The Hirayama Ikuo Volunteer Center (WAVOC) 早稲田大学 平山郁夫記念ボランティアセンター(WAVOC)

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<ハッピーハニー通信13号>スキルアップしたアフリカゾウの追い払い

<ハッピーハニー通信13号>

スキルアップしたアフリカゾウの追い払い

平山郁夫記念ボランティアセンター准教授 岩井雪乃

WAVOC教員の岩井は、2007年からアフリカゾウによる農作物被害の対策プロジェクトを、タンザニアのセレンゲティ国立公園の周辺の村で実施しています。
オープン科目「アフリカゾウとの共生を実践するボランティア」で、学生も活動に参加しています。
2018年2月の対策活動の様子をお伝えします。

追い払いスキルが格段にアップ!

村の農民たちは、たいへん速やかにゾウを追い払うことができるようになっています!1年前は、10時間もかかって右往左往しながら何十キロも走り回って、「ゾウを追い払う」と言うよりも、「ゾウとマラソン」状態でした(エッセイ「アフリカゾウを追い払う困難さ 」参照)。それが今年は、2時間ほどでスムーズにゾウを保護区に戻して、村びとが襲われそうになる危険な場面も少なくなっていたのです。感動しました!

岩井も毎晩、追い払いに行きました(弓矢は、ゾウが襲ってきた非常時の護身用。追い払いには使いません)

 

それもこれも、メンバーがゾウをしっかり観察し、ゾウの習性を学習して、そしてチームメンバー全員が連携することができるようになったからです!ミセケ村の場合は、追い払いチームに60名のメンバーがいます。多くのメンバーが、昨年はゾウが恐くてむやみに爆竹器を鳴らしていました。それが今では、始めの1時間ほどはゾウをじっくり観察してゾウの数と位置を確認し、その上で、配置についてから爆竹器を鳴らして、無駄なく効果的にゾウを脅かすようになりました。

ゾウを取り囲むように配置につくメンバーたち

 

懐中電灯とソーラーパネルを寄贈

ソーラーパネルと懐中電灯の支援をしてきました。ゾウを追い払うためには、まずはゾウがどこに何頭いるかを確認することが重要です。懐中電灯はそのための必需品で、それは充電式のため、ソーラー充電設備も必要です。これまでは、20kmはなれた町の充電屋までいかなければならず、いざというときに「充電が切れている!」あるいは「充電屋にあずけていて懐中電灯がない!」ということがしばしばありました。これからは、それはだいぶ改善されそうです。

20個の懐中電灯の寄贈。明るさ・充電池の質など、メーカーにこだわりがある

小学校の先生宅の屋根に設置されたソーラーパネル。どこに設置するかは、ひと悶着でした・・・

充電中の懐中電灯たち。同時に20の懐中電灯を充電できる。しかし、メンバーは40人いるので、まだ足りない

 

キャッサバ畑はこのプロジェクトの成果

村の中を歩いていると、人びとが「このキャッサバ畑を見ろ!おまえのプロジェクトの成果だぞ!」と説明してくれます。

青々としげるキャッサバ畑

 

キャッサバはイモの一種で、乾燥させて粉にして、主食のウガリ(練りがゆ)にします。収穫までは2年かかるので、2年間ずっとゾウから守り続けなけなければなりません。途中で一度でもゾウに入られたら、それまでの苦労が水の泡になってしまいます。そのため、ゾウの被害がひどかった過去5年ほどは、キャッサバ畑をつくるのをみんなやめていました。その結果、移住せざるを得なかった家庭、貧困におちいって一家離散になってしまった家族なども生まれていました。

皮をむいたキャッサバをうれしそうに見せてくれるホームステイ先のママ

 

しかし、わたしたちのプロジェクトによってワイヤーフェンスを設置し、追い払い活動が機能するようになってからは、ゾウが畑に入る回数は格段に減りました。ゼロというわけにはいきませんが、人びとが「キャッサバ畑をつくろう」と思うぐらいには、被害は減っています!1年前は、「こんなに労力と時間がかかって危険な追い払いを、人びとは続けることができるのだろうか・・・」と暗い気持ちで日本に帰りましたが、今年は、人びとの顔が明るく自信にあふれていました。「おれたちは、ゾウをうまく追い払って、適度な距離を保って共存できる!」そんな自負が生まれているように感じます。

 

それでも、毎晩の追い払いは重労働です。昼間は農作業をして夜も追い払いで、睡眠時間はほとんどありません。引き続き、追い払いチームの支援をつづけていきたいと思います。

 

 

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