毎年学部報のこの欄は、定年を迎える先生が執筆するならわしになっているようであるが、いよいよその順番が私に廻ってきた。光陰矢の如し、あっという間にその日がやってきた感じである。社会科学部が呱呱の声をあげたのは1966年であるから、あと3年で満30才を迎えることになる。1966年といえば、いわゆる第一次大学紛争の真最中で、前年末から全学無期限ストに入っており、学部最初の入学試験も、機動隊導入による封鎖解除を経ての、厳重な検問体勢のもとで実施された。このときの受験者の総数は、わずか1800名であったことは、1万数千の志願者の殺到する昨今の状況からは、にわかに信じ難い。