1階ホールより《明暗》をのぞむ
別画面で大きな映像でご覧になりたい方は、こちらをクリックしてください。
スマートフォンなどでご覧になりたい方は、以下のQRコードをご利用ください。
博物館の建築と《明暗》
會津八一記念博物館の建築は、当初早稲田大学の図書館として建てられました。
1925年に完成した、現在早稲田大学で2番目に古い鉄筋コンクリート造りのこの建物は、建築家・今井兼次(1895-1987)のデビュー作です。
多角形をなす屋根や随所にとりいれられた優美な曲線は表現主義の流れを汲むもので、当時の大学の校舎としては独創性に富んだものでした。一見シンプルな外観の建物ですが、大扉を飾る八角星の透かし彫り、美しい柱頭を戴く六本の柱、階段室の手すりの下に置かれた月のモチーフなど、その内部には隅々まで意匠がほどこされています。
当時学生たちは、建物の中心となる大階段を上がり、絵画《明暗》の前を通って、2階の閲覧室(現在のグランド ギャラリー)で学んでいました。
《明暗》の図は、闇を破って太陽が昇り夜明けにならんとしているところで、下方が暗く上方が明るい構図は蒙昧と理知を象徴し、当時の正面入口(大扉)から1階ホールを通り入ってきた人が、図書館の階段を上がるにつれて文明の光りを浴び開明されるとの意味を寓しています。
この【360° Tour】では、大扉から《明暗》に徐々に近づいていくと、《明暗》の図が次第に見えてくる様子を再現しています。画面内に表示されるポイントをクリックすることで、5箇所のアングルからご覧いただけます。
また1階ホールには、向かって正面左から、澤田政廣《太陽に向いて》、木内五郎《彳む女》、上條俊介《舟を曳く人》、岡崎雪聲《執金剛神立像》、圓鍔勝三《星陽》の各彫刻作品、右手には「狩谷棭斎墓碑」を常設展示しています。背後に位置する大扉にも注目です。あわせてお楽しみください。