です。「危機」は、コロナ禍のように私たちの生活を揺がすほど大きなものでもあれば、日々の暮らしの中の機微でもあります。
ドラマゼミを通して、『ウォーターフォールを追いかけて』で扱われるさまざまな「危機」はテーマとしても設定されてると同時に、作り方の段階から私たちの今の物語として機能しているのだと感じました。
そして、それらがカゲヤマ戯曲のなかでどのように見せられていくのか、とても楽しみです。また、今回の創作が参加者のみなさんにとっても作品にとってもよいものであったなら、これ以上嬉しいことはありません。

【企画運営】冨田粥(どらま館制作部)

ダイジェスト動画

今回のドラマゼミの雰囲気や様子が伝わればと、全4回をダイジェストにまとめました。

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