
Guido Friebel 教授
スーパーグローバル大学創成支援実証政治経済学拠点では、2023年3月6日から7日にかけて Guido Friebel 教授(ゲーテ大学フランクフルト)をお招きし、企業におけるフィールド実験 に関する集中講義と特別セミナーを開催しました。参加者による講義レポートを紹介します。
Guido Friebel 教授 プロフィール
今回フランクフルトのゲーテ大学のGuido Friebel教授をセミナー講演にお招きし、ご厚意により、企業におけるフィールド実験、より正式にはランダム化比較試験(RCT)に関する集中講義を開催していただきました。2日間の講義では、従業員を対象としたRCTに関する最新の研究成果(チームワークやリファラル採用に関する自身の研究も含む)について紹介され、企業と共同でRCTを実施するための貴重な助言を提供していただきました。また、生産性を最大化する最適な人事政策とは何かを明らかにするためには、綿密に設計されたフィールド実験が有効であることを示されました。講演会には、早稲田大学の様々な研究科をはじめ、7大学の大学院生や教授を含む40名以上の参加者が集まりました。
参加者から寄せられたコメントの一部を以下に示します。
- とても興味深い講義でした。まだ始めたばかりだった組織研究をより深く掘り下げるきっかけになりました。企業を相手にRCTを行う際に気をつけるべき点など、論文を読むだけでは知り得なかったRCTの裏側をたくさん知ることができ、とても満足しています。学んだことを今後の研究に活かしていきたいと思います。
初日の講義では、Friebel教授は、協力企業のニーズを理解し、RCTを計画するための理論的枠組みを持つことの重要性について説かれました。理論的な枠組みを身につけるためには、多くの論文を広く読む必要があるという点を強調されました。
- 企業でRCTを実施する際の助言は個人的に有用でした。また、Friebel教授の論文で示された考え方はシンプルで優れており、私の研究にも応用できそうでした。RCTを実施するための交渉には、企業の求めているものを理解することが重要であることを学びました。Friebel教授、ありがとうございました。
- 今回の講義では2つのことを学びました。一つは、簡単なモデルを加えるだけでも論文の質を大きく向上させることができるということ、もう一つは、自分の分野の文献について深く知っていることが非常に重要であるということです。この度は誠にありがとうございました。
2日目には、Friebel教授が、ある企業のエリアマネージャーから勤務時間に関する情報を収集し、積極的な自己管理行動が「良いマネージャー」の重要な要素であるという知見に基づいて、マネージャー間の相互学習を促進するRCTを企画した実体験を紹介し、教室内で活発な議論が行われました。 トップマネジメントの交代によりRCTは実施されませんでしたが、Friebel教授の貴重な体験談は参加者にも共有されました。
- 後半の長時間労働の弊害に対する最先端のアプローチの話は大変興味深かったです。
- 実体験に基づく実験を知ることができ、また実証研究のための示唆に富む実践的な教訓を得ることができでよかったです。
Friebel教授はユーモアあふれる魅力的な講師であり、講義では私たちを存分に楽しませてくれました。この講義で驚くべきは、人事経済学や組織経済学に興味のある人だけでなく、ビジネススクールから政治学研究科まで幅広い層が関心を寄せ、受講していたことです。
- 私は政治学を専攻していますが、測定、実証検定、データ解釈について多くを学びました。また、経営学の分野でどのように研究が行われているのかを知ることができたこともよかったです。
- ビジネススクールで履修した講義のリーディングリストの中に、チームのインセンティブとリファラル採用に関するFriebel教授の論文があり、私はその論文を期末レポートにまとめました。著者から直接解説を聞いたり、質問をしたりする機会があったことは、非常に有意義でした。論文の内容だけでなく、RCTをデザインする際の注意点なども大変参考になりました。また、他学部・他大学の方々の意見も大変勉強になりました。
この講義は、今後のフィールド実験実施に向けて,多くの参加者の意欲を掻き立てたものになりました。
- Friebel教授の講義に感銘を受けました。様々なRCTの方法について学ぶことができ、企業間や企業内でRCTを実施する際のプロセスについて理解を深めることができました。これまでRCTを実施する機会はありませんでしたが、今後は、トライしてみたいと思います。
レポート:高橋 拓也(経済学研究科博士課程1年)/ 大湾 秀雄(政治経済学術院教授)