実習科目「狩猟と地域おこしボランティア」の履修生による体験レポートです。自然豊かな山梨県丹波山村で、猟師さんや地域おこし起業家さんたちと出会い、履修生は何を感じ考えたのか?
ぜひお読みください!
【第4回】狩猟の目的と意識を考える
ー体験的学習科目「狩猟と地域おこしボランティア」2022ー
福田 光紗(教育学部4年)
衝撃だった。
朝、丹波山村に着いて早々、捕獲されたシカと対面した。

捕獲後、すぐに解体処理場へ運ばれてきたシカ
そのシカの解体を見学させていただいた。猟師の中澤さんは、とてもすばやくシカの皮を剥ぎ、きれいにシカを解体していった。解体の過程においては、いただいた命を無駄にせず、大切に活用するための工夫がいくつもあった。
たとえば、シカの毛は不衛生なので肉に付着しないようにする、場合によっては、部位に合わせて簡易的にナイフの先にビニール袋を着け、肉を傷つけないようにする、などである。こうした工夫や的確な解体の技術は、中澤さんの動物への感謝とリスペクトがあるからこそ身につけることができ、実践できるのだと、解体の始終を間近で見ていて感じた。
また、私もシカの背中の皮を剥ぐ体験をさせていただいた。シカはまだあたたかく、命をいただく責任をひしひしと感じた。触れた皮は、私の体感ではどっしりとついていて重く、シカが「獣」であることを認識させられた。

午後の農作業にて、丹波山村特産の大豆を脱穀
私は育てていた野菜が獣害を受けた経験から、獣害対策としての狩猟に興味を持った。手間ひまかけて育てた、収穫間近の作物を一瞬で失う苦しみから、動物への憤りの気持ちだけが先行してしまいそうだった。
しかし、「獣害対策」「管理捕獲」を目的とした狩猟といっても、やはり罪なき動物の命をいただいていることを強く認識することが、狩猟に関わる上で不可欠な意識である。当然のことかもしれないが、この意識を今後、自分がもし狩猟に関わる際には心にとめていこうと、解体の見学を通じて考えた。
体験的学習科目「狩猟と地域おこしボランティア」
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