東西絵本の世界 ~縮緬本とイギリス絵本~
19世紀の終わりから20世紀の初めにかけて、東洋と西洋、双方の絵本の世界に大きな変化が起こりました。
一 つが日本にうまれた「縮緬本(ちりめんぼん)」です。強靭な和紙を何回も揉み、圧力をかけることで、あたかも縮緬布のようにした紙に、色鮮やかな挿絵を付 して刊行した縮緬本は、それまでの錦絵の技術をいかしながら、まったく違った風合いの本を生み出しました。代表作である「日本昔噺」21点の翻訳本は、英 語だけでなく、ドイツ語、フランス語など、諸国語で出版され、その多くが土産品として海を渡ってゆきました。
そして同じころ、イギリスは産業革命 による経済的な繁栄を謳歌し、文学、芸術の分野での大きな変化が起きていました。それまで実用一辺倒だった児童書にも、多くの挿絵をもつ鮮やかな作品が登 場します。また当時は、「日本趣味(ジャポニスム)」が大流行した時代でもあり、絵本の中にもその影響をうけたものもあったといいます。
今回は戸山図書館が新たに収蔵した縮緬本、イギリス絵本を展示しました。
まさに100年前の東西交流の証ともいえる絵本の世界をお楽しみください。
2015年1月 戸山図書館