The Hirayama Ikuo Volunteer Center, Waseda University (WAVOC) 早稲田大学 平山郁夫記念ボランティアセンター(WAVOC)

News

ニュース

【開催レポート】早稲田大学ボランティア・アカデミー 「学生は先住民族の歴史・文化・当事者と触れ合い、何を感じたのか」カナダ・スタディツアー報告会&ワークショップ

【開催レポート】早稲田大学ボランティア・アカデミー 「学生は先住民族の歴史・文化・当事者と触れ合い、何を感じたのか」カナダ・スタディツアー報告会&ワークショップ

2026年1月13日(火)、早稲田キャンパス GCC Common Roomにて、早稲田大学ボランティア・アカデミー 「学生は先住民族の歴史・文化・当事者と触れ合い、何を感じたのか」カナダ・スタディツアー報告会&ワークショップを開催しました。

本イベントでは、スタディツアーに参加した学生2名が現地での学びを報告するとともに、ワークショップを通して参加者とともにカナダ先住民族の歴史や文化、現代社会が抱える課題について考えました。

ワークショップ

冒頭ではアイスブレイクを行い、参加者の緊張をほぐした後、4人1組でグループワークを実施しました。

ツアー中にも取り組んでいた「チェックイン・チェックアウト*1」を体験し、チェックインでは付箋を用いたブレインストーミングを実施。「カナダにあって日本にないもの」(赤)、「日本にもカナダにもあるもの」(黄)、「日本にあってカナダにないもの」(青)の3つのテーマについて、3分間で自由に書き出しました。

「多様な文化」「学校」「米」「漢字」「神社」などさまざまな意見が挙げられ、学生同士が互いの視点や気づきを共有する時間となりました。

*1 チェックインは、会の冒頭で参加者全員が現在の気持ちを共有することで、その後のコミュニケーションや議論を円滑にする手法です。チェックアウトは、会の最後に学びや感想を振り返り、理解を深めるために行われます。

カナダ・スタディツアー活動報告

由井一成講師より、現地で撮影した写真を交えながらスタディツアーの報告が行われました。

学生たちはバンクーバーを訪れ、先住民族文化に関する施設やブリティッシュ・コロンビア大学(UBC)人類学博物館を視察しました。カナダでは、先住民族への迫害の歴史を踏まえ、現在は権利や文化、レガシーを尊重・継承する取り組みが進められていることが紹介されました。

また、日系移民の真理子さんや先住民族のノームさんから、先住民族を取り巻く社会的課題や自身の経験について話を伺いました。学生たちは、先住民族が大切にしている「All My Relations」という価値観に触れ、人と人だけでなく自然や社会とのつながりを大切にする考え方について学びを深めました。

パネルディスカッション

続いて、三浦陽向さん(人間科学部3年)、山下凛花さん(政治経済学部1年)が登壇し、現地で感じたことや学びについて発表しました。

先住民族の歴史と権利について

三浦さんは、美術館や博物館でトーテムポールが屋外の自然光の下に展示されていることを例に挙げ、「カナダ政府による先住民族迫害の歴史とは対照的に、現在は文化への尊重や畏敬の念が示されている」と説明しました。一方で、文化的な尊重が進む一方、経済格差など現実の課題については依然として十分な解決には至っていないと指摘しました。

山下さんは、大学構内に設置されている看板アートを紹介し、先住民族の言葉で「ようこそお越しくださいました」という意味を持つと同時に、「この土地は本来、先住民族の土地であった」ことを示すメッセージが込められていると説明しました。

先住民族を取り巻く社会課題

三浦さんは、ノームさんが自身のアルコール依存症の経験を語ったことを受け、これまでマジョリティの立場からマイノリティの現実を十分に理解できていなかったことに気づいたと振り返りました。当事者の言葉を直接聞いたことで、社会課題をより身近なものとして捉えられるようになったと語りました。

山下さんは、バンクーバーではホームレス問題が深刻であり、その中には先住民族にルーツを持つ人々も多く含まれていることを紹介しました。現地で長年カウンセラーとして活動する真理子さんからは、歴史的背景と貧困、ホームレス、薬物依存などの社会課題が密接に結び付いている現状について話を聞いたことを共有しました。

今回のツアーの中で特に印象に残ったこと

三浦さんは、「All My Relations」という考え方や、ノームさんの「自分は大地に抱かれている」という言葉が特に印象に残ったと述べました。帰国後は、自分を取り巻く人や自然とのつながりを意識するようになり、「自分の人生をより前向きに捉えられるようになった」と、自身の価値観の変化について語りました。

山下さんは、不衛生な環境で暮らすホームレスの姿を目の当たりにし、大きな衝撃を受けたと振り返りました。その一方で、真理子さんから「彼らはとても強い人たち」という言葉を聞いたことで、自身の中にあった先入観や偏見に気づき、「これまで一面的に見ていた物事を、多面的に捉えられるようになった」と話しました。

参加者の声

  • 先住民族との調和とは、文化や歴史を尊重することに加え、個々人が自分自身を肯定できるような社会を創ることだと学びました。誰1人置いていかないためにはどうするべきかを考えるきっかけとなりました。総じて、今の発言は不快にさせていないか、分かり合えはしないけれども他者の立場を想像しようとする姿勢であり、その姿勢を見失ってしまった時に無自覚に他者を置き去りにしてしまうのではないかと私は思いました。
  • 登壇者の方が、先住民やマイノリティの方々が置かれている現状や政府の取り組み、人々の向き合い方について、良い面だけではなく悪い面もしっかり捉えて、それを3ヶ月以上たった今も忘れずに問題意識を持ちつづけたり自分ごととして捉え続けている姿勢が素敵だと感じた。全体の説明の流れや由井先生との掛け合いによるパネルセッション深掘りもとても分かりやすかった。とても実りの多い時間をありがとうございました。
  • 自分の中でマイノリティの視点が可視化された点が印象に残っている。

おわりに

発表後には質疑応答を行い、その後、再びチェックアウトを実施しました。参加者は、それぞれが感じたことや心の変化を共有しながら、学びを振り返りました。

質疑応答では、「なぜ先住民族にルーツを持つ人々の貧困が深刻なのか」という質問に対し、歴史的な迫害の積み重ねによってアイデンティティが傷つけられ、精神的なダメージを受けてきたことが大きな要因であると説明されました。また、こうした課題の解決には、個人の努力だけでなく、政府による構造的な支援が必要であることも共有されました。

さらに、「マイノリティに対して私たち一人ひとりにできることは何か」という問いには、「まずは家族や身近な人に伝え、知ってもらうことが大切」というメッセージが示されました。

報告会では、カナダ先住民族の歴史や社会課題について理解を深めるだけでなく、参加者一人ひとりが「自分なら何ができるのか」を考える機会となりました。現地で得た学びを自分自身の言葉で語る学生たちの姿からは、スタディツアーでの経験が一過性のものではなく、その後の価値観や行動にもつながっていることが伝わる報告会となりました。

【関連リンク】
【教員便り】カナダスタディツアー「真実と和解の旅」

Page Top
WASEDA University

早稲田大学オフィシャルサイト(https://www.waseda.jp/inst/wavoc/)は、以下のWebブラウザでご覧いただくことを推奨いたします。

推奨環境以外でのご利用や、推奨環境であっても設定によっては、ご利用できない場合や正しく表示されない場合がございます。より快適にご利用いただくため、お使いのブラウザを最新版に更新してご覧ください。

このままご覧いただく方は、「このまま進む」ボタンをクリックし、次ページに進んでください。

このまま進む

対応ブラウザについて

閉じる