獣害対策ボランティア「狩り部」が詩で活動成果を報告しました
獣害対策ボランティア「狩り部」は、活動をとおして得た学び・成長を紹介する詩をつくりました。
ぜひ、読んでみてください。
詩をもとに作成した動画絵本では、さらに写真入りで活動を知ることができます。
作者である細原さん(社会科学部3年)が、プロ級の美声で朗読しています!
ぜひ動画絵本もご覧ください(2022年2月のオンライン謎解きイベント「暴走するAIを食い止めろ」で発表)
小さな少女とようこそ狩り部
細原千聖(社会科学部3年)
大きな大きな自然で起こった
小さな小さな狩り部の
もっともっと小さな少女のお話
まちの少女は見ている少女
へえ 大変そうだ
すごいなあ
かわいいなあ
今日も人がつくったもののうえから
あれこれ感想言っています
山に寄り添う農家さん
金にかがやけ たわわにみのれ
一年かけて育てた稲穂
ようやくこうべがたれてきた
みんな 明日の収穫を楽しみに 眠りにつきました
ふごふご ばさばさ
はらぺこイノシシやってきた
稲穂はみんななぎ倒す
今日も いっぱい暴れたぞ!
あくるひ 農家さんは 田んぼにむかいます
うきうき うきうき どんなにたくさんとれるだろう
けれど 待っていたのは 土に伏せった稲穂たち
一夜の間になんてこと
憎いぞ 憎いぞ イノシシめ
見ている少女は自然に憧れ
狩り部へようこそ いざなわれます
どんなことをするのかな
突然イノシシ出てきたり
狩りに同行しちゃったり
鉄砲つかって仕留めたり
新たな世界が待ってるだろう
なになに 狩り部
千葉 鴨川へ行くらしい
現地の人と これまで 40頭しとめたらしい
そんな話を聞いていると 少女は少しおくびょうにもなりました
ついにとうちゃく 鴨川自然王国だ
そこには やえさん
田畑を耕し 歌を歌って
土にまっすぐ 立っている
なのに こちらは
へっぴりごしの まちむすめ
私に何ができるだろう
始まる 始まる 狩り部の活動
さっそく見つけた イノシシの通り道
足跡 ちょこんと くっきりあるぞ
けものみちには 罠をしかけます
こんなに 田畑の近くまで
イノシシ やってくるなんて
やえさん まだまだ困りがお
しかけるだけでいいわけない
見回り 管理 修理 まで
大変な仕事 待っている
プルプル プルルル
猟師さんからお電話だ
罠にイノシシ かかってるって
これから とどめをさすところ
見学したら どんなきもちになるだろう
パァン ドサ
銃でうったら 死んじゃった
あばれて もがいて 死んでった
目の色どんどん変わってく
罠にはまった後足は 骨がむき出し
たんたん たんたん 淡々と
イノシシを運んで お肉にしてゆきます
慣れない手つきで少しずつ
みんなで解体 精肉するぞ
腸に胃袋 心の臓
おなかのなかのあたたかさ
冷たいナイフにいのちを教えてくれました
さあさあ みんな集まれ
特製カレーの匂いがぷうん
お昼ご飯の時間だよ
みんなでイノシシ お肉にしたね
その命が宿ったカレー
やえさんが大事に育てた野菜たちも
ゴロゴロ ちゃぷちゃぷ
大盛りご飯がよそわれて
みんなそろって いただきます
草でぼうぼう 田んぼだった場所にきた
ブルブルブーン! ブルブルブーン!
初めて使った草刈機
軽油を飲んで パワー全快!
腰まで伸びる雑草たちを
ジャキジャキジャキン
みんなみーんな なぎ倒す
草たちの文句 聞こえるよ
ごめんよみんな ごめんよみんな
それでも わたしはとっても楽しい
ふうふう 疲れた
だらだら 汗だく
むしむし むせかえる緑のにおい
ほらほら 後ろを見てごらん
ずっと奥まで 見晴らせる
ちょんちょん 雑草 悔しそう
おやおや イノシシ あそこで どろんこになってたな
律儀に あかしが残っています
それでも ここは 里の場所
私も いっぱい暴れたぞ!
だけど やえさん まだまだ困り顔
ジリジリ ジリジリ 暑い夏
雑草たちは人間になんか負けない 負けるはずがない
オレたちは 1週間で 元通りさ
ぐんぐん ぐんぐん 青い背中を伸ばしてく
大きな田んぼは 再び雑草でいっぱいになりました
その頃 少女は 東京ぐらし
1日行って ちょちょいのちょいで とんぼがえり
自然との攻防戦は そんなに 甘くはないのだよ
この場所は もうじき 山と獣が取り返す
この場所は そろそろ 人間はあきらめよう
少女の耳に ささやき声が聞こえます
けれども やえさん
鴨川を この土地を 必死に守ろうとしています
この暮らしを 大切にしています
ゆらゆら ひしひし 心に届く
やえさんの思いあるからこそ みんなが動く
やえさんの思いあるからこそ 手放してはいけないんだ
獣害 獣害
街に獣が現れた
獣害 獣害
田畑に被害が
遠くに見ているだけじゃあ 分からなかった
獣害 被害
暮らしのすぐそばにある
獣害 狩猟
命をかけた 暮らしの取り合い分かち合い
遠くに見ているだけじゃあ 分からなかった
獣害 草刈り
山と里とのせめぎ合い
獣害 お肉
お肉を分け合う喜びを
とってもおいしい カレーの味を
見ていただけの少女は いつしか
狩り部に出会い 自然に出会い
獣害に出会い やえさんに出会い
生き物たちを 森を 山を 知りました
知って愛することが どこまでも続いてゆく少女になりました
大きな大きな自然にいぶく
小さな小さなりょうてのひら
大きな大きな自然で起こった
小さな小さな狩り部の
もっともっと小さな少女のお話
おしまい
狩り部
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