場所:戸山図書館
会期:2019/7/26~2019/8/31
夏の暑さが、いよいよ厳しくなってまいりました。
そろそろ、涼しいお話をひとつ、ふたつ・・・。
かつて夜は真に闇の世界であり、夕暮れは光と闇の狭間にあって人の顔も見分けられない文字どおり 「たそがれ(誰ぞ彼)どき」でした。そうした時間帯、心もとない気持ちで行き交う人々の前に現れたのが妖怪変化、幽霊といった「異形のものたち」です。彼らは時に恐ろしく、時に滑稽に人を惑わしました。都会の夜空から天の川が消え、真の暗闇が失われた現代社会。行き場を失った「異形のものたち」はどこへ行ったのでしょう。
妖怪や幽霊の登場する怖い話「怪談」は、暑い夏に体の中を内側から涼しくしてくれる術として、人々に親しまれてきました。妖怪は多種多様な姿で、幽霊は人の姿で描かれることが多かったようです。
・・・残念ながら、いや幸い?本物は見たことがないですが・・・。
こうした幽霊、妖怪たちは古くから「存在」し、とりわけ江戸時代の日本ではさまざまな形で人々の前に姿を現しました。上田秋成の『雨月物語』に代表されるような読み物としてはもちろんのこと、人々の間では「百物語」も流行しました。「百物語」は夜な夜な人々が集い、百本の蝋燭を灯して交代で怪談を披露してゆき、一つ終わったら蝋燭を一本消す、そして百本すべて消えて真っ暗になると、妖怪が現れるという、恐ろしい「遊び」です。今でも夏になると、テレビなんかで見ることがありますよね。
現在、妖怪や幽霊は、小説、漫画、映画、絵画、演劇、ゲームなど、さまざま領域で描かれ、横断的に一大ジャンルを形成しています。人間とは違う「異形のものたち」は、時代の変遷と共に新たな表現を得てきたとも言えるかもしれません。今回は図書館が所蔵する資料のうち、妖怪や幽霊に関するものを展示いたします。資料を通して、ひと時の涼に浸ってください。
おや・・・?
後ろに誰かいませんか・・・?
!!!!!!!!!!!!!!!!!
2019年7月 戸山図書館
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