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大谷淳 教授(理工学術院退職教員寄贈本文庫)


大谷 淳 教授

【ご寄贈図書】
Analyzing Video Sequences of Multiple Humans: Tracking, Posture Estimation and Behavior Recognition
Kluwer Academic Publishers 2002

【大谷淳先生からいただいたご寄贈図書にまつわる文章】
私たちが執筆したこの本は画像処理技術に関するものです。画像処理は、カメラにより撮影された静止画や動画像をコンピュータにより処理し、人間の視覚機能と同等以上の機能を実現しようとする技術の総称です。この本では、私たちが行ったビデオ動画像中の複数人物の解析に関する研究の内容が述べられています。より具体的には以下の3つの画像処理技術が説明されています。
①複数カメラにより撮像された複数の動画像を用いる複数人物の追跡法
②人物の表情と全身像の姿勢を実時間で推定し、3次元人物モデル(アヴァター)を用いて推定された表情と姿勢を再現する方法
③隠れマルコフモデル(HMM: Hidden Markov Model)を用いて人物の行動を認識する方法

②の技術は、「誰もが歌舞伎役者に仮想的に変身できる」ことをコンセプトとする「バーチャル歌舞伎システム」に用いられました。実空間にいる人物の表情と全身の姿勢を実時間で推定し、仮想空間における歌舞伎役者のアヴァターを用いて再現します。コンピュータグラフィックスの分野における世界最大の国際会議SIGGRAPHでデモ展示を行ったところ、New York Timesに記事として紹介される等、大変注目されました。
③の技術は、動画像認識の分野においてHMMを初めて適用し、動画像中のテニスにおける6種類の動作を認識対象として有効性を検証しました。それまで、動画像認識技術には有効な手法がほとんど無かったため、③の技術は世界のtop levelの国際会議IEEE Conference on CVPR (Computer Vision and Pattern Recognition)に採録され、現在までに約2000件の論文で参照されました。
この本で述べた①から③の技術は深層学習が登場する以前の技術です。ただ、画像処理の分野の進展を支えた重要な技術に位置付けられると確信する次第です。

【プロフィール】
1973.3 私立栄光学園高等学校卒業
1973.4 東京大学理科一類入学
1977.3 東京大学工学部精密機械工学科卒業
1979.3 同大学大学院工学系研究科精密機械工学専門課程修士課程修了
1979.4 日本電信電話公社(現NTT)電気通信研究所入所
1988.10 工学博士(東京大学)
1988.11~1989.11 NTTから海外研修の機会を与えられ、米国・メリーランド大学(Univ. of Maryland)、コンピュータビジョン研究所、客員研究員
1992.2 ATR((株)国際電気通信基礎技術研究所)通信システム研究所へ出向。知能処理研究室・主幹研究員。
1996.4 ATR知能映像通信研究所・第一研究室長
2000.4 早稲田大学国際情報通信研究科・教授
2005.7~2005.9 ドイツ・カールスルーエ大学 (Univ. of Karlsruhe)招聘教授
2014.4~2025.3 早稲田大学創造理工学部総合機械工学科・教授
早稲田大学先進理工学研究科生命理工学専攻
早稲田大学次世代ロボット研究機構長

【主な研究歴】
・画像処理
・深層学習
・ロボットビジョン
・医療画像処理
・スポーツ工学
・バーチャルリアリティー
・ヒューマンインタフェース
・コンピュータグラフィックス
・工学と芸術の融合

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