企画概要
1952年設立の早稲田大学稲門シナリオ研究会(通称:シナ研)は、
自主制作映画サークルの嚆矢として、大和屋竺や田中陽造など数々の映画人を輩出してきました。
この度、シナ研最初期の自主制作映画2本が倉庫から発掘され、
70年の時を経て再びスクリーン上で動き出します。
上映される2本のフィルム『九十九里』と『彦市ばなし』は、
未だ語られざる自主制作映画史を紐解く上で極めて重要な作品となるでしょう。
加えて、日本映画史/ドキュメンタリー映画史/サークル文化など、
幾重にも重なる歴史的文脈との接点において語ることが可能であるかもしれません。
当時の学生たちが映画制作へ傾けた情熱は、現在にまで受け継がれて、多様な映画サークル文化を形成してきました。
本上映会では当時と同じフィルム上映で、何よりも当時の学生たちの情熱を感じていただければと思います。
池元慎(早稲田大学稲門シナリ才研究会/早稲田大学文学研究科修士課程·解說)
日時
2023/09/19(火)
会場
小野記念講堂
上映作品
『九十九里』(1953)/ 16mm(14分)
大学サークルによる自主制作映画のなかで、現存が確認できる最古の作品。
基地関争で描れる九十九里を舞台として、漁師の苦しい生活と米軍の演習が漁獲量へ与える影響を
爆情的なナレーションで観客へ訴える。
同年、亀井文夫が『基地の子たち』にて同様に基地問題を扱っていることからも、
この時代の政治的色彩が窺える。
『彦市ばなし』(1954)/ 16mm(20分)
木下顺ニ原作の民話劇を映画化した劇映画。
嘘つきの名人である彦市と天狗の子供が、隠れ養をめぐって争いを繰り広げる。
撮影には35mmフィルムを使用したとされ、衣装やロケーション含め、学生映画とは思えない豪華さが魅力。
また、自主制作ながら教育映画として配給された形跡は、自主/商楽の境界線を曖味なものとする。
料金/予約
無料/予約不要
タイムテーブル
17:30 開場
18:00 開演
18:45 解説(池元慎)
19:30 終了予定
クレジット
主催:早稲田大学稲門シナリオ研究会
共催:早稲田小劇場どらま館
Special Thanks:稲門シナリオ研究会OB・OGの皆様、神田麻美(映写) 石川亮(映写)
Poster design::藤原亜光