【学生リーダーレポート】高尾の森スタディツアーのレポート
学生リーダー 菊池侑大
2021年10月、高尾の森スタディツアーへ参加しました。緑豊かなこげさわの森で作業を行い、森で活動する方のお話を聞くことが出来るという最高の体験でした。
連日観光客で賑わう高尾山ですが、私たちが向かったのは「裏高尾」と呼ばれる地域の「こげさわの森」という場所でした。観光客が少なく、静かな森の中でより自然を感じることができる地域です。
森を少し進んだ所の作業小屋で、コーディネーターの花岡さんと合流しました。花岡さんから森にまつわる様々なお話を聞きながら、準備を進めました。ヘルメットをかぶり、ベルトを巻いた腰の左に「ノコ」(ノコギリ)、背中側には「ヨキ」(斧)を装備すると、気が引き締まりました。
林道を作るには、木を切り倒す必要があります。今回の目標は、頂が曲ってしまったひのきを一本切り倒すことです。花岡さんを先頭に、道具小屋から木を目指して出発しました。途中で橋が壊れている所があったので、未整備の道を迂回します。登山道を登るのとは一味違った険しさでした。
目標の木の場所に到着すると、さっそく作業に取り掛かります。「追い口」「受け口」という切れ目を、倒したい方向を見定めながらノコとヨキで入れていきます。十分に切れ目を入れたら、いよいよ滑車とロープを使って慎重に引っ張ります。たちまち、ぱきぱきぱき…、という音を立ててゆっくりと檜の木が倒れていきます!切り口が入っているおかげで、極端に大きな力を出さずとも、三人で倒すことが出来ました。切り株を見ることで、花岡さんがこの木の樹齢や生育環境を教えてくれました。木を大切に扱う花岡さんの姿からは、木への愛や感謝を感じることができます。その後、ヨキで木の枝を一つひとつ切り落として、作業は完了しました。綺麗に切ることができ、非常に大きな達成感を得られました。
ところで、どうしてチェーンソーなどの機械を使わないのでしょうか?それは、花岡さんたちは、この「こげさわの森」の雰囲気を大切にしているからです。こげさわの森は、先ほども述べた通り、自然に没入できる静かな環境が特徴です。訪れた人にそれを味わってほしいという願いから、騒音が出るような機械を使うことをあえて控えているそうです。森を愛する人ならではの配慮に心打たれました。
今回のスタディツアーは、新たな気付きと驚きに満ちた体験でした。東京都内に穏やかな緑が広がっており、それが人の手で維持されている。私たちが歩く森の中の道が、機械ではなく、ノウハウと道具を使った人々の活動で出来ている。それらの気付きから、自分のものの見方が広がりました。参加して本当に良かったです。