スーパーグローバル大学創成支援事業早稲田大学実証政治経済学拠点が招聘する訪問教員による正規科目授業において、今年度冬学期を締め括るミラノ大学CURINI教授は、様々なテキストデータをもとに政党や政治家の位置推定を行い、最先端の研究を行っている気鋭の学者です。この事業が開始されて間もない2015年度から7年連続でマニフェストやSNSデータをもとに計量テキスト解析の最先端のテクニックを教える”Polimetrics” の授業を担当しています。入念に準備された講義スライドと基礎理論の解説、及び専門分野の実習を通して、多くの学生が国際水準の分析スキルを習得することが可能となるプログラムになっています。
CURINI, Luigi (University of Milan)
ミラノ大学政治学部教授
Advanced Topics in Political Science: Polimetrics – Applied Scaling & Classification Techniques(冬学期/Winter) シラバス > Syllabus>

コロナ禍の昨年度と今年度はオンライン講義となりましたが、学生のレポートからも非常に有意義な授業であったことが伺えます。
Luigi Curini教授の授業に興味のある方はぜひ参考にして下さい。
受講レポート
粕谷一貴 政治学研究科 修士1年
専門分野:現代政治
コース内容:Applied Scaling & Classification Techniquesでは、Rで実装されているquantedaを主軸としてどのようにテキストをデータ(Text as Data)として扱い、分析を行うか体系的に学ぶことができる。その理論的背景が前半パートで説明され、それを実際にRで動かす後半Labパートがあるため、すぐに研究に活かせるような構成となっている。
この授業ではTwitterのテキストデータを扱うことが多く、実際の現実状況に照らし合わせながら分析できるのも面白いだろう。コースの最後では機械学習のアルゴリズムを用いたテキスト分析にまで踏み込む高度な内容も含んでいる。
受講で得た成果:
Rを使ってどのようにテキスト分析を行うか、その初歩的な理論とその分析まで理解・実行できたのは大きい成果である。そもそも私はこの授業を受けるまではテキスト分析が殆どできない状態からスタートした。しかし今ではTwitterからデータを取得し、そのデータを使って、例えばある政治家のツイートを分析したとすれば、その政治家の発言内容を客観的に理解するための分析が行える。この「客観的」な分析こそテキスト分析の価値であり、テキスト分析を行わない場合、どうしても分析者の主観が入った状態でテキストが分析されてしまうのである。
今後の研究にどう生かせるか:
自身の修士論文では内閣支持率の時系列分析を行う予定だが、このテキスト分析でどの時期に、どのような単語が頻出していて、それがどのように内閣支持率に関係しているのかを分析することに応用できるのではないかと考えている。さらには修士だけではなく、社会に出てから金融分野のテキストマイニングにも応用できるだろう。
後輩へのアドバイス:
私は英語は得意ではないですし、テキスト分析自体日本語で理解するのも大変な内容ではありました。しかし、Rのコードとスライド内容が事前に配布されており、非常にわかりやすく書かれているので、これを授業前に自分で理解し、実行しておくことで英語で行われる内容も理解がしやすくなると思います。テキスト分析の初歩から機械学習の利用という最新の分析まで踏み込んだ充実した授業を受けられる絶好の機会なので、早稲田に来たならば受けるしかない授業の1つだと思いますし、研究だけではなく、社会に出てからも役立つ内容であることに間違いないです。
- 英文サイトでも、他2名のコースレポートをご紹介しています。 ぜひご覧ください。
CURINI教授を招聘する日野愛郎教授の専門は比較選挙学
選挙制度は国によって大きく異なるため、その制度環境がどのように有権者、候補者、政党、メディアに影響を及ぼすかを客観的に分析・研究している。日野教授は米国に留学、その後英国エッセクス大学で政治学博士を取得し、ベルギーでの研究生活を始めCURINI教授の本属ミラノ大学でも研究活動を行った。政党システムに関する共同研究を行ったご縁で、本学の訪問教員として授業を受け持つことをご快諾頂いた。
【日野教授略歴/Professor Airo Hino Short Bio】
最新論文 ”How populist attitudes scales fail to capture support for populists in power”
doi : org/10.1371/journal.pone.0261658