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「越境対馬2025」を実施しました
Fri 09 Jan 26
Fri 09 Jan 26
2015年に始まった「越境対馬」プロジェクトでは、「国境の島」と呼ばれる対馬をフィールドとして活動しています。対馬は日本列島と朝鮮半島との間に浮かぶ島で、古来より〈交流〉と〈対立〉の最前線となってきました。このような《国境離島》のあり方への理解を深めるため、「越境対馬」では韓国から船で対馬へと渡り、民泊をしながら対馬の歴史・文化・民俗・社会・観光・自然・環境を幅広く体感し、博多へと至るフィールド・ワークを毎年夏に行っています。
本プロジェクトでは、対馬を訪れる前提としてまずは「国境」という概念への理解を深めるため、「領土」について考える機会を設けています。夏のフィールド・ワークの前に政府の内閣官房が設置する「領土・主権展示館」(東京)を訪れて、日本政府の「竹島」問題などに関する公式見解について理解し、さらにソウルでは韓国政府の教育部傘下の東北アジア歴史財団が運営する「独島」の展示施設を訪れて、韓国政府の主張についても学びます。これにより、日本列島と朝鮮半島との間に横たわる領土問題や《国境離島》のあり方について、最初に国家の視点から検討しています。
続いて韓国の大学生・大学院生との「歴史対話」を通じて国家の枠組みを超えた視点の可能性について追及します。そして学生・生徒どうしが仲良くなることで、国家と国家の関係とは別に、個人と個人の交流が重要であることを体感します。
さらに対馬を実際に訪れ、列島と半島の歴史が交錯する史跡等を訪れるとともに、韓国人観光客や韓国との交流をめぐる島民の意識について調査し、《国境離島》であることが地域社会に与える影響について考えています。これにより、〈交流〉と〈対立〉の最前線という言葉によって列島と半島の二項対立に矮小化される「国境」概念を乗り越えるとともに、国家と国家、個人と個人に加えて、対馬という地域の地平から国際関係を眺める新たな視野を獲得することを目指しています。
以下が、「越境対馬2025」の行程になります。
越境対馬2025行程
「越境対馬」の活動は、様々な方々のご協力によって支えられています。
対馬市役所には様々な情報を提供いただいているほか、今年度は対馬市SDGs研究奨励補助金に採択いただき、学院生の研究をサポートしてくださっています。
夏のフィールド・ワークの前と後には東京工業大学の坂村研究室を訪問し、研究指導を受けています。そして坂村圭准教授と研究室の学生の皆さんには、フィールド・ワークの一部行程もご一緒いただいています。
韓国の高麗大学校へはコロナ禍を除いて毎年訪問しており、8年にわたって「日韓歴史対話」を行ってきました。今年度は渥美国際交流財団にもご協力いただき、「越境対馬」のフィールド・ワークの最後に、東京大学名誉教授の三谷博先生と早稲田大学教授の劉傑先生を福岡にお招きして、高麗大・全南大・福岡大・早稲田大の学生と学院生による「日韓歴史対話」を開催することができました。
その他、対馬で民泊をさせていただいている方々や、聞き取り調査にご協力いただいている方々など、関係するすべての皆さまに感謝を申し上げます。
