PROFILE
北海道立札幌南高等学校出身。2008年度早稲田大学人間環境研究科卒。WAVOC提供オープン科目「カンボジアの文化遺跡の保全とまちづくり」を履修し、他2名の参加者と共にWAVOC公認団体「Ju-Ju」を立ち上げ、学生時代の大半をカンボジアに捧げる。卒業とともにカンボジアへ移住し、遺跡の保全と観光業を連携させた、地域貢献を実践している。
参加したWAVOCの科目・プロジェクト
- カンボジアの文化遺跡の保全とまちづくり
- Ju-Ju
1.世界の遺跡で仕事をしたい
昔から遺跡が大好きで、将来文化遺産に関わる仕事がしたいと考えていました。テレビの影響で、早稲田大学に行けば、この夢のために学べると期待して進学。しかし大学での「学び」に対するイメージの違いから、モチベーションを失いかけてしまいます。アルバイトでお金を貯め、ヨーロッパの文化遺産にも足を運んだものの、のめり込むほどの燃える対象が見つからず。そんなときにシラバスでWAVOC提供オープン科目「カンボジアの文化遺跡の保全とまちづくり」を発見し、現場で研究をしている教授と一緒に文化遺産について学んでみたい!と思い、履修しました。
2.体験実習科目から、プロジェクトを立ち上げる
科目の実習では、カンボジアで遺跡修復の現場やその周辺の地域を見て回りながら「文化遺産」で仕事をしている先生、先輩方に出会いました。通常のキャリアではない、海外で仕事をすることを身近に感じさせてくれる機会がありました。滞在したコンポントム州サンボー・プレイ・クック遺跡周辺の村々での日々を通して、カンボジアの人々とその社会、生き方にも惹かれました。戦後復興中の国で泥まみれ、汗まみれでも何かをつかんでやる!というカンボジアの感覚に、当時の私は強いシンパシーを感じていたと思います。ここでは何か私のやりたいことがみつかるかもしれない、授業を終えても関わりたいという思いがつよく、WAVOC公認団体「Ju-Ju」を立ち上げるに至りました。
3.大学時代の財産
ボランティアセンターが設立されてから数年目だったので、Ju-Ju立ち上げのように、私たち学生が主体となって学んできたことをもちよってイベントや活動を企画する機会や、学生と教職員、企業の方々が世代や組織を超えて、尊敬しあい、ぶつかりながらいいものをつくろうとする環境があり、とても刺激的でした。それぞれアフリカや東アジア、日本の農村など、活動するフィールドや分野は違えど、心の根底の部分で相互に理解しあえる仲間たちに出会ったことが今でも私の財産になっています。日本のようにケアが十分とはいえないカンボジアでは、何かを得るかわりに何かをあきらめなければいけない、という取捨選択の場面もありますが、学生時代の経験や周りの友人たちと共有していることが価値判断の指標になっています。
4.貢献したいと考えていること
自分が地域や社会から受ける恩恵、及ぼす影響については、もっと敏感でいたいと心がけています。学生ボランティアではなく仕事として携わることにより「支援」の限界を痛感し、「支援」の中でも、お金を回すことは大切だと実感しているからです。その結果、現在観光をツールとして、”遺跡と地域と訪問者の素敵な関係づくり”をテーマに起業という選択をしています。観光の対象となる地域に対するより深い理解の醸成を生むことで、観光で訪れた方々にも深い記憶に残る体験を提供できると考えています。ただ、観光が対象地域に不利益をもたらすこともあることは過去に多くの事例が教えてくれています。遺跡、地域、訪問者3つを観光を通じて結びつけ、地域とこの場所を訪れた人たちの利益を相乗的に生み出し、地域や遺跡の魅力を深めることに貢献したいと考え、今、とてもわくわくしています。学術レベルでの留学をしていたら、などと学生時代にやっておけばよかったなと思うこともありますが、後悔はありません。これからも学び続け、実践し続けていきます。