SGU実証政治経済学拠点では、QTEMの枠組みを活用して海外に留学する学生の支援を行っています。バルセロナにあるビジネススクール留学から7月に帰国した経済学研究科修士2年の中川楓星さんのレポート帰国編をお届けします。
経済学研究科修士2年 中川 楓星
~ QTEM2022春学期留学 バルセロナ管理学院から帰国して ~

クラスメートと教室にて
私はQTEMという留学プログラムに参加し様々なことを勉強し、経験してきましたので報告します。今回は生活を中心とした中間報告とは異なり、主に授業内容・成果についてお伝えしたいと思います。
1. 何を学び,どのような成果を挙げたか
2. この経験を今後どのように生かしていくか
私がこの春から留学したのはスペイン・バルセロナにあるビジネススクールです。そこでは、データ分析関連の科目に加えてコーポレートファイナンスやマーケティング等の科目も提供されていました。
私が実際に履修したのは以下の4科目です。

共用の学習スペース
- Financing for Start-ups
- Practical Data Science
- Computer Science for Business Leaders
- Advanced Statistical Methods
この中で、より実践的で興味深かった4のAdvanced Statistical Methodsでは、カテゴリー変数に注目した分析や多変量解析の手法を学び,最終的にはホテルのレビューなどテキストの分析ができるようになりました。今まで、早稲田で身近で学習してきた統計学に比べ,より実践的・実務的なものでした。
これは、授業で学んだ多変量解析を使用したレポートです。ここでは多次元尺度構成法(MDS)と呼ばれる手法を利用しました。これは高次元データを二次元に要約し、データ同士の距離を視覚的に表現するクラスター分析の一種です。このレポートでは、15の国を気候や安全性、食文化など様々な点で主観的に評価した結果をデータとして利用しました。結果を見ると、安全な国のグループ(日本、ノルウェー、デンマーク)や食事の美味しい国のグループ(イタリア、スペイン、中国)などがはっきりとクラスターとして観測できました。教員からは結果の解釈をもっと書いたほうが良いとのコメントをいただきました。データは分析して終わりではなく、結果の意味するところや解釈を考えることが重要なのだと大変勉強になりました。MDSはマーケティングにも良く利用される手法であり、将来ビジネスシーンで幅広く応用できることを期待しています。
実際には、1セメスター3カ月の本留学で学んだ分析手法は全体のごく一部でしかありません。しかし、集中的にデータ分析を学んだ経験は、今後グローバルでタフなビジネスシーンにおいてさらなる勉強の必要性に迫られた際の基礎体力として役立つものになると信じています。
3ヶ月間のバルセロナへの留学を経て、現在はオーストラリアのモナシュ大学で勉強しています。オーストラリアでは大変人気があり,直近のQSの世界大学ランキングでも総合58位のレベルの高い大学です。そこに集う優秀な学生や良い学習環境を期待して留学先に選びました.この留学も同じQTEMプログラムの一貫ですが、この大学は理論寄りの講義が多いと感じます。例えばStatistical Machine learningの授業では、パーセプトロンを用いたニューラルネットワークの理論を一から学んでいます。また、理論だけでなく実際にコーディングして実装するところまで行うので非常に楽しい授業となっています。 また、モナシュ大学はキャンパスやイベントがとても充実しており、楽しい学生生活を送っています。QTEMの留学先としてはとても良いところですのでぜひチャレンジしていただきたいと思います。