菅野 由弘 教授 (Photo©AkiraKinoshita)
【ご寄贈図書】
「西行―光の道」(雅楽、聲明、伶楽のための):春秋社 2001年出版
配架場所:理工学図書館 理工B-2 北閲覧室 請求記号:TC 教員寄贈2023
【菅野由弘先生からいただいたご著書にまつわる文章】
国立劇場の委嘱で作曲した音楽作品の楽譜、解説、初演時の録音CDがついた「現代の日本音楽5」である。この作品は、国立大劇場を曼荼羅に見立て、日本音楽の原点である雅楽、聲明、伶楽(正倉院の復元楽器)の演奏家、総勢71名によって展開された。吉野から熊野に至る大峰山を中心とした紀伊半島中央部は、実は曼荼羅に見立てられていた。そして、そこを歩いて修行すると、曼荼羅の世界を体現したことになると信じられていた。西行もその1人で、この地域で「大峰修行」を行い、数多くの「歌」を残した。その中から18首をテキストとし、聲明として唱え、雅楽と伶楽による大合奏の中で展開される「祈りの音楽」である。詳しい経緯は、この中に記してあるので、お読み頂き、添付のCDで、実際の音楽を聴いて「曼荼羅世界を体験」して頂けることを、望んでいる。
【プロフィール】
1953年:東京生まれ
1978年:東京藝術大学音楽学部作曲科卒業
1980年:東京藝術大学音楽研究科修士課程作曲専攻修了
1979年:「弦楽四重奏曲」がモナコ・プランス・ピエール作曲賞
1992年:早稲田大学理工学部 非常勤講師
1994年:電子音楽「時の鏡I —風の地平」がIMC推薦作品
1997年:早稲田大学理工学部 助教授
2002年:「アウラ」でイタリア放送協会賞
2010年:早稲田大学理工学部 教授
2012年:日本文化藝術財団「創造する伝統賞」受賞。
作品は、国立劇場委嘱の雅楽、聲明、古代楽器のための「西行—光の道」(春秋社刊)、NHK交響楽団委嘱の「崩壊の神話」、ピアノのための「光の残像 I」、新作聲明「十牛図」、ミューザ川崎シンフォニーホールと小川典子の共同委嘱作品「ピアノの粒子3部作」(CD=BIS社)、プリペア—ド・ピアノ(4手)とトーイ・ピアノのための「猫はしばしば箱に潜る: Cat in the Box I」、サントリーホール委嘱作品、古代祝祭劇「太陽の記憶—卑弥呼」、姫路市立美術館のための空間電子音楽「星雲光響2020-2021」。
NHK大河ドラマ「炎立つ」、NHKスペシャル「フィレンツェ・ルネサンス」、押井守監督の「天使のたまご」、震災特集ドラマ「かつお」、NHKラジオドラマ「新日曜名作座」、FMシアターの音楽など多数。
現在、 (一社)日本作曲家協議会会長