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イベント報告:Dr. Tatiana Linkhoeva 講演会“Revolution Goes East: Imperial Japan and Soviet Communism”

国際日本学拠点では、New York UniversityよりDr. Tatiana Linkhoevaをお迎えし、講演会“Revolution Goes East: Imperial Japan and Soviet Communism”を開催しました。
学部生、大学院生、一般の方を合わせ11名が参加する非常に有益な講演会となり、質疑応答も活発に行われました。

初めにリンホエワ氏は、英語圏における大日本帝国史研究について、いままで左翼運動の役割がほとんど注目されていなかったことを指摘しました。しかし、20世紀初期において、日本は東アジアでの共産革命の成功の鍵を握る存在として広く認識されていました。

大日本帝国においては、右・左の区別を絶対的に捉えられがちですが、実はアナキスト・共産主義者・国家社会主義者は、それぞれ対立的なイデオロギーを唱えながらも、1919年までは、概ね一緒に活動していました。リンホエワ氏はいくつかの逸話を挙げてこの点を明らかにしました。特に1922年、無政府主義者の高尾平兵衛がレーニンからの日本政府へのメッセージを受取り、帰国後、無事に日本政府まで届けることができたのは、親友の右翼ジャーナリストの中野正剛の仲介のおかげだったという逸話は大変印象的でした。

また、大日本帝国時代の日本が、ソ連成立直後のソ連像をどうとらえたのか理解するには、地政学的要因とイデオロギー的要因の両方を注視することが重要であることを強調しました。大日本帝国は、朝鮮半島や中国を含む支配地での共産主義の「伝染」を恐れ、ビザ・パスポート制度を初めて導入しました。しかしそれと同時に、ソ連をロシア帝国の後継国家と見なし、東アジアにおける勢力圏の分割を考える時の正当な対話相手として認め、積極的に関わりを持ちました。一見矛盾しているように見えますが、超国家主義者の黒龍会のような団体は漁業と密接な関係があったため、経済的な利害関係を考慮してソ連との和解を強く推し進めたのです。また多くの大日本帝国の思想家にとって、ソ連は社会を全面動員できる発展国家のモデルを示しました。転向した多くの共産主義者が従事した「満州国」のようなプロジェクトでは、日本の帝国主義政策におけるソ連モデルの痕跡が確認することができます。

50分の講演の後、質疑応答が設けられ、予定時間をオーバーするほどの有意義な討論が行われました。

開催詳細

  • 日時:2022年7月14日(木曜日)16:30 – 18:00 (JST)
  • 会場:早稲田大学戸山キャンパス31号館104教室
  • 講師:Dr. Tatiana Linkhoeva  (Assistant Professor, New York University)
  • 使用言語:英語(通訳なし)
  • 参加:学生/教員/一般
  • 参加費:無料

Revolution Goes East: Imperial Japan and Soviet Communism,
Cornell University Press, 2020.

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